5=異世界、確認
「よっ、と」
翌日。キルは早速次の進化へ向けて、魔物狩りに励んでいた。まだ高揚がぬけないのか、既に五匹も倒している。
「ふぅ、少し休憩するかな。そうだ、スキルの確認もしとくか」
キルはそう言って木の上に登り最低限の安全を確保しながら、改めてスキルの確認を始める。
【消音】は、移動時や攻撃時の音を小さくしてくれる効果だと思われる。まだキルの熟練度が少ないからその程度だが、いずれは完全に音を消すだろう。
【潜伏】は、敵から隠れる効果だろう。気配だけじゃなく、以前の戦いで、目の前まで近づいてもキルに気づいていない事があった。
【夜目】は、暗闇の中でも日中の様にはっきりと見える効果だろう。これはキルの意思に関係無く、常に発動しているようだ。
【暗殺剣】は、たぶんこの短剣を扱い易くするスキルだ。ラノベで出てくる、【剣術】スキルと同類だろう。
【特殊進化決定】は、たぶん文字通りの効果だ。称号にもなんか加わっていたし、進化先を特殊なものに限定するスキルだと思われる。
【言語】は、この世界の言語を話せたり、読み書き出来るようになるスキルだと思われる。話す方はまだ試していないが………。
【疾走】は、恐らく速度を上げる効果だろう。これも夜目と同じ、いわゆるパッシブスキルみたいだ。
【危機察知】は、身近な危機を察知するスキルだ。このスキルのおかげで、キルは何度も救われていた。
【飢餓耐性】は、その通りだろう。食事は、一日一回で充分になっていた。
【気配隠蔽】は、気配を薄くするスキルだ。これは【潜伏】の様に、姿を隠す事は出来ない。ただし、気配の隠蔽度はこちらの方が高いみたいだ。
【跳躍】は、その名の通りのスキルだ。戦闘中に動き回っていたから覚えたのだろう。
【無呼吸】は、たぶん戦闘中にキルがほぼ息を止めていたから覚えたのだと思われる。これもパッシブらしく、戦闘中が随分楽になっていた。
「こんなところかな。さて、休憩も充分にしたし、そろそろ移動するかな。目的地ももうすぐだし」
キルは木から降りて歩き始める。そう、キルはある場所に向かっていた。それは森の中から見えていた、大きな山だ。
そこに移動を決めた理由は単純に、その方向に行くにつれ、魔物が強くなっていたからだ。進化した後、キルには戦闘が物足りなくなっていた。キルが森の魔物の実力を、大きく上回ってしまったのだ。
強くなるには魔核が必要。だが、既に五匹も倒しているが、以前のような力が溢れる感覚はなかった。たぶん、自分と実力が同等かそれ以上の相手の魔核じゃないと、大した効果は無いのだろう。
キルが森を進んでいくと、木々が少なくなっていく。やがて、完全になくなった。
「着いたか」
キルの目の前には、頂点が見えない程に高い山がそびえたっていた。