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私は楽しく生きたくて  作者: めのおび
3章 北の国ガレオン
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2話 私は今集まります

[あらすじ]

東の国イルミールにいた黒たちは国王ナハリュムシュリュニーネから緊急招集され、北の国ガレオンに攻め込んでいるというカーサイブリースの対処に向かうことになった。


[用語]

収納空間(マイルーム)

黒が使う空間魔法の一種。唱えると、黒が現世界で使っていたアパートの入口と同じ扉が現れ、開くと中は広い空間となっており、色々な物を収納することが出来る。(参考2章2話)


【カーサイブリース】

今のところ謎が多い危険集団。以前黒たちは幹部と思われる男と戦闘している。(参考2章9話)

 小夜世 黒(さよせ くろ)は何とか海上での戦いをやり過ごし、今現在、他の国で招集がかかった他パーティーとの合流地点であるイナガという街を目指して走っている。


 オトナシとシュテンは船の上でダウンしてしまったので、レェーヴに看病を任せて今は収納空間(マイルーム)の中にいてもらっている。


 黒が外で活動していれば、収納空間(マイルーム)の活用法としてみんなを運ぶことが出来ることを確かめておいてよかったと黒は胸を撫で下ろした。


 それにこの状況は黒にとって理想のものだった。


 というのも、これから向かうのはカーサイブリースが待ち受ける戦場である。以前狙われたことのあるレェーヴとシュテンはもちろん、オトナシにもかなり危険な場所である。


 そのため、どうにかしてみんなを安全な場所か収納空間(マイルーム)に閉じ込められないかを考えていたのだ。収納空間(マイルーム)は黒の意思でしか開閉することは出来ず、中にいるレェーヴ達は出る手段がない。しかし、もしかしたら黒自身がやられてしまう可能性がある中、そうなった場合収納空間(マイルーム)内にいるみんなはどうなるのかだけが心配である。


 「みんなにはすっごい怒られるだろうな...」


 黒はこの戦いが終わり、収納空間(マイルーム)からみんなを出したときの様子を思い浮かべて口元に笑みを作る。


 今の私は、思ったよりは緊張していないらしい。



 ●◯●◯


 イナガに着いた黒は、門前で待ち構えていたギルド職員に連れられギルドの戸を潜った。


 最初、ギルド職員は1人である黒の様子を訝しんでいたが、王から渡された書状を渡すと素直に案内してくれた。


 「来たか。海に沈んだのではないかと心配したぞ」


 入ってすぐ、目の前には長方形の大テーブルがあり、その周囲には12人の冒険者らしき人が立っていた。その中の1人、まさに筋骨隆々な巨漢が黒を見るなり声をかけてくる。


 「ん?1人か?」


 その男は黒の周りを見た後、眉間に皺を寄せる。


 やはり、きた。招集されているのはAランク以上の()()()()()である。1人でいるというのはおかしい。


 「はい、色々訳がありまして。でも、私1人で十分な戦力だと思います」


 黒はあらかじめ考えていた通りに話す。冒険者というものには秘密が多いものだ。これぐらい強気な態度のほうが逆に怪しまれないだろう。


 「ほぅ、言うじゃねぇか。俺はグイだ」


 そう言って、こちらに手を差し出してくる。


 「クロです。...!」


 黒はその手を握り返し、相手の力加減に眉をひそめる。


 「口だけじゃないようだ」


 グイはニヤっと笑い、黒の手を離し、振り返る。


 「それじゃあメンバーも揃ったところで、作戦会議をしようじゃないか!」


 グイは先ほどまでよりも大きな声で、集まっている冒険者に声をかける。


 「声がでけー、いちいち仕切るな、暑苦しい」


 その中の1人、目の下に隈を作っている男がグイに敵意を向ける。


 「まぁまぁ仲良くしようじゃないか、なぁ?クロちゃん?」


 それを宥めるような言葉を吐きながら、頭がキンキラキンの若い男が黒に向かって話しかけてくる。


 黒の共感覚がなくとも下心丸出しなことが分かり切ったその男を見て、黒はため息をつく。


 「お前は、頭もうるせぇな、殺すぞ」


 「あ?」


 「みんな元気がいいようで何よりだ!ハッハッハッ!!!」


 「.........」


 黒は踵を返そうとする足と心をどうにか抑えて、乾いた笑みを浮かべるのだった。

読んで下さりありがとうございます。

ブックマーク、感想を下さり有難うございます。励みになっております。


久々の投稿となってしまい、申し訳ありません。

こんな自分ですが、今後ともお付き合い頂けると嬉しいです。

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