胸が痛いです……
なんの音だろうと周りを見るが、特に壊れたものはない。
「誰かが監視についていたとか?」
「いえ、そうだとしてもこんな音はならないはずなんですが」
それもそうだ。あれは何かが割れた音だろう。
俺も彼女もなにが起きたのかわからず、部屋の中を調べようと歩き回ろうとした。
「いたっ」
彼女が突然そんな声を出し、胸のあたりを押さえた。
「どうした?」
なにかの攻撃かと思い、とっさに当たりを見回す。
もしかしたら俺の魔術が不完全で、狙いがずれたのかもしれない。
「……もしかして」
彼女は俺に背を向けると、ごそごそと動いた。
「やっぱり……」
なにかに気が付いたようで、胸元からネックレスを取り外していた。
「あの、えっと……」
「ん?」
彼女の手には、さっきまで服の中に隠れていたネックレスがのせられていた。
「これが壊れたみたいなんです」
「これって、ネックレスだよな」
「はい。ここについていた魔石が壊れたみたいで」
「それはよくあることなのか?」
「いえ、聞いたことはないですけど……」
こっそりとそのネックレスに【鑑定】をかけてみる。
「ごめん。俺が壊したみたいだ」
それは王女の身を守るためのネックレスで、解毒の効果が付いていた。
だが、その効果は俺のアンチマジックによってなくなっていた。魔石に効果が付いていたので、効果はなくなってしまうのだろう。
「すぐに直す。貸してもらえるか?」
俺は鞄から工具を取り出しながらそう言った。
「はい。それはいいのですが、直せるのですか?あなた方の世界には魔法はないと聞きましたが……」
「大丈夫。どんな術式が込められていたのかは、大体読めたから」
彼女からペンダントを受け取り、魔石が付いていた部分をニッパーで切り離す。
ソフィが興味深そうに見ているが、気にしない。
「形を変える魔法ってなにか知らない?」
「それならフォームチェンジという魔法があります。子供が遊びで使う程度なので、かたい物はあまり加工できないと思いますけど……」
「見せてもらってもいいか?」
「わかりました『フォームチェンジ』」
彼女は近くにあった木の棒を変形させ、球体にした。そして、薄く延ばしたり立方体にしたりと、様々な形に変えていく。
「こんな感じです。使えそうですか?」
「ああ、大丈夫そうだ」
この魔法はINTによって加工できる硬さが変わる魔法だった。
俺たちのような異世界から来た者なら、大抵の物は変形させることが出来るだろう。
みなさんこんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
お察しの通り、胸元に魔石のかけらが当たり、痛かった。という事です。
恋とかの話ではないですよ?
今後ともよろしくお願いします。