〇66
大体私にとっては、もう協会でやる事はないと思っているつもりだ。
ギルド協会は基本的に雇用者の殉死に関しては責任を問わない、例え魔物に殺されてもそれは事故死扱いされギルド職人はそこで人生が終わってしまう。
協会から請け負う仕事は大抵の場合そこまで危険性は無いのだけれど、もしも突発的な事が起きたとしても協会は全て責任を負ってはくれないのだ。
現在人手不足である理由の一つになっているのが、傭兵と比べてギルド協会に依頼される仕事は単独によるものが多い。
つまり、多人数で依頼を達成するイベントはかなり少ないのだ。
最大で四人、多くても八人程度の少数編成で依頼を攻略しなければならないときがある。
場合によっては雇用者に対しかなりハードな仕事を要求する協会に対しては、かなり悪評が散らばって居るのだった。
協会は自分たちは戦わずに剣士を含む職人を殺す事で儲けていると。
ただ、魔法使いによる単独任務によって一部の地域が魔物に全滅させられずにすんだ例もある。
このギルド協会に関する最大の問題として、魔物による災害を食い止めるにはまだ魔法使いの数が少なすぎるのだ。
魔物は魔力加護を有する武器でしか倒す事ができない。
以前、エクレールがスライムを倒そうとして剣をへし折ってしまったのもそれが理由だった。
焦って武器破壊をしてしまうのも彼女にとっては痛い所だが、魔物に対抗できるのは同じ力を持つ存在だけである。
魔法使いでしか魔物を倒す事ができないのに、その絶対数は限られている。
どうして魔法使いをもっと増やせないのかは昔から議論されているけれど、結局その議論が解決されぬまま魔物との戦争はいつまでも続けられるのだ。
「はぁ・・・私、どうしたらいいんだろう。」
エクレールは走って逃げて来た後、噴水広場でただくつろいでいた。
金はあっても、ただ食っていくだけである。それは他の人間も同じだが、自分が本当に戦わなくていいのか分からない。
「私以外にあれを使える人が居たら・・いいのかな。」
それは良くはない。あれは元々自分の大切な人から貰ったのだから。
本当なら自分はあれを手渡してはいけないのだ。
「んー。私、もっと大切な何かを探せればいいんだけど。うん、皆誰だっていやな出来事には遭いたくないもの。」
壊滅的な倫理というか、もはや言い訳になっていない言い訳でエクレールは自分を騙そうとしていた。
自分はもう戦わなくていい、アリシアだってあんなに強いのだから別にどうでもいいではないか。
エクレールは適当な思考法で元気を出した後、目の前にあるアイス屋でストロベリーアイスを注文する事にした。




