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イケないメイドさん

 眩しい――。


 重たい瞼を持ち上げ薄目で覗くと、開け放たれた窓から朝日が私の睡眠を妨げていた。


 太陽め、私の安眠を妨害すとは何様のつもりだ。粉々にしてやろうか。

 そう思ったが、太陽は女神が宿っているともいうので乱暴はよくないと思い直す。私は女性に暴力を振るう趣味はない。女神が朝から私を照らしているのだと思えばほんのり興奮してくるではないか。


「うーんっ――」


 体を伸ばし、固まっていた体をほぐす。一か所どんなに伸ばしてもほぐれない箇所があったがそれは今はいい。

 私はいつの間に眠っていたのだろう。昨夜はたらふくワインを飲み、全裸のまま椅子に座っていたはずなのだが。


「お、おはようございます……」


 女性の緊張したような強張った声がし、夜這いか? と一瞬期待するも既に朝日が射しているのだ、夜這いなわけもない。


 そうだ私は昨日、今までの自分と決別する覚悟を決めたのだったな。偽りの仮面をつけた真性包茎だった私と別れ、ずる剥けになった真の私を世界に披露するのだと。


 生来の小心から小出しにしていた本性を今日という日を境にして全開放するのだ。


 恐怖や緊張、不安がないわけではないが、決して不快だとも感じない新しい感覚。例えるならばおろしたてのシャツに袖を通した様な、娘の様に可愛がってきた女の処女膜を貫く様な、そんな新鮮で刺激的で清々しくも背徳感に包まれた気分である。後者のシチュエーションは色本でしか知らぬがな。


「ご主人様。朝でございます」


 おっといかん。メイドが起こしに来てくれていたのを忘れていた。いつまでもベッドから出ようとしない私をメイドは不安げに見つめている。


 彼女の名はリタ。リタは非常に優秀なメイドである。メイドが優秀でないわけがないのだが、リタはまるで私の心が読めるかのように、私がしようとしていること、したいと思っていることを先回りして補佐してくれる。そこまで気が回るならばいっそ私の変態性も見抜いてくれればいいのに、童貞を無理矢理奪ってくれたら最高なのに、と思わなくもない。


「おはようリタ。今日は……君だったか」


 君が最初の犠牲者になるのか。かわいそうだが覚悟を決めろ、ベルヴェール。


「は、はい」


 昨晩飲んだワインが膀胱を風船のように膨らませ、前立腺を激しく刺激している。それにより愚息は朝から猛獣の様に猛り、今にもこの小娘を襲わんとす獰猛な視線(にょうどう)をシーツに隠していた。


 これは計画的朝勃ちである。起こしに来たメイドに、この荒ぶり猛り狂う愚息を見せようと予め全裸でいたのだ。ワインをたらふく飲んで寝たのも酔いたかったからだけではなく、起き抜けから愚息を最高の状態に仕上げるためだ。


「ふふっ」


 用意周到な自分に思わず笑ってしまう。


 昨晩は酔った勢いで窓を開放し、そこから見える町に向けて愚息をさらしていた。夜風に当たり心地よさげに揺れる愚息はどこか嬉しそうに見えた。きっと今日という日をこいつも待ち望んでいたのだろうな。


 さぁ、本番はここからだぞ愚息。お前をリタに見せて驚かせてやろう。おいおい、何をそんなに震えているのだ。先走って暴発するなよ?


「朝食の準備が出来ております」


 リタは私が起きたのを確認すると、ワインの空き瓶を片付けはじめていた。起こすだけではなく掃除までしようというのか。甲斐甲斐しく働く様が胸をうち、新調して露出度の上がったメイド服が愚息をうつ。


 よく働いてくれるリタに己の剛直を見せつけることに戸惑いがないわけではない。もしかしたら尊敬を失い、汚物を見るような目で私を見るようになってしまうかもしれない。だがそれでいいのだ。本当の私を知り、リタの本当の感情をぶつけられるならば嫌われようとも、なじられようとも、踏まれようとも歓迎してやる。


 とはいえ突然襲い掛かるような真似はしない。私は権力を笠に着て強引に行為を迫るような男が何よりも嫌いだ。変態的な行為には及ぶが、決して手を出すつもりはない。逆に権力を利用したり弱みを握られて少し歳のいった未亡人に監禁され、性的な拷問を受ける展開は激しく興味があり――っと、その話はどうでもいいな。


