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ただ、そのミーアから妙な事をされたのを思い出して黙ってしまった。
「嫌らしい事を考えているわね。」
「考えてないよ。」
「そう?攫われた時、貴方は何かされなかったの?」
「え?あぁ、別に何も問題無かったよ。そういえば、あの三人は教団の幹部に会った事が無いんだよな。教団ってどういう組織なんだ?」
「数は多いけれど、前まではただの宗教団体としか思われてなかったわね。時々悪さをしていたけれど、今になって悪さの質がおかしくなったけれど。」
「自爆するぐらいだから、かなり怪しい事をしているのかな。」
「もしかしたら、あの三人も何かいやらしいことをされているかもしれないし。」
「あぁ。って何!?」
「儀式として教会に呼ばれた三人が、司祭によって性奴隷にされている可能性もあるわね。」
「お前、何て妄想をしてるんだ!?」
「あら、食いつきがいいわね。貴方、あの三人に気があるの?」
「いや、無いけどさ。でもまさかアリシアがそんな事考えるなんて。」
「もしかしたらあるかもしれないでしょう?修道女が性奴隷にされる例なんて普通にあるもの、きっとあの三人は凌辱され、洗脳されてしまった可能性だって・・。」
「・・・・。」
いや、ミーアの口ぶりからするとその可能性はまず無いと思う。
「はぁ・・おっさんみたいな妄想するのは結構だけど、そんなんじゃまた三人に苦戦しそうだな。」
「ん?何?喧嘩売ってるの?奴隷のくせに生意気なんじゃない?」
キレるの早すぎるのではないかこの女騎士は。
「いや、別に売ってないって。大体、本当にそんな事されていたらミーアだってそこまで積極的じゃないし。」
「何が積極的だったのかしら。」
「えっと。」
「何?何かされたのか詳しくお姉さんに聞かせてくれる?」
「別になにもされてないって、ちょっと抱き着かれただけだから。」
「んー?抱き着かれただけ、ね。あの猫耳がどうして貴方に抱き着くのか気になるのだけれど。」
「ミーアの兄に僕がそっくりだっただけだよ。」
かなり偶然のような気はするけれど、もしかしたらミーアの嘘もありえる。
嘘だとしても、あれは少しやりすぎではあるけれど。
「成程、それは・・。」
「ん、どうしたんだ?」
「獣人って、普通の人間と比べて近親交配で障害が出る可能性が極めて低いものね。もし本当なら、抱き着くぐらい平気でしそう。」
「えーーー。」
そんな嫌な設定は聞きたくなかった。
「むしろ、もっと変な事さえしそうだし。本当に何かされなかった?」
「いや、その。」
「ん?何かあるようね。答えないとおしおきするわよ。」
「キスされました。」
「おすわり。」
人間は嘘つきだった。
そのまま理不尽な話の運びにより僕は床に熱いキスをする事になったが、アリシアが怒る理由は殆ど無いと思う。




