後遺症? 01
「正和様がお見えになられました」
「入れ」
扉の向こうから、そんなやり取りが聞こえてきた。
「お入りください」
フェルトがそう言いながら、背中を押してきた。
「わかりました」
そう返つつ、扉を開ける。
「正和殿、よく来てくれた。さあ、お好きな席へ」
「はい。ありがとうございます」
俺は失礼にならないよう、下座の方へと回る。
「そんなに離れる必要はない。もっと近くでどうか?」
「いえ、そんな」
「いやいや、遠慮する必要はない。それに、遠いと話しづらいだろう」
「え、遠慮なんかじゃ」
「良いから、いいから」
どこかのおじさんのように、近くに座らせようとする。
このまま話してもらちが明かないと思い、仕方なく近くの席へと移動する。
「えっと、父さんたちは?」
誰も来ていないのを不思議に思い、そう聞いた。
すると、いつの間にか王様は俺の目の前の席に座っていた。
「まだ呼んでいない」
「なんですって?」
俺は声のトーンを落とし、警戒を強めた。
「警戒する必要はない」
「この状況で解くことが出来ると思うのか?」
憎まれ愚痴を叩く。
いつでも逃げられるようにプランをいくつか立てる。
「はぁ、ソフィから聞いたが、君は本当に疑り深いな」
「突然知らない場所に連れてこられて、帰れなくなったので、こうなってもしかたないのでは?」
「それもそうだ」
王様は笑って返した。
「で、何を聞いたんです?」
「ん?一言で言うなら惚気かな?」
「は?」
「いや、ほんと。よくもまあ私に愛娘の惚気話を聞かせてくれたものだよ。
今すぐにでもやってしまいたいくらいだ」
「いや、ちょっと、ほんとに何言ってるんですか?」
「ははは、大丈夫だよ。今君たちに何かをしようという気は全くない」
「はあ……」
俺がよくわからず、困惑していると
「ま、そんなことはさておき、皆が余計なことを話したようだね。すまない」
王様は首だけを下に向けた。
みなさんこんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
なんの後遺症かは、3話を読めばわかります
そろそろ、家族も出さないと……
今後ともよろしくお願いします。