ママは思春期で甘えん坊
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「私は天才かもしれない。普通あの状況から無事に抜け出せるものではないぞ」
「変態? まぁ普通はそんな状況になりませんからね」
「いや天才だ天才」
「ああ、天災ですか。確かに伯は災いを持ち込みますよね」
「…………」
口の達者なやつめ。
「ハンスは口が上手いな。敵わんよ」
「伯が極端に弱いだけです」
「ハァァンスくんの口が上手いってどういう意味ですかー!? 辺境伯のどの部分が弱かったんですかー!」
ハンスによる事情聴取が終わり、誤解も解けたところで二人で遅い朝食を済ませて廊下を歩いているとマリーが物凄い形相で駆けてくる。
「上手くないし弱点なんて知らねーよ……うわ酒くさっ!」
「すっとぼけないでくらさいよ!」
マリーがハンスに掴みかかり揉み合いになっている。私の弱点が知りたいのは強きを尊しとする魔族だからこその食いつき。ルルだけではなく、マリーも戦闘狂なのかもしれない。
しかし仲が良いな。廊下でこのまま子作りでも始めてしまいそうな仲の良さだ。ぶっ飛ばすぞ。
「ベル!」
「おっと」
トテテっと駆けてきて腰に抱き着くルル。私を見上げ不満げな顔をしているので頭を撫でるとくすぐったそうに笑う。
「朝になったらいなかったわ。どこへ行ってたの心配したのよ? どこかへ行くならちゃんと言わないとだめでしょ?」
ハンスに地下室に監禁されて尋問――と言うよりはお叱りを受けていたのだ。「見損なったぞロリコン伯」「子供を誘導操作して何をさせたロリータコントローラー」「そんなイチモツ、ぶち込まれたら内臓が変形するだろ」「子供と子作りはノンフィクションじゃ駄目だ」「通常時の先っぽだけで壊れるわ」「そのふざけた服の焼け方はなんだ、笑っちゃうから服を着ろ」「相手は他国の王位継承権所持者だぞ」、と滅茶苦茶怒られた。
最終的に誤解は解けたが、実はルルがゴゴムストリアスの娘だという衝撃的な事実を教えられ、複雑な気分のまま解放されたのだった。
「すまない、朝からハンスと仕事をしていた。ルルがぐっすり眠っていたので起こすのも悪いと思ってな。可愛い寝顔だったぞ」
「うー……」
昨夜裏庭で、抱きしめながら頭を撫でれば機嫌を直すと言っていたのでその通りにしてやり、更に褒めてやればどうなるかと試してみると、頬を弛ませて瞳を揺らしながら徐々に登ってくるルル。
蝉の幼虫かな? 抱きしめながら褒めるとルルは幼虫になるのか。では美女アナスタシアに同じことをやれば成虫となったルルがミンミンと求愛の鳴き声をあげながら……いや、鳴くのはオスだけだったか。
「もう……今回は許してあげるわ。でも次からはちゃんと言いなさい?」
顔の前までよじ登り、肩に顎を乗せてため息を一つつく。
「それは毎日寝たいということか?」
「…………」
機嫌を損ねたのか無言になってしまったので背中をさすってやるとギュッと抱き着いてくる。
可愛いものだ。これが魔力を吸って吸魔となった美女アナスタシアだったら愚息が突きあがり串刺しにしていただろう。しかし相手はロリアナスタシアだ、愚息も、「やれやれ、これじゃ出番はなさそうだ。しばらく眠らせてもらいますよ父さん」と静かにしているので心配はない。
「馬鹿離せよ、今はそれどころじゃないだろ! お前の姫様えらいことになってんだぞ!」
「じゃかましい! こっちもソレをソレソレした話を聞かせろよぉぉお!」
まだじゃれついているハンスたち。こっちは子供の世話をしているというのに昼からイチャつきやがって。いい加減鬱陶しいので窓からぶん投げてやろうか。
「そうだベル、今日は貴方の為にお菓子を作ってみたんだけど……」
「ほう、それは嬉しいな。しかし意外だ、ルルはお菓子を作れるのか?」
私は子供を作れるのだが、一度大人になって試してみないか?
