終幕(エピローグ)
(主人公、水城一都の部屋)
(引っ越しの荷造りをしている)
――あれから、日張里ヶ丘駅の近くで始発を待って家に帰った。
すると、玄関のところに黒い物体が丸まっていた。
恐る恐る近付いてみると、
「にゃにゃにゃにゃっ」
それは僕の飼い猫の黒次郎だった。
黒次郎は僕に犬のように飛び付いて来た。
黒次郎の爪が僕に食い込んで痛いが、僕は黒次郎の好きにさせた。
「分かった分かった、ごめんよ黒次郎、心配させてごめんよ」
それから、上司に電話が繋がりそうな時間になったのを見計らい、会社を退職する旨を伝えた。
「――――――――!!!」
糞元上司の野郎が激怒して色々言ってきたが、取り合わなかった。
コイツじゃなくて、後で人事部に色々あることあること言うつもりだ。
そして、近所のコンビニの公衆電話から匿名の電話を日張里ヶ丘駅に掛けた。
人の頭蓋骨を線路脇で見つけたので、社の前に置いた、と。
また、彼女の頭蓋骨のすぐそばで訳ありな三輪車を見つけたので、一緒に供養して欲しい、と。
――この2件の用件だけを伝えて、ガチャ切りした。
その後、ニュースをチェックしていたら、ちゃんと彼女の事が報じられているのを確認出来たので胸を撫で下ろした。
ものすごく重たい肩の荷を降ろせた気分だ。
僕はこの街を離れて地元の町に帰ることにした。
もちろん、あの事件があったからという理由は一番影響が大きい。
そして、これを切っ掛けに、あの酷い職場を辞めるべきだという思いが出た為だ。
もう、粗方荷物は梱包出来た。
後はパソコンくらいだ。
ちょっと休憩しようと、近所の自販機でコーヒーでも買おう。
(一都がマンションの自転車置き場の横を通り過ぎる)
(自転車置き場に、あの三輪車が並んでいるのが見える)
ピー ガコン
出てきた缶コーヒーを開けながら「そうだ、この街を離れる前に高橋さんに連絡しておこう」とふと思い付く。
プルルル プルルル プルルル……
――高橋さんなかなか出ないな……。
プルルル プルルル プルルル……
(シーンが高橋の部屋に切り替わる)
(高橋が自室で首を吊っている)
(シーンが一都に切り替わる)
仕方ない、連絡は今度にするか。
最後の荷物をやっつけよう。
――というわけで、僕は部屋に戻る。
(一都がマンションの自転車置き場の横を通り過ぎる)
(自転車置き場に、またあの三輪車が見える)
(シーンが一都の部屋に切り替わる)
(突然、黒次郎が動き出す。パソコンの前へ)
「うぅうぅぅう シャァ―――――ッ シャァ―――――ッ シャァ―――――ッ」
(一都が部屋に帰ってくる)
「どうしたんだ、黒次郎」
ブーン
(パソコンのモニターの電源が勝手につく)
(画面にゆっくりと映し出される)
(『深蠢■駅』と書かれた駅名標が見える)
「シャァ―――――ッ シャァ―――――ッ フシャァ―――――ッ」
どうしたんだろう?
黒次郎が、何かパソコンに向かって激しく威嚇している。
「どうしたのく




