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30. ゴブリン探検隊(2)

ヤマダのちょっといいとこ見てみたい!

 何が何やらよくわからないままに、ロアンとともに南の森にやってきた。森は今日も鬱蒼として、薄暗くて死の香りが漂ってくる。ロアンを守りながら魔物をぶっ殺して帰ると言うクエストなわけだが、本当にクソみたいなクエストだと思う。インターネットの掲示板に悪口を書きたいぐらいだ。そんなものは無いが。


 そんなに嫌なら無理にでも止めろよというのはごもっともだが、二対一の口論に勝てるとも思えなかった。そもそも一対一でも勝てない。悲しみしかない。


 ただ、前回死んだ時と違い、俺の戦闘能力や索敵能力は飛躍的に向上している。このことが、このクエストを成立させ得るものとしている。ような気がする。巨大リスやら狼程度なら、ロアンがいてもぶっ殺せる自信はある。なんなら苦戦を演じて、トラウマを植え付けさせることすらできる気がする。


 なんかそれもありな気がしてきた。苦戦しているふりをして、ロアンに命の危険を感じさせてから、魔物の首をはねて返り血をロアンにぶっかける。そうすればきっと二度と森に行きたいなどと言わなくなるだろうし、魔物を倒すところをみたいなどと言う事もないだろう。我ながら完璧な作戦だ。やはり俺は賢い。


 薄暗く鬱々した森を慎重に歩いていると、早速魔物の気配を感じた。やはりこの村の周りはエンカウント率高すぎのクソゲー仕様だと再認識させられる。


「ロアン隊長、魔物の気配です。右前から飛び出してくるから気を着けてください。」


「ふぅん。あたしは全然わかんないけど、とりあえず気を着けとく。あと隊長って何? キモいからやめて。」


 気を着けると言いつつ、棒立ちのロアン隊長に一抹の不安を覚える。そして最後になにか聞こえた気がするけれど気にしない。


 ところで親御さんに一言も相談せずに、森に連れ込んでいるんだが、冷静に考えると非常によろしくない。怪我でもさせたら糾弾されてしまうこと間違い無しだ。文字通りつるし上げられてしまう可能性がある。ゴブリンらしい最期を迎えるとか冗談でも勘弁してほしい。まあ、生き返るんだけど。


 俺が、ゴブリンらしい最期について考えていると、気配を感じた方向から鳴き声が聞こえてきた。


「ピャウピャウピャウ――。」


 巨大リスのお出ましだ。こいつ程度は俺の敵ではない。さっさと倒してしまおう。手裏剣を魔法で生成してブン投げると狙い違わず両前脚に手裏剣を刺さった。機動力を奪ったところで、そのまま駆け寄って、足を切り取ってゲームセットだ。簡単だね。


「えっとあの、ロアン隊長。とどめを刺すのは任せます。この山刀を貸すので、頭を切り落としてください。噛まれると大けがするので注意してください。」


 通過儀礼として、首を切ってもらう。俺も婆さんみたいに”ロアン隊長は殺しの才能があるよ”とか言ってみたい。


「えっ、あんたこんな可愛い子をいたぶって楽しんでんの? キモ!」


 はい? なんでそうなるの? 楽しんでないし。お金がもらえるから殺してるだけだし。そもそも全然可愛くないだろ。前歯とか爪とか、完全に殺意に満ち満ちているだろ。つうか、可哀そうだからさっさととどめさしてやれよ。


「えっとそのあの、可哀そうなので早くとどめを刺してあげてください。」

 

 頑として山刀を受け取ってくれない。”殺しの才能があるよ”って褒めてあげたいのに。融通の効かん奴だな。


「なんで私がやらないといけないの?」


 ごもっともすぎる疑問だ。俺が”殺しの才能があるよ”って言いたいだけなのだ、別にパワーレベリングをしにきているわけじゃないから、とどめを刺す必要は無いのだ。そこに疑問を持つとは、やはり隊長なだけあるな。


 面倒になったので、俺がサクッととどめを刺して遺骸を木に吊るしておいた。帰りに拾って換金するためだ。ロアン隊長からはまたも、キモ! と言うお言葉を頂いた。最近の若い子は言葉遣いが荒くてダメだ。俺の心が着実に抉られていく。


 この後、巨大ウサギも狩ったが特に隊長からお褒めの言葉はいただけなかった。ただ、キモ! と言う言葉が何度か聞けた。俺の所属する業界では少女からの罵倒はご褒美ではない。需要と供給のミスマッチが甚だしい。俺は褒められたいのだ。ままならないなぁ。

殺しの才能があるね(ニチャア)

ヤマダのカッコいい所が褒めてもらえない。とても悲しい。

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