そう言えば仮にルルと子供を作ったとして、見事孕ませたとしたら姿はどうなるのだろう。まさか子供のまま腹が膨らむのか……?
幼いルルが腹を膨らます背徳的すぎる光景が浮かび背筋が凍る。
幼過ぎると出産の際に死んでしまうと聞く、父親としてルルを守るなら悪い虫がつかぬよう目を光らせなければな。
「ううん、初めて作ったわ」
「初めて作った!?」
子供をか!?
も、もしや昨夜、私は酔った勢いで幼いルルの体に欲情し魔の手を伸ばし、魔棒を伸ばしてしまったのか……?
自慢ではないが酒を飲んだ日の寝相は他の追随を許さぬほど悪い。朝起きると全裸になっているなど序の口。そのままクローゼットの中に隠れたり、部屋の隅で膝を抱えて目覚めることもある。夢遊病一歩手前の私とルルが一緒に寝たならば、故意でなくともうっかり挿入してしまうことも十分にありえるのだ。
なんということだろう……悪い虫は私で、目ではなく愚息の先端を雫で光らせてしまったというのか……。
ルルは気丈に振舞ってはいるが不安げに私を見つめている。これがマタニティブルーというやつなのだろう。
「うん、クッキーを作ったのが初めてだったんだけど、何か不味かったかしら。怒らせたなら謝るけど……」
そっちか。
「怒ってなどいないさ。ただ驚いただけだ。ルルがクッキーを作るなど考えもしなかったからな」
子供を作ったとしか考えていなかったから驚いたのだ。
うっかり大声を出してしまってルルを不安にさせてしまったので、また頭から背中を撫でて落ち着かせてやると、柔らかな髪――以前よりも更に綺麗になったそれを頬に当ててくる。
「それにしてもルルの髪は柔らかい上に綺麗だな」
「ほんと?」
「ああ、ずっと撫でていたくなるし、触れていたくなる」
「ニハハ、じゃあずっと撫でていいわよ」
頭を私の頬に擦りつけてじゃれつくルルは子供そのもの。いつか私もルルのような子供を私も欲しいものだ。ゴゴムストリアスに掛け合って本当に貰ってしまおうか。
「おい、いい加減離せって! 酒臭いし最悪だよあんた!」
「離してほしければ二人の情事を話すんだよウケ顔!」
ウケ顔とは朝顔の仲間か? ハンスを花に譬えるとはお熱いこった。除草剤でも尻からぶち込んでやろうか。
「離すための条件が一生満たせねーよ」
泣きそうなハンスの声は力強く、だがどこか諦めたような響きを含んでいた。
☆
ルルの焼いたクッキーが食堂にあると言うので一旦移動することに。
私にしがみついていたルルは、食堂へ着くと「ちょっと待っててね。あっ動いちゃ駄目よ、ベルはここで良い子にしてなさい?」と言って厨房へ向かった。それぐらい手伝うと言っても自分で持ってくると聞かないので私とハンスは大人しく椅子に座って待っていた。
一方ハンスにしがみついていたマリーは、途中で顔を青くしはじめてハンスから離れ、トイレに行ったっきり帰ってこない。
「ハンス、マリーを孕ませたのか?」
「マリーさんがつわりで席を離れたと思っているなら愉快な勘違いですね。あの人、朝までお酒を飲んでいたようで、それでトイレに行ったんですよ」
「まぁ話の筋は通っているな」
「事実なんですから、そりゃ筋は通り待ってますよ。筋と言えば俺よりもルルアナスタシア様と伯の方ですよ――」
筋と言えばで何故私とルルが出てくるのだろう。まさかルルの縦スジとかけているのか? こいつさては悪い虫だな? 私の子供をそんな目で見るな。
「ハンス、ルルをロリスジ扱いしないでくれ」
「話の筋が通ってないって意味ですよ」
うむ、また私が悪い虫だったようだ。もう害虫レベルだな。
「まぁそうだな。急速に懐いた感じはする」
「予兆は感じてましたが懐くレベルが一足飛びというか、一気に好感度が振り切れちゃってるじゃないですか。手を出さなかったのわかりましたが、いったい何をしたんですか」
