5話・目*フォニの息子*目
「桃??」
俺が桃と呼んだその人は、男のようなショートの髪、身長180センチメートルという…下手したら男よりも高いだろう(少なくとも俺よりは大きいが…)。
桃の整った顔は綺麗というよりもむしろ可憐という言葉がまさにピッタリだ。
桃はモデルも夢ではないだろう。
しかし、桃は……………―――。
俺とまったく正反対の女の子だった。
目目目目目目目目目目目目
―――俺の記憶は過去にのぼる―――。
―――それは文化祭前のことでした―――
「きゃ〜〜〜!!」
朝から女子の黄色い声が更衣室に響く。
まぁ…文化祭の前だからな…テンション上がるのは当たり前かもしれないが…。
デモ昨日夜の4時くらいに寝た俺には少々朝から酷だよ―。
なんだよモー新しいゲームを買ってはしゃいでいる子どもですか?
それとも、浮気の誤解が解けて喜んでいるお父さんですか?
コノヤロー。
ああ。眠たいよ―コノヤロー。
うん。あとから保健室いこう―コノヤロウー。
俺はそう思いながら、さっさと今着ている服を脱ごうとする。
「ダメだよ!!鬼山ちゃん!これ着て劇を練習しなくちゃ〜」
「そうだよ!!今鬼山ちゃんすごく可愛いんだからッ!」
俺が服を脱ごうとしたら女子達は俺の手をつかんで必死に阻止をしようとする。なんか…女子すごい顔が必死だよ!
そう。もうすぐリング学校の文化祭。
「ほらッ!!鬼山ちゃん今すごく可愛いから見てこれ!」
大勢の女子の一人の子が俺に手鏡を渡す。
そこには鏡には綺麗なひらひらしたドレスを着て…丁寧にお化粧までされていた俺が映っていた。
驚いた拍子に手鏡が俺の手からスルリと落ちる…。
―――コツン―――
地面に手鏡が落ちる。
だいたい自分自身を想像をしていたつもりだったのだが………。
「なんだよ!!!これ!ドレス着てお化粧すこしだけだってって言っていたのに…なに!これ!!俺男じゃないじゃん!!男じゃないじゃん!!女じゃんか!これ!!」
「ぇ〜〜〜だって…可愛いからいいじゃん。ね―☆」
女子がお互いの顔を見合わせて「ね―☆」ってお互いに言ってる。
「ね―☆じゃねぇ!!どうしようこれ!!泣けるよ!これ!!ね―☆」
俺は隣にいる女の子に相づちを求めるが…隣の女の子こう…首をかしげまがら「何いってるの?」っていいやがった。
「ふふふ」
相変わらず女子は俺に怒られているにも変わらずに、むしろお互いに顔を見合って嬉しそうに笑った。
アハ☆本当…コレ泣けるね…(泣)
俺が…もうすこし恐い顔に生まれてきたらこんなことにはならなかったのに…。
まぁ…この顔で得をすることもたくさんあるのだけど。
「それに〜犬屋先生に姫役をやるなら本格的に可愛くしてくださいねって頼まれたもん。ね―☆」
女子がお互いの顔を見合わせて「ね―☆」ってお互いにいってる。
モウ…ねッ……
あの先生何考えているんだ――――!!
そう。もうすぐリング学校の文化祭。
俺の学校。リング学校は今うざいほど最高潮ににぎわっていた。
みんなテンションあがりまくりである。たかが文化祭ごときに…。
俺は深いため息をつく。ってかため息もつきたくなります。これは。
そして俺の学年。高校二年生の学年全体で文化祭までには、劇場「白雪姫」を企画していた。
現状を見てもうお分かりになると思いますが…
俺が白雪姫で〜〜〜す(ハート)
ってふざけんなぁ!!コラァ!!!女子にやらせろッ!!!!女子に!
さまざまな不満があるッ。
そう、俺がこうなったのは―――……
クラスの会議で担任の犬屋先生の一言で俺が白雪姫の役をやることとなる。
「私は鬼山君が適役だと思いますが…みなさんはどうでしょうか?」
犬屋先生が犯罪的なほど綺麗な顔で満面の笑顔でクラスのみんなに問いかける。
ってえええええぇ!ふざけんなァ―――!!
誰か!!誰か!
「鬼山君ではなくて白雪姫を私がやりたいです!!」みたいな理想的なことをこの先生にいってやってくれッ!
さらに、できれば可愛い女の子が白雪姫をやるのが俺の理想的だ!
とくに女子!!オヌシ達は白雪姫の役をやりたかろう?
我慢しているのだろう?そう!!!我慢しているのだろう?
でも、我慢しなくてもいいんだゾ☆
まさに今、箱という固定した存在からプッチン―と開放的に飛び出すプリンのように!
己を解放せよ!!乙女達よ!さぁ…今立ち上がるとき………だ…!!!
「きゃ〜〜〜!!先生それいいですね!」
女子達が立ち上がる。
スタンディングオベレーショォオオオオオン!?
ってか、はぁ!?何それッェ!
ちょっとは否定しようよ!!!やばい。このままでは…俺は役を否定をしようと手を挙げようとしたその時…
「んじぁ…多数決で決定したいと思いますので、賛成な人は手をあげてください」
…………って多数決かよ!!!
