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私は楽しく生きたくて  作者: めのおび
1章 異世界へ
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1話 私は今無気力である

  現在、私は大学院の1年生だ。私は女性には珍しい機械系の道に進んでいる。私の研究室は所謂ブラック研究室と呼ばれるもので、やる事が多いし、生徒の研究について、教授は完全な放任主義を貫いている。学生だが、夏休みなんてものはもちろんないし、1日の研究室にいる時間は平均15時間。学生は労働基準法のような法には守られてはいないのだ。


  私は、機械に興味はそこまでない。もちろん車だとかロボットだとか。あまり興味がない。ならなぜ、機械系で、しかも大学院にまで進んでいるのか。簡単な話、ただ周りの環境に流されてきた結果がこれだった。

 私の家族構成は父、母、妹、私の4人家族。父は自動車の設計の仕事をしている。特にやりたいことがなかった私は、父と同じ道を歩んでみようかと思った。そこから特に何も考えずに、高専、大学へ編入、大学院進学と進み今に至る。高専の機械系は女性が少ないのが常識だが、私のときは私1人だけだった。

 当たり前だが、人が嫌いな私にとってそれは障害にはなり得なかったし、もちろん本当の友人なんてものは1人も出来なかった。表面上の友人なら生きていく上で必要なので作ったが。


  「はぁ…」


 また溜息をつく。今日はこれで何度目の溜息だろうか。20まで数えていたがそれ以降は数えてない。


  「今日で…2週間…」


 私は今、研究室ではなくアパートにいる。一人暮らしだ。通常なら研究室で研究をしていなければいけない時間帯。しかも、学会発表に向けた論文を提出しなければいけないという状況である。しかし、私は2週間も研究室にいかず、何をする訳でもなくぼんやりとアニメを観たり、ゴロゴロしていた。


  「休学して遊ぶ…ん、親が許してくれない…」


 最近はずっとこんな調子だ。


 「このままだと論文間に合わない…絶対なんか教授に言われる…私の人生どこで間違えたのかな…それとも、選択してこなかった結果がこれなのかな…」


 「はぁ…」


 また溜息を付いてしまった、と思った時だった。携帯に見覚えのないところからメールが届いた。


  「…?迷惑メールかな…最近無かったのに…こういうのってほんと迷惑。あっ…迷惑だから迷惑メール…」


 などと馬鹿なことを考えながら、そのメールを消去しようとした。


  「あれ?」


 消去しようと操作したが、何故かメールが消去出来ない。


  「処理が重いのかな…再起動してみよ」


 携帯の不具合は割と再起動したら直るものだ。


  「なにこれ…壊れた…?」


 私が使っている携帯はXpenguinというもので、再起動したらロゴが流れる。しかし、今回はそれが無く、画面が真っ青なまま何も起きない。所謂ブルースクリーンのような状態である。


  「パソコンだと嫌ってほどこの画面見たけど、携帯でも見ることになるなんて…携帯にもブルースクリーンってあるの…」


 色々とボタンを押したりと試行錯誤していると、不意に携帯画面にメールの画面が現れる。


  「え…?なにこれこわい…ウイルス?」


  「あれ?このメールってさっきの…」


 さっき消去しようとした迷惑メールと同じアドレスからであった。普段は些細なことは覚えていないが、今回のアドレスは特徴的だったので覚えていた。


 isekai.15@sekaiju.wood.jp

 to:自分

 15:06

 ━━━━━━━━━━━━━

 本文:ある ない


  「isekai.15@sekaiju.wood.jpって…異世界行こうってこと?しかも世界樹どっとウッド…」


 実はオタクであるので、すんなりと意味は理解できる。


  「異世界…この世界じゃ生きづらいし、行ければ行きたい…本文のある、ないって行く意思があるかないかってことなのかな」


  「返信しろってこと?オタクに焦点を絞った迷惑メールじゃない…よね…?そうだとしたら、悪質…」


 普段ならば、こんなアニメのようなことは起きないと理解しているし、冷めている。しかし、何故かこの時ばかりは期待があった。心がざわついた。


  「ん、どうすることも出来ないし、携帯動かないのはちょっと困るし…返信しよ…」


  もちろん。返信の内容は決まっていた。


  返信してからすぐの出来事だった。手に持っていた携帯から目を開けていられないほどの眩い光が発せられる。光が収まると、その部屋には画面が割れた携帯と温もりが残る服が落ちているだけであった。

 


ここから異世界での話になります.

これからも優しく見守って頂けると幸いです.

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