「何をしたらかか、難しい問いだな。その問いに答えるには二つの真理と一つの心理、それに偽りの――」
「そういうのはいいので結論だけお願いします。どうせかっこつけて適当な事言ってるだけでしょ」
うむ、真理とか言っておけばかっこよくて頭が良さそうに見えるかと思って言っただけだ。内容など何も考えてなかったのでハンスの茶々に救われた形となったな。
しかし結論だけ言うと、「勃起を維持することを頑張った」となるので、それを言ったらまた地下室に連れていかれそうだ。
「互いに隠し事をやめて本音で語り合っただけだ」
言うほど私は本音など言っていないし、語り合うと言うよりは触り合っていただけだ。しかしそれを言えばルルの名誉を傷つける。なので互いに半裸になって抱き合ったあたりは割愛させてもらおう。そして割愛すると殆ど話せることがないので、それだけだ――と付け加えて終わりにした。
「ふーん、本音ですか」
ハンスの胡散臭そうなものを見るような視線がつらい。どんだけ信用されていないのだ私は。
「実際のところは下着姿に見惚れて勃起していただけじゃないんですか。それでまた魔力切れの時みたいに綺麗ごとを並べてふんわりまとめたんでしょ」
「…………」
まるで見て来たかのように言うじゃないか。まさか一部始終を見られていたのか?
いや、だったら朝から地下室に連れていかれて拷問紛いの説教を受ける事はなかったか。
「勃起していた――というのは九割あっているがそれが全てではないぞ。一割は半勃起だったからな」
「最低ですね」
ハンスは笑い、メイドの出してくれた紅茶を啜る。
そうこうしているうちにルルが戻り、大皿に盛られた大量のクッキーを持ってくる。あれは三人前はあるだろうか。食後の我々では食べきれそうにない量なのだが。
「お待たせ。良い子に待てたかしら?」
「ああ、ハンスと談笑しながら静かにしていたよ」
「そう」
ルルは私の横に回り、「いい子ね」と頭を撫でてくれる。
子供に頭を撫でられるのは不思議な気分になるが、ルルがしたいようにさせてやろう。
しかしそんな私を怪しむような目で見ているのはハンスだった。どうやら私のロリ姦通疑惑はまだ完全には拭えていないらしい。
「初めて作ったから味の保証はできないけど――」
「なに、ルルが作ったものならスライムのスープだろうが、骨のから揚げだろうが喜んで食べるさ」
そう言ってクッキーに手を伸ばすと、どこから現れたのか爺やが私の手からクッキーを取り上げる。
「ハンス、坊ちゃんの口に入るものは先に毒見なさいと教えたはずですよ」
なんと失礼なことを言うのかと怒鳴りそうになったが、そうする前に事件は始まる。
――これが後々まで我が屋敷で語られることとなる「ルルアナスタシア皆殺しクッキー事件」の開幕である。
「――ッ!?」
取り上げたクッキーを爺やが口に運び一口齧ると、直立したままの爺やがそのまま床に倒れる。
爺やは脇をしっかりと閉め、痙攣しながら泡を吹いていた。ハンスは慌てて椅子から降りて駆け寄り、どうみても大丈夫ではない爺やに「大丈夫ですか執事長!」と声をかけている。
「は、ハンス……そこにいるのですか……」
爺やは口から泡を吹いており、視力を奪われたのか視線は定まらず虚空を見つめながら手を彷徨わせていた。その弱弱しく漂う手をハンスが握ると「あとは頼みましたよ……あなたならできます」と、責任を全てハンスに押しつ……託して気を失った。
性には敏感だが、その他のことには鈍感な私でも一連の流れが何を意味すのかを一瞬で理解した。
ルルが作ったクッキーは毒に対する耐性訓練を受けている爺やでも耐えられないほど不味いのだと。
「執事長、仇は必ず……取りたくありません……」