犬屋先生は目をほそめて笑っている。
どうやら、そこらへんは…もう、計算済みでいらっしゃる!!!
でも何で!?何で俺!?!?先生に不満なことを俺はしましたか?
おもわず俺は顔を強張らせてしまう。
「賛成〜〜〜!!」
女子達が威勢よく次々と手をあげる。
俺の意思なんてまったく関係がないようだ。
ましてや…男子なんか……白雪姫という役をやりたい人がいるわけもなく…俺はあっけもなく…クラス対俺、で多数決で負けてしまう。
まぁ…他にもいろいろあったけど……。
そんなこんだで、文化祭前に至る―――
俺は不機嫌そうにドレスを着たままイスに座る。
ってか今思ったんだがドレス着たまま座るとなんか気持ち悪い。モッコリする。
んでもって、俺の前よりもケツのほうがモッコリしてる。
「でも…可愛いよね―☆」
一人の女子がもう一人の女子に相づちを求める。
「だよね―☆」
「鬼山ちゃんも可愛いけど、そういえば桃様今どうなってるのかなぁ…」
「はい?桃様って誰?」
俺はいきなりの名前に思わず女子に問う。
たしか…クラスの中には桃っていうやつはいなかったはずだ。だとしたら、桃様って誰?
「ぇ〜〜〜!!知らないの!?」
女子は声を裏返すほど驚いて俺を見ている。
「だってすごく有名だよ!!隣のC組のクラスの子なんだけど…。その子、今回王子様役だよ?」
「ぇ?何それ…ウソ?」
「ぅぅうん。違う本当だし」
えぇぇぇぇぇぇぇ!?そんなにも有名なやつなのぉ!?しかも何?王子様役!?
ぇ…?一体桃様づけをされているやつはどんなヤツなんだよ!
俺なんて「様」づけどころか…「ちゃん」づけだってのに(泣)
俺はいきなりの桃様が王子様の役やります。的発言に少々戸惑っていた。
だって王子様役の人のことは何にも聞いてなかったから…。
―――ガチャ―――
いきなり俺の正面のドアが開く。
ドアから人がでてくる。180センチメートルはあると思われるだろう。
すらりとのびたシカのような足に黒いブーツ。赤と黒の衣装。
―――かっこいい―――
まさにその一言。俺のなりたい理想としている男性がここにいる!!!といっても過言ではないだろう。
「あぁ!!!桃様だ!」
女子はドアから出てきた人に指をさす。
その人は桃というらしい。なるほど…これだけかっこよかったら有名になるだろう、と妙に納得。
「ふぅ〜…」
桃はため息をつく。
「どうかしたんですか?」
「いや…なんでもないけど…ちょっと疲れてさ」
「ぁ!!そういえばちょうど白雪姫役の子いるんですよ」
女子は俺を指でさしながらいう。ってかナゼニ同級生相手になぜ敬語??まあ…いいや。
「あ…どうも…はじめまして。だよね?」
俺は愛想笑いをしておく。一応王子役と姫役は仲良くしたほうがいいだろうと思い、イスから立ち上がり、桃に近寄る。
「…はじめまして」
桃が俺にむかってその一言。うわッッめっちゃクールさんだ…。苦手だなあ。
「桃君?かな?まぁ…桃君ってかっこいいよね。あこがれるよ、男の中の男ってかんじでさ」
でも…まぁ、適当に褒めとけば仲良くなれるだろう。
「……………」
あれ??自分では褒めたつもりだったのだが、逆に桃は不機嫌そうだ。
それに心なしか周りの女子は何か戸惑った表情でいる。
ってかなんでだよ!俺だったら泣けるほど嬉しいんだけど!これ!!!うそ!地雷踏んじゃった?!
「で…ででででもさあ…(裏声)あ…あああれだよね…そんなにもかっこよかったら…女の子にもてまくりじゃない?(裏声)」
「…………………………」
うそおおおお!!沈黙が2倍ながくなっちゃったよ!これ!!!
―――スタスタスタスタ―――
ふいに桃の方から俺に近寄ってくる。
ぇ?何だ?
―――ニギ―――
俺の目の前まできた桃は手を(俺の)下半身にのばし…
俺の大切なものをにぎる。
「……bmてじょ:klきjyn!?!?!?ぎゃ………ぎゃ〜〜〜〜〜!!」
何!何なの?この人!
―――きゃ〜おとうちゃん、この人危ないよ〜―――
俺の息子がそう、告げている。そんなこと言われなくてもわかっておる息子よ!!
「え??」
さすがに女子達もこの行動にはさすがにビックリのようだ。
俺だって心臓がとまりそうなほどビックリしている。何この人!あっち系な人ですか?
「なんだ…男なんだ…ってっきり女だと思っていたよ」
桃は満面の笑顔で俺にそう言う。そして極上の笑顔のまま俺にこういった。
「私…それないんだけど男みたいに言わないでくれるかな?」
「へ…?」
それって俺の大切な息子のことですか?
…………………………ってことは…この人は女性―――!?
目目目目目目目目目目目目
ついにヒロイン登場です!!w
鬼山とまったく正反対な女性…*ヮラ*
鬼山はどうするンでしょう★⌒(◎'v`dd)゜*$
本当もしょ力ったらですが…お気軽に評価と米をおまちしています♂♂