 さて、何と言ってリタに己の欲棒をぶつけようか。


 目につくのは主張の激しい尻だ。毎日これ見よがしに振りおって……。けしからんな。これは職務違反だ。主人である私を興奮させた「業務上過失勃起罪」である。躾を与えてやろう……。


 思いっきり権力を笠に着ている気もするが、とりあえずは心の中ではそういう設定にして弾みをつけた――。


 毛布を蹴飛ばし全裸で愚息を反り立たせたままリタの後ろに立つ。この間僅か2秒。


 この身を焦がすような興奮と緊張……既にこれは快感と言っても差し支えない。あと数センチ私が前に進めば、ワインの空き瓶を持ったままぼーっとしているリタの尻に、パンパンに膨れた我が下半瓶が当たる。


「私の準備もできている……。ところでリタ……」


 これをどう思う?


 そう声を掛けようとしたところで、一匹の蜂が室内を舞っていることに気付く。昨夜から窓を開け放っていたせいで朝の蜜探索をしているところで迷い込んでしまったようだ。

 ワインに蜂蜜を垂らしていたので、その匂いに誘われたのかもしれないな。


「む? この蜂は」


 我がハイルズ領の名産の一つでもあるハチミツ。そのハチミツを生産する養蜂所の蜂か?


「え? あっ!? きゃぁあああ!」


 振り向いたリタが私の愚息を見たのか慄き甲高い悲鳴を上げた。


 やっと私が全裸だという事に気づいたようだな! どうだどうだどうだっ!! 蜂の様に鋭くはないが、婦女子の尻を挿すために存在する太い肉針でお前の豊満な尻を一突きも二突きも、いいや百裂突きしてやろうか! だが私は童貞なので、できればリードして優しく抱いてくれると助かるぞ!


「凄いことになっているだろう!? フハハハ!」


 リタに怒張した愚息を顔の前に突きつけて見せ槍――と、いきたいところだったが、その前に羽音をたてて室内を飛び回る蜂を捕まえなければ落ち着かない。私の新たなる旅路を一歩目からくじくとは忌々しいやつである。


 愚息を右に左に振り回しながら温厚で非常に鈍臭い種の蜂を追いかける。


 捕まえてすぐに殺してしまっても良かったが、この蜂が運ぶ蜜が私の飲むワインに入ると格別な味となる。この蜂は私に幸せを運ぶためにせっせと働いてくれていると考えれば心も穏やかになり、蜂だって領民のようなものだと思えてきた。


 無暗に殺さず逃がしてやろう。 


「そら、悪いようにはしない」


 両手で包み込んだ蜂を窓から外へ逃がしてやる。

 蜂は突然人間に追い回されて驚いたのだろう、いつもよりは少しだけ早い速度で飛んでいく。

 蜂の飛び去って行く姿を見守り、穏やかな気持ちのまま振り返ると、リタはペタンと腰を抜かして床に座っていた。


 一旦愚息で思考するのを止め、蜂のお陰で穏やかになった心と頭で考える。

 徐々に自分がとんでもないことをしているのだという実感が湧いてきた。私は何をしているのだ?


 大切にしてきた使用人に朝っぱらか鬼勃起した愚息を突きつけ、腰を抜かせるほど怯えさせている――字面だけで犯罪の臭いしかしない……というか犯罪そのもの。何が業務上過失勃起罪だ、それは私に適用される罪ではないか。


 リタは余程私の愚息が恐ろしかったのだろう、ただでも白かった顔を更に白くし震えてしまって動けないでいる。


 予定では、「そんなことよりもリタ! このパンパンに膨らんだ愚息を見てくれまいか! 見るだけでは満足できぬなら蜂蜜を塗って味見してくれても構わんぞ!」と、迫るつもりだったのだが、震えるリタを見ていると、とてもではないがそんな蛮行に及べる気にはなれなかった。


 言い訳をしなければ。朝から全裸で肉針を膨らましている言い訳を……。


「ち、違うのだ……これはその、そう蜂に刺されてしまったのだ!」

「えっ、えええぇえ!?」


 馬鹿か私は! 蜂に刺されたぐらいでここまで膨らむものか!

