異世界に来て 01
オッサンは椅子の上で、痛そうにしながら頭を下げた。
「勇者様方、どうか、この世界を、人々を救っていただきたい」
声だけでも(ギックリ腰で)辛いことが分かった。
オッサンは隣にいた人の助けを借り、体を起こす。
すると、右隣にいた人が話し始めた。
「すまないが、王はこんな状態だ。不測の事態につき、私が説明させていただく」
そこそこイケメンだ。見た目からして、たぶんリア充だ。
リア充は爆発するべきである。
「こちらのお方はこの国、ギリング王国の現国王、ベル・ジェイン・ギリングである。今回の召還はこの国、この世界を救うために行った」
どうやらテンプレ通り、世界の危機を救うパターンだったようだ。いまだ多少の不安は残るが、強制労働させるためでは無さそうだ。
「突然の召還だったと思うが、我々も大きな危機に瀕しており、これ以外で打てる手はほとんどなかったのだ。分かっていただきたい」
ほとんど、という事は少しは残っているのか。手を尽くしてから呼ぶべきだろう。
俺は話を聞いていると、また違和感を覚えた。
聞こえているのは日本語なのに、口元は違う動きをしているのだ。声帯の作りが違うのかもしれないが、たぶんスキルとかの影響なのだろう。会話が出来ないという事がなくて安心した。
「さて、危機について説明しておこう。この世界では魔法や魔物が存在する。そして、魔物の上位種として、魔王がいる。魔王は魔物に強制力の強い命令を出すことができ、今代の魔王は危険思想の持ち主で、次々と村や町を襲っている」
すでに魔物の多い地区の周辺にある村は、壊滅されている所もあるらしい。
強制的に隷属させる方法もあるらしく、捕まった人々の一部は奴隷として使われているとか。
まあ、奴隷は人間社会でも使われている。特に必要な情報でもないだろうから、説明はしないけどね。
また、彼の説明で知ったのだが、この世界には人、というか人類以外に獣人類や妖精種といった生物もいる。ちなみに、エルフやドワーフなんかは妖精種に入るんだと。
「そういうわけなんです。どうか救っていただけませんか?」
かなり断りづらい状況だった。
この世界に住む者の危機だという事もよくわかった。
だが、俺の考えとしてはすでに決まっていた。
みなさんこんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
がっつりテンプレ回ですね。
まあ、こういうセリフは王が直々に言うはずなんですけど、今はほら、負傷中ですので勘弁してあげてください。
今後ともよろしくお願いします。