全軍! なんとしてもここを死守するのだ!
「言いたいことはわかりました」
「ああ、これは説明のために言っているのであって、考え直してもらうためではありません。こんな状況の中でも、最後まで反対していた人がいます」
「それが、ソフィ様、だと?」
フェルトはこくりと頷いた。
「あの方は民を愛しているのとともに、貴方たちの事も心配していました。
いえ、その当時は召喚されることになる異世界の人、ですね。倒すために多くの民が亡くなるとしても、これは自分たちの問題だから。そう言って反対し続けたのです」
なるほど。
召喚は彼女にとってもつらい決断だったのか。
そして、その決断の後召喚した人たちが、戦ってくれないとなれば嫌にもなるだろう。
「ですが、俺たちは戦い方なんて知りません。ただステータスが高いというだけで討伐に出されても、すぐに死ぬでしょう」
「もちろん。そのために今も時間稼ぎをしています。戦えるようになるまではなんとしても戦線を死守するようにという命令が下されています」
「死守とは……」
「文字通りの意味です」
「………………」
なにも返せなかった。
「もちろんこれはあなた方のためだけではありません。その間に避難場所を確保する。戦える人材を増やす。やっていることは多いです。最低でもあと1年は持つでしょう」
それでも一年なのか……
「さて、余計なことを言ってしまいました。この話は忘れていただいて結構です」
フェルトは扉の前で止まると、そう言いだした。
雰囲気もさっきとは違う。
「こちらが食堂でございます。中に入ってお待ちください」
「わかりました。ありがとうございます……」
少し声のトーンが落ちていた。
フェルトは俺に顔を近づけると、
「さっきのことはお忘れください。そう申したはずです。くれぐれも、よろしくお願いいたしますね?」
「……分かりました」
そんなヘビーな話を聞かされて、簡単に忘れることが出来るわけもない。
だが、ここはそう答えておこう。
みなさんこんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
タイトルは最前線で戦っている指揮官のものです。
本編に登場することが出来るのか、むしろ登場するまで生きているのかは不明ですが、ジャネックさん、出てこれるといいですね。
今後ともよろしくお願いします。