 愚息よ、今は鎮まってくれ。これは予想していた展開と違う。まさかここまでリタが怯えるとは思っていなかったのだ。


 リタは抱えていた空き瓶を落とし、驚愕の表情で愚息を見つめている。


「毒を吸いだしましょう!?」

「ええぇぇえ!?」


 次に驚いたのは私だ。

 怯えているとばかり思っていたリタからの唐突で意外な提案。


 そうか、仕事のできるリタのことだ咄嗟に機転を利かせて私の嘘を、嘘から設定(シチュ)に変えたのだな。こんないたいけな少女に私はなんという……。


 毒針で膨らむ肉棒を吸うという設定――非常に魅力的だ。だが、私は気づいてしまった。リタの目に色が宿っていることを。あれは、あどけなさの残る十五歳の少女がしていい目ではない。あれは何千本も咥えてきた上級娼婦の目である。


 その目で愚息を値踏みするように見られ、私は臆病という病に侵された。

 四十年以上大切に――してきたわけではないが、とにかく守ってきた童貞をこんな簡単に捨てていいのだろうかと、ここにきて怖気づいてしまったのだ。


 思わず私は後ずさってしてしまう。転がっていた空き瓶に足を滑らし転倒すると、今度はリタが私を見下ろしていた。


 いつの間に距離を詰めたのだ!?

 体は震え、愚息もがちがちと音を鳴らしている。


「い、いや、大丈夫だリタ……だから――」

「……」


 リタは何も言わず、口角を上げてニヤリと笑った。


 その瞬間、私は背筋が凍り微動だにできなくなる。


 食われる――そう思った。


 リタの瞳は私を飲み込もうとしているかのように見えた。真実、私の愚息を飲み込もうとしているのだから間違いではないのだが。


 私に魔術の稽古をつけてくれていた御師様は言っていた、「スカートを覗く時、スカートもまた私を覗いている」と。これは悪しき者を興味本位で見続ければ、いずれ自身も悪に染まり我が身を滅ぼすだろうというような意味だった気がするが、まさに今がその言葉にピタリとはまる気がした。


 リタは私の本性、邪気に当てられ錯乱してしまっているのだ。いや、もしかしたらこれがリタの本性なのかもしれない。他者に己をさらけ出すという事は、他者もまた本性をさらけ出させてしまうものなのだろう。


 なんということだ。つまり私は、リタの本性を暴いてしまったのか――。




 ☆




 私はメイドのリタ。


 このディオール辺境伯家のメイドとして雇われている十五の娘。

 元はとある男爵家の五女でありましたが、産まれる前より借金の形としてディオール辺境伯家でメイドとして働くことは決まっていました。返済期限はありませんでしたが、あまりにも多額な借金を肩代わりしていただいているため、実質的に私はご主人様に「買われた」と言ってもいいかもしれませんね。


 つまり私はご主人様のものです。


 だけど私はそんな自分を不幸だと思った事はありません。何故ならばディオール辺境伯家のご主人様と言えば、この国の中でも随一の明主と名高いお方。ディオール辺境伯家のメイドを務めさせていただけるというのはそれだけで名誉なもの。そのせいで姉達からは酷いいじめを受けたものです。それもご主人様に仕える日が来ると言うならば、いくらでも耐えることができましたが。


 そして今日……遂に遂に遂にッ! ご主人様を起こすことを許された記念すべき日ッ!

 数いるメイド達との熾烈な戦い(くじ引き)に勝ち抜き、ご主人様の寝顔を拝謁する栄を授かったのです!



 私はノックもせずにご主人様の寝室へとお邪魔させてもらっていました。下手に起こしてしまっては至福の時が減ってしまいますからね。起こしに来たのに起こさぬように抜き足差し足です。

 ご主人様を抜いて差し上げたり、抜いたり挿したりしたいですが、それはメイドの身に余る過分な夢。今日のところは我慢しましょう。今日のところは、ね。

 なんて私は先輩たちの様に知識は豊富ではありません。先輩たちの真似をして一緒に笑ったりはしていますが、何を挿して抜くのかはさっぱりです。まさかとは思いますが、ご主人様のお尻に……?


 さて、それはまた先輩に聞くとして、まずご主人様の寝顔を視姦させていただきましょうか。

 どれどれ……っと。


「カハ……ッ!」


 なんて美しいお顔をなんでしょう。

 とても四十代とは思えない幼くあどけない寝顔。この顔を見ているだけで子も生した事のない生娘の私でも胸から母乳が噴き出してしまいそうになります。


 魔力の多い方は歳を取るのが遅くなるそうで、ご主人様の成長が遅行化しているのはそのためだと執事長のバロールさんは言っておりました。


 さぁいつまでもご主人様を見ていると、うっかり襲って既成事実を作ってしまいそうになるので次の仕事に移りましょう。事実の作り方はわかりませんが。


 昨夜ご主人様がワインとグラスを持って歩いていたのを見かけました。つまりこの部屋のどこかにご主人様の唾液が付いたグラスがあるということです。


「あった……」


 名推理です。

 窓の近くにある小さな丸テーブルの上。そこに目的のブツを発見しました。ですが置いてあるグラスには使われた形跡はなく、空きの瓶が置いてあるだけ。


 はて、これは一体……。


「ハウッ……」


 ご主人様はまさか直接この瓶にお口を!?

