6話・目*フォニ、コスプレ疑惑*目
「へ…?女の子?」
俺はたぶん今とてつもなくマヌケ顔であろう。
隣にいる女子達は俺と目をあわしながらただ何度も黙ってうなずく。
「ぇ―――!!おんなのこぉぉぉぉぉ!」
俺は思わず再度声をあげてしまう。
「……女で悪かったな」
「ってか…さっきのこと謝れよ!!何だよ!あれ!!男でも女でも絶対普通の人は股間にあんなことしないって!!俺の息子に謝れよ!!」
「あぁ、ごめん」
素直―。桃さん、素直―。
「でもあんたも小さいけど、息子のほうも小さいんだね」
桃は丁寧に指で表してみせながら、満面の笑み。余計な一言。
「あああああン!!!なんだと!!桃!!お前に俺の息子の何がわかる!!もうすぐ息子は成長期だコノヤロ―!!(たぶん)」
「ムリムリ…お宅の息子さんムリ。絶対ムリ。ってかもう桃って呼び捨てですか?」
「だからお前に俺の息子が何がわかるってんだ!!桃ってオマエはよびすてで十分じゃ!桃と言う名前ももったいない!」
負けまいと俺はいきよいよく桃いいかえす。
「だってさ…理屈的にさッ………本人が身長伸びなかったら息子さん伸びようがないでしょ?ウルセー鬼山。」
ガ――――――ン
桃はザキを唱えた。勇者、鬼山に痛恨の一撃。
「そ…そんなこと…そそそんなこと…」
「大丈夫だよ!!鬼山ちゃん、小さくても…小さくても可愛いから!!」
―――バタッ―――
とどめをさしてくれてありがとう…女子達☆
勇者、鬼山死亡。勝者…桃(あととどめをさしてくださった女子達)。ゲームウォバァー。
「まぁまぁまぁ…でも二人ともお互い王子様と白雪姫なんだから仲良くしよッ。ね―☆」
慌てて隣にいたすかさず女子達がフォローにまわる。
「「…………文化祭の時だけな!!」」
俺と桃の声がそろう。桃、オマエもそのつもりか!コノヤロー!!俺のほうだってオマエと仲良くするなんて、願い下げだ!
「このッ男女!!」
俺は桃に吐き捨てる。
「うるさい!女男!!」
桃は俺に吐き捨てる。
しかたがない…文化祭が終わるまでの辛抱だ俺!!
抜け毛が酷くなるだろうけど…文化祭が終わるまで辛抱だ俺!!
リング学校の文化祭は11月2日。
その事件(俺の股間が男女にわしづかみされる悲劇の巻)以降俺は桃は初対面から仲が悪くなり。お互いの印象だってたぶん最悪だろう。
まさに犬猿の仲!!俺はあいつのことが、この学年…いやこの学校…いやこの日本…いやこの世界…さらに言うならこの宇宙の中でものすごく苦手なやつで、同時に嫌いなやつだった。
なのに―――…。
なのに―――――…。
目目目目目目目目目目目目
つくづく神様はお人が悪い☆
まさかこんなところで出会うなんて!!しかも俺が鬼になった状況でだぞ!!
今日は10月31日。文化祭3日前である。俺が突然鬼になった日は10月31日。
その日不運にも隠れようとしたトイレで鬼になった俺は桃と出会う。
「ぇ…うわッッ!!」
桃は黒い目を丸めて驚いているようだ。でもそれ以上に俺はおどろきである。
なんで桃がここに―…。俺は神様を恨む。
「ぇ…お…鬼山?」
桃は驚きながらも途切れ途切れに言葉をだす。
「あ…うん…そうだけど…って―――…はい?!」
ぇ―――?今鬼になった俺を鬼山って言った?だって…鬼になった自分ですらよく俺であることが理解できないのに…桃は俺を俺(鬼山)だと気がついた?!
犬屋先生ですら俺の名前をだしても分からなかったのに―――!?!?
「何で俺ということがわかったの!?桃、お前エスパー!?」
「はぁ…?」
桃は俺に怯えるそぶりもみせずに「またこのバカ意味不明なこと言ってるよ―」的感覚の顔をしているようで眉間にシワをよせていた。
「いや…いや…まあ、いいや!!ちょっと今危ないんだ!!追われて………い………―――」
ところが―――俺が言い終わるか言い終わらないか…突然のことである。
―――「ぉぃ!!たしかここら辺にバケモノが落ちたぞ!!」
―――「探すぞ!!みんな用心しろ!!ペアを組め!」
―――「バケモノめ!!どこに隠れていやがるッ!!!!」
怒鳴り声にも似た声が次々と公園にあつまってくるのがわかった。
声の数的に10人以上の大の大人がコチラにむかってくることが理解できる。いや下手をしたら20人以上―――!?
俺は頭が真っ白になる―――。理解不可能…。
でもコレだけは言える、俺の考えは甘かった。今思うと公園のトイレで隠れようとするなんて…移動する時にすでにビルからビルに映る姿をいろんな人に見られているはずなのに…………!
