小さな輪廻転生
最初は真っ暗な世界しかなかった。
どこまでも続くながいながい道だ。
時折、壁に当たる。柔らかく温かい壁だ。
どこまでも続く道をただただ進んだ。
私と同じと思える者にもあえた。
一緒にいく。どこまでも続くながいながい道を。
進むに連れて仲間もまた増えた。小さい魚が群れを増す様に、私達も塊になる。
一緒にいれば怖くなかった。
旅は終わらない。終わらなくてもいいとも思えた。
だが一瞬の出来事だった。
突然光の中に入ったと思うと次の瞬間には水の中にいた。
私達がいた世界に比べれば大きいが、さほど大きくない陶器の様なところに落とされた。
プカプカと浮いている者。沈んでいく者。一緒だった仲間が衝撃と共に離れていく。
この状況になったのは初めだったはずなのに、なぜか知っている気がしてならない。
また変化が起こる。
水は渦をまき、仲間達を下に見える暗闇へ引き込もうとしている様だ。
抵抗はできない。私も抗えずつられていく。
初めてだが、妙に見覚えがあるこの一連が何かと考えようとした矢先、
私は悟った。いや正確には思い出したのだ。
私は、私達はうんこだったのだ。
ただただ下水という大洋に流され、分解されるという運命が。
そう私達における輪廻転生がここでは日々行われていた。
抗えない。みなもそれはわかっている。なら突き進もうではないか。我らの運命を。
いざいかん、下水という名の大洋へ。
完