 あの幼い顔立ちを気にして、野蛮な男に憧れ、貴族らしからぬ荒々しく下品な振る舞いをしてみたかったのでしょうか!?


「くッ……尊い、そして貴いッ貴ぉいッ!」


 胸が苦しゅうございます……リタはご主人様が愛しすぎて胸が苦しゅうございます! 興奮しすぎて溢れてきた涙をこっそりその可愛らしいお口に注いでしまおうかな!? ……っといけない。今はそれよりもやらなければいけないことがありますよね。


 それは間接キスでございます。


 私はご主人様が口をつけたと思われる、このワインの瓶の口を舐めなければならない。舐めなければご先祖様に顔向けできないのです。


「ふふふ……はぁ……」


 ぺろりと舐めましたが、これがなかなかどうして甘美なお味でございます。思わず目を瞑り天を仰いでしまいました。


 ワインの香りとご主人様の唾液、それとほんのりと残る甘さは蜂蜜でしょうか。美味を超えた神の味、神味とでも称しましょうか……これは姉達のいじめに耐え抜いた私に、神が授けてくださった褒美なのでしょう。


「うーん……」


 ご主人様が起きたご様子。驚いて心臓が口から、胸からは母乳が飛び出すかと思いました。


 一心不乱に舐めまわしていると、時計の針は三十分も動いていました。ご主人様は時間をすっ飛ばす能力でもお持ちなのでしょうか。それだけ舐めていれば起こさずとも自然に起きようというもの。

 涎をハンカチで拭いて表情を整えます。口の周りがベトベトになっていたのでハンカチも大変なことになりました。


「おはようございます……ご主人様。朝でございます」


 自分がしていたことに気付かれぬよう努めて冷静に朝の挨拶をしましょう。

 ですが朝だということぐらい窓から差しこむ陽の明るさでわかります。愚かな事を言ってしまいました。もしかしたらこの不自然な言から、聡明なご主人様は私の痴態に気付いてしまうかも……。でもちょっと気づかれたらどんな反応をするのか見てみたいというイケないリタが心の暗いところから――。


「おはようリタ。今日は君か」


 今日は私?

 まさか先輩方も瓶を舐めていらっしゃるのでしょうか。これはいつものことだから特に不快ではないと仰りたいのかもしれません。拍子抜けです。


「は、はい」


 でもリタは申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 ご主人様は何かを深く考えているような難しい顔をしています。その険しいのに可愛いお顔、眉毛が抜けるほど眉を舌でなぞりとうございますね。


 そうだ、いくら許されたとはいえ私の唾液にまみれた瓶を置いたままにするわけにはいきません。

 これは片付けて自室でまた楽しみましょう。リタはたった今、食べ終わった骨付き肉の骨を持ち帰る犬の気持ちが理解できました。リタはご主人様の犬でございます。


「朝食の準備が出来ております」


 瓶をこっそり持ち帰るため、不審に思われぬようペご主人様を他の部屋へ誘導しなければいけません。


「ところでリタ……む? この蜂は」


 瓶を片付ける振りをして懐にしまおうとしているとご主人様に呼ばれました。

 胸にハマった瓶がみっともなくて体を向けることが叶いません。


「え? ……あっ!? きゃぁあああ!」


 なんとか顔だけ振り向かせると、そこには一匹の蜂が飛んでおりました。

 私は幼い頃に一度、毒蜂に刺されており、もう一度刺されれば命はないとお医者様に言われております。確かアナフェラキシーだかアナルヒエラルキーだとか言っていましたか、とにかく蜂は私の天敵。蜂だけはイケません。


「凄いことになっているだろう!? フハハハ!」

「――!」


 あっ、バカ、こっち来るなって! などと声にならぬ声で蜂に向けて叫んでいると、なんとご主人様が蜂に話しかけながら捕まえてくださいました。


 まさか私を守る為に自ら動いてくださった……? 


