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異世界で騎士の奴隷となった日  作者: 時川
ロワール
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57/131

〇57

協会支部の中で、アリシアとエクレールはユリナと再会していた。

旧友との再会を喜ぶ暇が無いのは悲しい事だが、今はかなり緊迫としている状況だった。

「ナガトさん、アリシアの奴隷の方が誘拐されたのを含めて、教団に拉致された総人数は38名です。ギルド協会の責任者や商会の重鎮も含め、誘拐された方々はどれもロワールにとって重要な人材ですわね。」

「そんな大勢の人たちを突然捕まえるだなんて。そんな危険な組織だったのは意外だけど、そんな奴らだってことは知って居たの?」

アリシアにとってみれば、今まで教団を放置していた事はギルド協会にも責任はあると感じていた。

「先ほど教団の物と思われる手紙、その取引内容は全ての人質を解放してほしければ、高慢、暴食、無名の三つの大罪を返却すること。指定された場所に送り届けられない場合、人質全員を殺害するそうです。」

「人質を全員・・ナガトさんも、殺されちゃうの?」

「教団は過去、政府関係者を暗殺した疑いが持たれていますからね。その気になれば、一人や二人殺害する可能性は十分あります。」

「そんな大きな組織なのに、何で今まで・・。」

「ギルド協会も、優秀な人材を使って彼らを指揮する存在を突き止めようとしましたが・・。教団は複数の遺跡を荒らす、ただの窃盗集団だと思われていたので。彼らが突然テロリスト紛いの事をしだしたのはつい最近なんです。」

「それで、これからどうしればいいのかしら。私を呼んだのはお話がしたかっただけじゃないでしょう?」

「アリシアには、手紙にある取引先の所まで武器を届ける役目を任務として与えます。手紙の犯行声明の中には、取引場所である銀草の森、川辺の地点の数キロ範囲内に一人以上の剣士が現れた場合、人質に危害が加えられると記されています。」

「そこに私が言って、三つを渡してこいってこと?それで人質が解放されるの?」

「各担当ギルドによれば、人質は全てロワール内で囚われている可能性があるそうです。全ての人質はロワールから出た形跡がないみたいで・・。」

「ん?つまり・・どういう事?それじゃぁ彼らの方がかえって不利じゃない。」

「分かりません。夜までに武器を届けられれば、人質は解放されますが。その前に私たちはロワール内に居ると思われる人質を全員解放します。」

「まぁ、貴方たちなら楽勝みたいだけど。ちょっと杜撰な感じはするわね。」

「恐らく、教団は大量の人質を捕まえて私たちの戦力を削ぎたいのでは・・?」

「そんなに人が居るのならもっと頭のいい事できないのかしら。」

「疑問があるのは分かりますが、今すぐにでも貴方にはこの三つの武器を届けて時間ぎりぎりのところで返すつもりで居てください。」

「つまり、返すなってこと?」

「もし何かあった場合の補償はできませんが、貴方しか今は頼れる人が居ません。」

「分かりました。貴方がそういうのなら、私は喜んで引き受けます。」

そう言って、彼女からアリシアは三つの武器を手に入れた。

「あの、私は・・。」

「エクレールさんはこの場で待機、ですわ。」

「な、何で!?」

「それじゃぁ、私は行ってくるわ。」

すぐにアリシアは任務を果たしに行ってしまうが、エクレールは納得できていなかった。

「私もナガトさんを助けたいです!」

「我慢してください。貴方が出て行ってもしロワールが壊滅したらどうするんですか。」

「そこまで私は強くないです!ドラゴンじゃないんですから!」

「はぁ・・・。まぁ、今の貴方が出て行っても、邪魔になるだけだと分かってください。」

「分かりません!!」

「いい年して子供みたいなわがまま言わないでエクレール!」

「うぅ、ナガトさんがもし殺されたら。・・・でも、教団の人たちって結局大罪を集めて何がしたいの?」

「・・・さぁ。そこまでは分かりませんね。」

とりあえず、今はエクレールはここで待機しているしかない。



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