〇60
暗い檻の中で、モニカは何度か挑戦した拘束具の破壊を試みた。
しかし、強い雷撃を感じてしまい、右腕の力を発動できずに居た。
あの屋敷でアリシアに受けた物と比べれば大したことはないけれど、何度も感じると吐きそうになってくる。
「あのー。いいかげん諦めませんか?モニカがそこまでする理由はないと思うんですけど。」
「こんな場所には居たくない・・。」
「はぁ。ここで朽ち果てたくないのは分かりますが、もう少し頭を使って行動して頂かないと。」
「頭突きで、壊せばいい・・?」
「大丈夫ですかー?はぁ、私も自由になりたいのですが。」
「今頃、ナガトたちはどうしているのかしら。」
「さぁ。でも、ちょっと面白い事になっていますね。」
「え?」
「さっき探知魔法で面白い結果が出まして。色欲、憤怒、嫉妬、そして高慢、無名の強い魔力を感じました。」
「貴方の探知魔法って少し便利過ぎると思うけど・・。」
「それは単純に魔力の性質の問題ですね。魔力はこの世界とは全く別の次元にも通っていくので、その魔力に干渉すれば場所を特定できます。」
「ちょっと意味が分からないけど・・それで、ナガトたちは教団と戦っているってこと?」
「恐らくは。何故かは分かりませんけど。」
「はぁ・・・皆勝手な事をしているのね。」
そのままベッドに寝るが、少々固いためすぐには寝れなかった。
とはいえ、屋敷に居るよりはずっと清潔ではあるのだが。
「あの場所には、もう戻らなくていいのかな。」
「いっそ大罪の事を忘れるのもありですね。教団に奪われたとはいえ、私たちにはもう必要ないですし。」
「・・・外の世界を夢見るのも、悪くないか。」
「ん?ちょっと、モニカさん?」
もう一度立ち上がったモニカは、目をつぶって意識を集中する。
自分の足元に魔法陣が発生すると同時に、自分を不自由にする拘束具から電流が発生した。
「止めてください!そんな事をしたらいくら今の貴方でも・・・!!」
「黙ってて・・こんな拘束具・・・・!!」
右腕の力を強引に発動し、電流に逆らって痛覚に耐えた。
そのまま大きな爆発が発生する。雷撃魔法を有する拘束具に対し、自分の力を最大限に逆流させていったからだ。
それによる痛覚も酷く、拘束具を破壊できたのはいいものの彼女は地面に倒れてしまった。
「あわわわわ。何て無茶を、ていうか貴方が気絶したら意味がありませんよ!?」
「ちょっと、すっきりした。」
「私は見ていて痛々しいですけどね。でもそれで脱出なんて不可能です。応急処置を。あれ?モニカさん?ちょっと?もしかして気絶していますか?」
「・・お腹、すいた。」
「はぁ・・・。意味の無い抵抗でしたねー。ん?」
牢屋の目の前には、いつのまにか看守が居た。
正直このままどうなるかとひやひやしていたが、その看守の様子は何処かおかしかった。
「モニカ、貴方はまだ自由になる権利はある。しかし、全てを知る必要はまだない。」
「・・・?」
「だから、脱出経路を用意します。」
そう言っている内に、他の看守たちがやってきた。
「おい、何があった!!」
「ここからは、通行できません。」
「な、何をする!?」
様子のおかしい看守はそのまま他の男性を止めると、目が赤く光った。
彼の体も続いて赤く光り輝いていく、そしてその輝きが頂点に達した時に轟音を立てて爆発した。
周囲の物は全て破壊され、他の看守たちも皆その爆風で意識を失っていた。あるいは、死んでいるのか。
「・・・じ、自爆、ですか?もしかして、教団の仕業・・。」
「どっちにしろ、都合がいい。逃げよう、グレコ。」
「えぇ・・。でも、これは・・。」
突然自爆した看守が一体何なのか、グレコはただ悍ましい感じしかなかった。
教団によるものだとしても、この場所でモニカを助けるような行為に意味があると思えないが。




