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作者: 梨☆花


処女作です。


読んだ人なりの解釈をしていただけると嬉しいです。

気付いたら泣いていた。


泣いたのなんて何年ぶりだろうか。

夢で泣くなんて。


夢を、見ていた。

夢を見たのも久しぶりだ。


仲が良くも悪くもない、父親の夢ーー




夢は車の中から始まった。

父か運転し、私はその助手席に座っていた。


やがて、車はとてつもなく大きな会社の駐車場に着く。

あまりに広すぎる駐車場。

父親とはぐれたらどうしようと不安になった。


車を降り、ビル内のエレベーターに乗る。

乗客は他には女が1人。

年齢は覚えていないけれど、女だったことは確かだ。


何階まであったのかはっきり覚えてはいないが、ボタンの数からして20階以上はあっただろう。


そして、私は忘れ物に気がつく。

財布と携帯を車内に忘れてしまったのだ。


これから仕事に行く父を待つ間、私は1人でビル内をまわることになっていた。

ビル内はデパートのようになっていた。

とてつもなく大きなデパート。

財布がなければ買い物はできないし、携帯がなければ父と合流することは難しいだろう。


「ねぇ、車の中に忘れ物しちゃったから、取りに行ってもいい?」


広すぎる駐車場の中から自分の車を見つけられる自信など正直なかったが、これから仕事に行く父に着いて来てもらうわけにもいかないだろう。


「忘れ物?何やってんだよ。」


言いながら父は車のキーを取り出す。

そして、エレベーターのボタンを駐車場の階へ。


なーんだ、パパ、ついて来てくれるんじゃない。

すごく安心したのを覚えている。




それから場面はなぜか急に変わった。


私の家の中。

平均よりもすこし広めであろう家のリビング。

なんだかざわざわしている。


音。

銃声の音。


何?

何なの?


とにかく死にたくない!

そう思った私は、開いた扉の影に隠れた。


しかし、そこにはすでに先客がいた。

ほとんど話したことのないクラスメイトが2人、いた。


1人は顔も名前も覚えてるけど、もう1人は誰だっけ?

とにかく、もう1人、いた。


2人とも銃を構えていたの。


見ると、私も手にも銃があった。

でもそれは、おもちゃの水鉄砲なの!


「こんなんでどう戦えばいいのよ」


って思うところかもしれないけど、恐怖でそんなこと考える余裕なんてなかった。

ただだだ怖かった。


自分の家の中で銃弾が飛び交っている現状が、ただ、ただ怖かった。


怯えながらに銃を構える。

水鉄砲だけどら構えないよりはいいと思ったから。


すると、名前を覚えている方の子が、部屋の中へ私を押し込むの。

名前がわからない方の子も、すでに入っていた。


3人は部屋に入り、一つのベッドを囲むの。


そこには、銃弾を腹部に受けた負傷者の姿。

泣きながらその人に声をかける2人。


「死なないいでください」


的なことを言っているのかな?


でも、2人の声は私の耳には届かない。


だって、だって、ベッドの上の人は私がよく知っている人だったから。




私の、パパだったから。




腕の側にはビデオカメラ。


首から下げたホルダーには、『⚪︎⚪︎大学入学式•文学部」の文字とその下に私の名前が印刷された紙。


気付いたら泣いていた。


「パパ、死なないよね?

大学の入学式に来てくれるんでしょう?」


全く、お腹に弾丸ぶち込まれたくらいで死んでんじゃねーよ。


号泣するわけではなく、静かに涙を流す私の頬を撫で、パパはこう言ったの。


「ごめんな。」


ちょと、それ完全に死んでしまう人のセリフじゃない?

ちょっと待ってよ。


「な、んで?」


私の口から漏れたのは疑問の言葉だった。

なんで死んじゃうの、と。


「こうなることを知っていたからかなぁ」


苦笑交じりにパパは言った。


パパ、それどういうこと?


その疑問を口に出す前に、私はベッドの上にいた。


自分の家の、自室のベッドの上。


もちろん、銃声なんて聞こえない。

それどころか、物音一つ聞こえない。




気付いたら泣いていた。




いや、泣いていることに気付いた。


泣いたのなんて何年ぶりだろうか。

夢で泣くなんて。

夢を、見ていた。

夢を見たのも久しぶりだ。

仲が良くも悪くもない、父親の夢。












こんなゆめを見ました。

あなたはどう思いますか?













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