メイドたちが騒ぎに気付き、執事長を医務室へと運んでいく。私はルルを膝の上に乗せ、何事もなかったかのように頭を撫でて誤魔化そうとした。
「……そんなに不味かったのかな」
ルルの涙まじりの声を聞き、父としての私の心が勃起する。
爺やが倒れたことで完全にビビっていた私だが、迷わず毒ッキーの乗った更に手を伸ばした。しかしその手をハンスに弾かれ、勢い余った手は先ほどまで撫でていたルルの頭に戻ってくる。
「伯、ここは俺が……骨は拾ってくださいね」
そう言うとハンスはクッキーを一枚掴み、そして一息に口の中へと放り込む。
人が死ぬ瞬間は見せられぬ――と、ルルを私の方に向けて両手でルルを撫でまわす。片手でもルルは蕩けてしまうのだ、両手ならばその威力はさらに増し、通常のおよそ十倍にも達するであろう撫で撫でで気を散らす。
「えっつ、ちょ、何を――うひー!」
思惑通り、撫で始めるとルルは奇妙な声を出してだらしない顔になる。その顔があまりにも可愛かったので、調子に乗った私は頭、顔、首筋、背中、鎖骨、耳、耳裏、耳穴、腋、わき腹、肋骨、腿の付け根と、触れても問題のなさそうな健全な箇所を高速で撫でまわした。
「うひゃぁーん!!」
ひと際大きな声を上げて喜ぶルル。涎を垂らし、一層だらしない顔になっている。だがその横ではハンスの灰色の髪が真っ白になっていることに気づいていた。
髪が白くなるのはハンスの魔力切れの症状である。耐性に定評のあるハンスが、全ての魔力を使い果たして毒と戦っている姿であった。
やがてハンスは膝をつき、そして静かに横になって腹を抑えながら丸くなった。
「ハンス……」
「ハァハァハァハァハァ……もっと、もっとしてぇ……」
撫ですぎてぐったりしてしまったルルはテーブルに背中を預け、虚ろな瞳を彷徨わせていた。
少しやり過ぎたかと反省したが、その反省は活かさない。止めとばかりに頭、顔、首筋、背中、鎖骨、耳、耳裏、耳穴、腋、わき腹、肋骨、腿の付け根への連撃を食らわせ、完全に意識を飛ばしてやった。
ぴくぴくと痙攣して「パパ……しゅきぃー……」とうわごとのように呟くルルをメイドたちに任せ、私はクッキーを一枚掴んで倒れたハンスのもとへと急ぐ。
「無事かハンス!」
「伯には俺が……無事なように見えるんですか……」
「うむ、喋れるなら無事だろう」
「――ッ!」
口を開けたので手に持っていたクッキーを放り込んでやると、ハンスは陸にあげられた魚の様に跳ねまわった。一見私がしている行為は使用人の虐待にも見えるだろう。しかしその通りだ。
「どうだハンス、慣れたか」
「……鬼ですか伯は」
「愚息は鬼だが私自身は人間のつもりだ」
ハンスはゆらりと立ち上がり、テーブルを支えにしながら置いてあった紅茶を一息に呷る。髪の色は灰色に戻っており、完全にいつものハンスだ。
「久々に効きましたね……。今まで食べてきたどの毒よりも凄まじかったです」
「そ、それほどにか!」
「いや何驚いてんだよ、見ればわかっただろ。白々しい演技をするな」
ハンスに叱られてしまった。今日のハンスは辛口だ。
「執事長が倒れた時点でヤバイとわかっていましたが、まさかこれほどとは」
「して、味の方はどうだ」
「凄惨――の一言です」
「味の評価を凄惨と答える者はお前が初めてだろうな……」
「それ以外に評しようがありませんからね。まず殴り殺された小麦の無念が口内にひろがり、引き潰された小麦たちの怨念が怨嗟の声を上げます。そして無残にも練り込まれた牛乳や卵の悲痛な叫びが続き、最後は自分の体が主に反旗を翻し吐き戻そうとするんですよ。そうなったらもう凄惨としか言いようがありません」
「それは本当にクッキーか?」
卵や小麦ならまだしも牛乳を擬人化するほどのクッキーとは一体。
「俺が作った本人に聞きたいですよ。さすがに頑丈な俺でも死ぬかと思いましたね」