「ぉぃ!!事情がなんであれ、鬼山これかぶって後ろのトイレに隠れてろ!!」
桃の声で俺は白い世界から戻る。
―――フワ―――
何か俺の頭にかかる。桃の上着だ。
「桃…お前……俺を……かくまって………くれるのか?――って何その格好!?」
「は?何って普通のキャミソールにジーパンはいた格好だけど?」
いや…キャミソールで大きな谷間が丸見えですよ!!なんて俺には言えない…。
おそらく桃はCカップはあるだろう…あんがい着やせするタイプなんだ…。身長高い人は胸も大きいのかあ!?
「おいッ何アホ面さらしてんだよ!トイレに隠れろ!!」
桃がボケっとしている俺に罵声をあびせる。
アホ面って言うのにはイラッっときたが…今は桃に頼るしかない。でも、ここ女子トイレでしょ!!俺ここに隠れるの?!
―――ドタドタドタ
―――「おい、こちらから声がしたぞ!!」
―――「ここじゃないか!?ここにバケモノが……」
2人の男がトイレに近づいてくるのが本当リアルに分かる。俺はおとなしく女子トイレに隠れることにする。
すっかり変わってしまった俺のバケモノの手。だがその手は確実に冷や汗をかいているようだ。発覚、どうやら、鬼でも冷や汗をかくようだ。
俺は息をひそめ………桃に身を任せる。いや、決して桃を頼りにしているわけではないんだけどね!!!
「どうかなされたんですか?人がすごくいっぱい公園にきているようですが……」
桃がさりげなく、トイレに来た人に尋ねているようだ。俺はトイレの中にはいっているから桃の状況が理解できないが………。
「いや……さっきバケモノがでてきてな……」
しゃがれた男性の声。
「ぇ…バケモノですかぁ?ぇ―――キョワァーィイ(コワイ)」
桃は信じられないほど、ものすごくしらじらしく言う。ちょ…おまッ……本当に俺を隠す気あるんですかあ?!
仮にもキミ今度…文化祭で王子様役するんでしょ!!そのウルトラに下手な演技を文化祭までになんとかしなさい!!
「……」
ほら!!おじさん?かな?まぁいいやおじさん達困っているじゃん!!
「まぁ…ここら辺にバケモノ見かけなかった?」
どうやらもう一人の男性の方が話をうまく切り替えたようだ。
「ぇ…みて…いるわけないじゃあないですかぁああもぅ、やだなあ。怖いこと言わないでくださいよ」
さっきから思っていたが…桃なんかハイパー下手な演技モードに入るとキャラがかわるようだ。
「だったらいいんだけど…早くアンタは家に帰りなさい。たしかここら辺にきたはずだからな…」
おじさん達はそう桃に告げてトイレから立ち去る音がする。
ヨカタアアアア!!桃のスーパーデラックスに下手な演技でもおじさん達をなんとかごまかすことができたよ!
―――バタバタバタ
―――「おい、そっちいたか―?」
―――「いやこっちには女以外いなかった」
―――「こっちにもいないぞ〜」
―――「公園に降りたような気がしたんだが…もう逃げてしまったのか?」
―――「まぁ…いい被害がでる前に別の所探そう。いそぐぞ!!」
―――バタバタバタバタバタ
数人の男達が公園から立ち去る足音がきこえる。
「ぉーぃでてこいよ。鬼山」
桃の声が女子トイレに響く。
「あぁ。というか………お前…演技下手だな……文化祭大丈夫なの?」
「っは。オマエ自分の心配しなって」
桃はそういいながら犬歯を見せてニカッと俺に笑う。あらためて桃のたくましさが俺にはないものだと思った。
なんだ…桃…いいやつなのかも………。俺は思わずそう思ってしまう。
「……………ありがとう。桃…案外オマエっていいやつなのかもな」
「は?いまごろ気がついた?(笑)でも…そのコスプレすげーな。本物っぽいもん、そんな趣味があったんだ。キモ(笑)」
「だろ!?これすごいだろ?………って、ぇ?っはぃ?コスプレ?」
思わず俺は俺自身の耳を疑う。
ぇ?ぁ?いや…もしかして?ひょっとして?ひょっとしなくても?それとも?
「でも…これだったら…おじさん達もオマエをバケモノと見間違うよな」
うんうん。とうなずきながら桃は小さい可憐な顔を上下に動かす。
ええええ――――!!
桃、俺が本物のバケモノだってこと気がついてない!!すごい!すごい鈍感だ!!
逆にすごいよ!!すごいよ!!
「どこで買ったの?すごいね、そのコスプレ。高かっただろう?」
桃が俺にそう尋ねてきた。
目目目目目目目目目目目目
ヒロイン鈍感すぎですね―*ヮラ*
すいませン;さて02…女男と男女ゎこれ力らどうなるンでしょゥ力!?*。
またお気軽にきてくださぃw
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