4.5話 一方その頃
小夜世 黒が他のパーティーと合流し作戦会議をしている頃、収納空間の中にいるレェーヴ達はというと...
「う゛ぅ゛....」
横になり唸るシュテンの背中をレェーヴがさすっていた。
「大丈夫か?」
「う゛~ん....最初よりはマシになった....かも」
「これではおぬし達は無理っぽいのぅ...」
シュテンの隣で未だ目を覚まさないオトナシの姿も確認しながらレェーヴは溜息をつく。
「ごめんねレーちゃん...」
シュテンがそう言いながらレェーヴの手を握る。
「まぁ、初めての体験じゃったししょうがないのぅ。今は治すことに集中しておれ」
レェーヴの胸を覆う不安のせいか、つい責め気味な対応になっていたことを自覚し、反省する。
というのも、話していた通りならば、もう黒からの何らかのアクションがあってもいい頃合いだというのに、何もない。
看病という理由で、収納空間の中に入ることになったときから感じていた不安。
もしかしたら、黒は自分達を戦闘に参加させる気がなく、この中に閉じ込めておく気ではないのかと。
今回は相手が相手だ、十分にあり得る。
黒が外から扉を消してしまえば、中にある扉も消えてしまうため、ここから黒にアクションを取る方法がないことも不安を増長させる要因となっている。
「クロ...」
レェーヴはいつもはハリのある尻尾を萎ませ、寂しそうに空を見つめるのであった。
----------------------------------- 補 足 -------------------------------------------
収納空間内にはもちろん、生活に必要なものは一式揃っている。
中でも、重宝しているものがギルド販売商品の簡易式トイレである。これがあるおかげで、外でするような事態を防げる。女性冒険者にとっては武器よりも欲しいものとして言われるほど。もちろん男性冒険者にも高い人気を誇る。
構造としては、魔を通すと形状を復元できる柔軟性の高い特殊な木(『ざわめ木』という種類の木であり、ダンジョン産)の中にテイムされたノーマルスライムという魔物が入っているもので、魔を流すと椅子型になり、使い終わったら潰して持ち歩きができる(スライムは潰しても大丈夫)。
スライムは生物の排泄物など(樹液なども含む)を主食とし、小さいながらに多くのものを消化することができる。しかし、長い間何も与えない場合、テイムが解け身近の生物を襲い消化する(雑食)。
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