表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリンから始まった!  作者: 冷星 夜姫
異世界アーシカル
7/18

7=異世界、長い夜 前編


 意気揚々と山を登り出したキルは、直ぐに次の魔物を見つけていた。今度見つけたのは、亀だ。そう、亀としか表現出来ない魔物。だが、その大きさはばかでかい。


 (こいつ………もしかして、あの熊の魔物よりも?いや、この感じは………)


 一見熊の魔物よりもこの亀の魔物の方が強そうだが、魔物となり短い間だが戦闘を繰り返してきたキルにはわかった。熊の魔物の方が圧倒的に強い、と。


 (だけど、こいつが強いのも本当だ。確実に、俺よりも)


 そう認識した途端、キルの体が震え出した。恐怖に震えたのではない。武者震いだ。キルは寧ろ、喜んですらいた。


 (格上?上等だ。いつも敵が自分より弱いとは限らないんだ。やってやるよ!)


 キルは殺気を隠しながら、亀の魔物に近づいていく。前では恐らく気づかれるから、後ろから。無事気づかれずに後ろにつけた。後は攻撃するだけ。キルが狙ったのは……………。


 「…………………」

 「グゥアァァァ!!」


 亀の魔物が苦悶の声をあげる。キルが斬りつけたのは、後ろ足だった。深く足を切り裂いたキルは、次はもう片方の後ろ足を攻撃するために移動しようと斬りつけた後ろ足を蹴って…………吹き飛ばされた。


 「グゥアァァァァァァァ!!!」

 「…………っ!?」


 斬りつけたばかりの後ろ足で蹴られたのだ。痛みに耐えながらもなんとか空中で体勢を整え、着地する。

 被害は最小限に抑えられた。怪我は奇跡的になく、衝撃が残っているだけ。キルは直ぐにまた亀の魔物へと走る。相手が強いと、再認識して。


 (敵は俺より強い。大きい。だけど…………俺がやる事は変わらない!)

 「……………」

 「グゥアァァァ!?」


 キル通り抜け様に先程と同じ足を斬って、今度は攻撃を警戒しながら、後ろ足を蹴って上へと登る。

 キルが狙っているのは一撃必殺。首だった。大きい体に狙えるのは甲羅から出ている部分だけ。そうなれば、首を狙うのは当然だろう。

 だが、当然亀の魔物もそれには対応してあった。首回りに、鋭い棘が生えていたのだ。

 だけど、キルは関係ないとばかりに突っ込む。キルは棘を斬った。斬って斬って斬りまくり………気がつくと、棘は全てなくなっていた。キルはその無防備な首を切り裂く。


 「グゥアァァァ!」

 「……………………」

 「グゥア?グゥアァァァァァァァァァァァ!?」


 当然、大きさが違いすぎるので、一撃では死なない。だから、キルは斬り続けた。何度も斬撃を浴びた首はやがて…………。


 「グゥアァァァ………………」

 「ふぅー、やっと終わった」


 気がつけば、辺りはすっかり暗くなっていた。首を落とすのに、結構時間がかかっていたらしい。


 「なんとか倒せた、な。ふわぁー、なんか疲れたな。とりあえず、おやすみー」


 キルは疲れから甲羅の上でそのまま寝ようとした、が。キルが眠りにつこうとした時、ガシャン、と。何かがぶつかりあうような、乾いた音が聴こえてきた。

 その音で意識が覚醒し、キルは短剣を構えながら辺りを警戒する。

 音は次第に増えていき、どんどん大きくなっていく。キルは、漠然と不安を覚えた。


 「はは、なんか嫌な予感がする………」


 そして、音が止まり、静寂が流れる。雲が動き、月明かりが地上を照らす。そこには、無数の人骨が並び立っていた。


 「…………っ!」


 キルはそれを見て警戒をより強める。キルの頭の中では、【危機察知】が大きく警報を鳴らしていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