 殺してしまえばいいものを何故かわざわざ両手で包み込んでおり、それを窓から放ち逃がしています。蜂を見る目は慈愛に満ちており、領民の子供の頭を撫でるときのような優しいお顔をしていました。


 まさか私の命を守ると同時に、蜂の命をも尊重し慈しまれたということでしょうか。

 自身が刺されるということも厭わず恐れず、私を守り、虫の命を守る――。駄目です、私はもう興奮しすぎて力が入らずお漏らしをしてしまいそうです。先輩方の助言に従い予め吸水性の高いオムツを履いてくればよかったです。


「ち、違うのだ……これはその――」


 そう言われ改めてご主人様を見ると、なんと全裸でございました。


 眼福――。


 この一言に尽きます。

 幼い顔立ちには不釣り合いな引き締まった体。あの腕で押さえ込まれ「瓶を舐めていたのを見ていたぞ。そんなに私の唾液が欲しいか? ならば口を開けろ。お前は今日から私の痰壺だ」と言われたいです。そうすれば私はご主人様の部屋に常駐できるので喜んでその役を引き受けます。


 あれ? これはどういうことでしょう、ご主人様の股には信じられない程に肥大化させたお館様が立っておられます。


 まさか蜂に刺されて……!?


「――そう蜂に刺されてしまったのだ!」

「えっ、えええぇえ!? 毒を吸いだしましょう!?」

「ええぇぇえ!?」


 先輩たちから聞いた男性のソレを遥かに上回る大きさですので、蜂の毒に侵されているいるのは間違いないでしょう。毒を吸い出せばいいのはわかっていますがメイド風情が主人の肌に触れるなんてとんでもないこと。ですがそんな遠慮をしている場合ではありません。このチャンスを逃す手は――いえいえいえ、旦那様を窮地からお救いしなければ!


「い、いや、大丈夫だリタ……だから――」


 ご主人様なら私がこの屋敷に勤める前から調べてご存じのはず。私が次に蜂に刺されれば一発アウトで逝ってしまうと。だから自身は裸だというのに身を挺して守ってくださったんですね。なんとお優しい。

 毒を吸い、それが体内に入ってしまえば私は死んでしまうでしょう……多分。ですがそれでも構いません。この命を差し出すに不足のない、いえ、この方にこそ私の全てを捧げたい。


 私は自分が死ぬかもしれないというのに心が温かくなり、思わず微笑んでしまいました。


「今吸わなければご主人様が逝ってしまいます」

「い、今はイキたい気分ではないぞ!? いや、今でなくてもいつでもイけるからな!」


 逝きたい気分のときなんて普通はありません。

 ハッ――もしやご主人様は多忙な日々に精神をすり減らし、自ら死をお望みで!?

 だから毒を抜かず、死を受け入れると仰りたいのですね!?


「駄目です! させるものですか!」

「さ、挿せる物!? そ、その瓶のことか!?」

「抗ってください! 生きましょう!」


 死の誘いなんかに屈しないでください!


「乱暴を働くからイキましょうだと!? そんな、や、やめ……ヒッ!」

「失礼しますッ」


 へたりこむご主人様のまたぐらに飛びつき、手をどかして内腿に手を置く。この間僅か0.1秒。

 蜂に刺された患部を探そうと目を凝らします。


「うあ、あぁ……」


 満遍なく腫れあがっってしまている局部を隅々まで、それこそ舐めるように患部を探していると、みるみる腫れが引いていきます。どうしたのでしょう。


「リタ、私が悪かった! 女に恥をかかせたことはいずれまた必ず形で詫びる!」

「あっ――」


 叫びながらご主人様は部屋から飛び出していってしまいました。

 経験上、蜂に刺され毒が回っているなら、あのように元気に走ることはできません。それに腫れが引いたという事は毒が抜けたか、私の知らぬ魔術を使いご自身で治されてしまったのでしょう。


 治ったのならそれでいいのですが、どこか釈然としないモヤモヤした気持ちが残ります。このモヤモヤは何なのでしょう。


 私はモヤモヤを抱えながら、ご主人様が座っていた場所に落ちている空き瓶を拾い上げ、一舐めしてから部屋を出たのでした。

ベルヴェール・ディオール


ステータス:ピューア王国ハイルズ領領主 四十六歳童貞 

状態:混乱 恐慌 自分探し

メイドたちから見た姿:一使用人の命を身を挺して救ったご主人様



リタ


ステータス:使用人(メイド) 十五歳 無自覚天然淫乱 天淫

状態:興奮 モヤモヤ 瓶隠し



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