「そうか。だがクッキーはまだ山盛りにあるぞ……あれをどうするかだな」
「そう言えば毒アナスタシア様はどちらへ?」
可愛いルルにさらっと酷いあだ名を付けるな。父パンチするぞ。
「撫で倒してメイドたちに医務室へと連れて行かせた。あの様子ならしばらくは気を失ったままだろう」
「そうですか。一々ツッコミ入れるのが面倒なので、それで納得しておきます。今はそんな余裕もありませんし。さて……じゃああとはクッキーの処理をどうするかですね」
「ああ……」
山盛りのクッキーを前にして大の男二人が完全に怯えている姿がそこにはあった。
「食料を無駄にするのは俺の人生訓に反しますが、最早これは食べ物ではないのでどこかの山に廃棄してしまうことを提案します」
「ハンスが死にかけたクッキーだぞ? 川や山などに廃棄すればそこに住む生物が死滅する恐れがある。生態系を変えるだけの力を十分に有しているのを忘れるな」
「それもそうですね。ではどうしますか」
「……私は賭けたい」
「ルルアナスタシア様の顔にですか? メイド隊総員に告ぐ、急いでルルアナスタシア様の警護に回れ!」
「馬鹿、ぶっかけたいではなく賭けたいだ! 賭してみたいと言ったのだ!」
「ほえ……?」
むかつく顔を作り首を傾げるハンス。
クッキーを無理矢理食わせた意趣返しのつもりなのだろう、最初からわかって叫びやがったのだ。首をねじ切ってやろうか。
「私はルルの料理の腕が成長することに賭けたいのだ」
「それはいいですけど、賭けたところでクッキーはなくなりませんし、現状の打破には繋がりませんよ」
「いくら料理が苦手とは言え、毎日クッキーを作っているうちに腕前はいやでも上がるだろう。いつかは人が食べても傷害罪に問われないレベルのクッキーが作れるようになるかもしれない。私が死ぬ前には上達してくれているはずだ――」
「つまり、伯が食べると……?」
深く、そして強い意志を込めて頷くと、ハンスは私を見ながら鼻で笑った。
かっこつけたのに何で鼻で笑うのだ、殺すぞ。
「伯だけにはいいかっこさせられませんね。俺もつき合いますよ、その賭け」
「ハンス……」
殺すのはなしだ。やはりハンスは私の最良の従者だ。
「だけど、今日を乗り切ってもまた次があります。味わって食べて、改善点を見つけ出し、それをルルアナスタシア様にお伝えしていきましょう」
「なるほど、名案だな。では私が一割食べるので、残りは任せたぞ」
「は? い、いや、そこは半分ずつじゃないんですか?」
「私はハンスと違って毒物の耐性などない。いや、ないことはないが強くはないのだ。なので一割が妥当だろう」
「いやいやいや人を乗せておいてそれはないでしょ」
「ハンス、やめよう。この会話を聞いたらルルが悲しむ。折角作ったクッキーを押し付け合う様など見せたくはない」
「…………」
ハンスは死んだ魚の目をさらに湯がいたような濁った眼を私に向けていた。
ベルヴェール・ディオール
ステータス:ピューア王国ハイルズ領領主 四十六歳童貞 甲殻類 貴公子 ルルのパパ
状態:覚悟
ハンスから見た姿:鬼
ルルアナスタシア
ステータス:魔王の娘 魔族最強 吸魔の神子 勇者の子孫の婚約者 ベルのママ兼娘
状態:九歳 気絶 夢の中 百人のベルヴェールに撫でられてる
バロール
ステータス:執事長
状態:仮死
ハンス
ステータス:執事衆 従者 毒見係
状態:虚無
マリー
ステータス:ルルアナスタシアの従者
状態:トイレの住人
リタ
ステータス:メイド 借金の形(残り10,002,000 )
状態:トイレの住人
タチバナ
ステータス:メイド 戦闘狂
状態:二日酔い
パラウド
ステータス:執事衆
状態:屋敷から出立
カイマン
ステータス:ギルドマスター
状態:ソワソワ