28話・目*フォニ、最後の一本は決めろ*目
「みんなに愛されている赤鬼をどのようにMe達はとめようかのぅ?」
キジ丸は今まで見せたことないような満面の笑顔でそういった。
そうだ…私達は今、こんな馬鹿やっている暇はなかったんだ。鬼山をどのようにして助けようか?
かと言って私達みんなまったく歯がたたないわけですし…これって…。
――俗に言う絶体絶命じゃん
「ふむ、これはMeの提案なんじゃが…Girl達のお色気攻撃というのは…」
キジ丸が提案したが、一瞬の間で私と猿木の左と右からのストレートのパンチがとんできた。
まったく、このムッツリめが!
「ジョークじゃ…しかし、どうしたものか…赤鬼が弱っておったら…たぶん大丈夫なんじゃが」
困ったようにキジ丸はシルクハットを抱えて悩む。鬼山が弱るって…今すごく鬼山元気なんですけど!
ひょっとしたらワンパク坊主よりも元気なんですけど!?
「あ!!だったら私できるきゃも!!(舌かんだ)」
突然猿木が大きな声をあげる。ってか猿木本当お前なじみすぎだろ。違和感も何もないよ!
でも…今なんて?鬼山を弱らすことができるって!?
「すげーな!猿木!!」
私は嬉しさのあまり思わず猿木の手を握ってしまう。すげーな!すげーよ!!
――すごいよ!!猿木さん!
「すごいですね!!私の鬼山をわたすことはできませんが、これは褒めておきます!」
犬屋先生も力強く猿木の手を握る。でも、あえて犬屋先生は猿木をライバル視しているようだ。
「へへ」
照れたように猿木は頭をかいた。あぁ…猿木を助けておいてよかったぁ…。心底私はそう思った。
「ただ言葉の魔法だから…10分くらい時間がかかってしまうけぇどにぇ(舌かんだ)」
自慢げに鼻をふふんとならしながら猿木は言った。かっこぃい!なんか意味ないけどかっこぃい!!
「いやいや、このさい10分でも何分でも待ちますよ!」
「そうそう、なんなら1時間でも持つよ!」
いや、一時間はいいすぎたか…私。
「で…キジ丸、鬼山を弱らせたら次は何をするんだ?」
私は隣にシルクハットを抱えて悩んでいるキジ丸に尋ねる。
ってか、キジ丸は何をそこまで悩む必要があるんだ?猿木だって鬼山をなんとか弱らすことができるって言ってただろ?
なら大丈夫じゃん。
「実はとても危険なんじゃが…」
ぇ?
「赤鬼を囲むように4本のクギを地面に刺して四角形をつくるんじゃ。まぁ、俗に結界の包囲というんじゃが―…」
なんだ…簡単じゃん!いや、特別簡単っていうわけでもないけど…なんとかできそうじゃん!!
私に希望が芽生える。
「じゃが、Meがクギ5本持っているということは知っておるじゃろぅ?4本のクギで赤鬼を包囲したら最後の一本は赤鬼の頭に直接手でクギをさすんじゃ」
キジ丸はため息まじりに言った。
うそ?ぇ?ぇえええええ!?
「直接手で…ですか!?私達人間ができるわけないじゃーないですか!!」
さかさず犬屋先生が反論の声をだす。
「無理だにょ!絶対!!赤鬼の速さわかってるんでしょ!!私でもかなわないのに!!」
猿木も叫び声に似た声をあげる。
「だから危険だといったじゃろ?しかしMeはこれくらいできないんじゃ…」
キジ丸は心底すまなさそうに呟いた。
――……………
「私やるよ!!ってかやるわ!私」
凛として私は言い張った。言っちゃたな〜私、言ってしまったよ〜私。
でも、以外に怖くはなかった。だって鬼山だろ?たとえあんな姿になったとしても…。
――鬼山には違いないだろ?なぁ、鬼山。
「本気ですか!?」
「本気かにょ!?」
「You本気か!?」
いやいや、みなさんそんなに声そろえて驚かないで下さい。
私が自分の意思をまげたことありますか?いつだって私は―…
「本気だよ」
私は犬歯をニカっと見せて笑った。鬼山を元の姿に戻してやりたい。
んで…本当どうでもいい話とか鬼山と話したい…。まぁもっとも生きていたらだけど…って何考えているんだ!?私ィィ!
何か最近私変だ!?
「だ…だったら私がやりますよ!!」
犬屋先生が私の手を握る。心配そうな犬屋先生の顔が私の目の前にある。
ありがとう犬屋先生、先生は本当優しいな。ちょっとあこがれるよ、女の子としても、人としても。
「犬屋先生…ありがとうございます。でもきっと先生は優しいからたとえ鬼になった鬼山の顔にはこのクギを刺せないと思うんですよ」
私は優しく犬屋先生に微笑みかける。犬屋先生はすこし寂しそうな顔をして握っていた手を離した。
「桃…Meがやるぞ?Meだって陰陽師じゃし…」
キジ丸が私を止めに入る。でも、クギを刺すのを他の人にまわしてその人が傷つくのは私は嫌だ。
正直他人の傷をみるよりも、自分の傷をみるほうがいい…ってやつかな(笑)
「…ったく…人間が…でしゃばるな!!」
猿木が私を睨んだ。何も睨まなくたっていいじゃん。むしろ感謝されたいよ。
けど、薄っすら猿木の表情が不安げだったような気がした。
「大丈夫だって!!だって、ここの中で一番身長が高いのは私でしょ!」
そうだよ。私身長高いからその分有利なんだよ。あの小さい鬼山がすこし大きくなったくらいだから案外ジャンプしたらとどくだろう…。
いや、本当は正直言うと私の手で鬼山を助けたかったのかもしれないな…。
「がんばろうな!!!」
私は犬歯を見せてニカっとみんなに向けて笑った。
「はい!!」
「うん!!」
「Oh!!」
なんかこの瞬間が今までにないくらい私はとても楽しく感じた。
目目目目目目目目目目目目
「どこだ?:ドコ?」
鬼山が亡霊のように生気もなく歩いていた。周りの建物を破壊しながら。
チャンスは一度しかない!!がんばらないと…いや、がんばるんだ!
「ぉぃ!!鬼山!ここにいるぞ!」
私は大きな声をあげた。
ミッション1)私に鬼山の注意をひかせろ!!
真っ赤な目と私の目が合う。目が合った瞬間もしかしたら私のことを覚えているかもって思ったけど、鬼山はなんのためらいもなく私に突進してきた。
(うわ〜〜!!迫力あるな…ッ!)
あまりの迫力に私はその場から動けなくなる。でも、大丈夫…私の目的は注意をひかせることだけだからな!
あとはよろしく頼むぞ!!キジ丸!!
ミッション2)鬼山の背中に刺さっている5本のクギを抜け!!
――ザショ
キジ丸の手で鬼山の背中に刺さっているクギを勢いよく抜く。
幸い私に目がいっていたため、すんなりとクギを抜くことができた。
よしよしよしぃいいい!!いい感じだ!
「この野郎:ニンゲンガ」
鬼山の背中から大量の血が吹き出る…がそれも一瞬の間で血が止まった。しかも、何か鬼山怒っているっぽい。
(再生はえ〜〜〜!?)
正直わずか一秒という間で鬼山の傷口はなくなっていた。さすが…鬼というべきか…。
って、今はそんなことを考えている暇はないんだった!?
ミッション3)鬼山を囲むように4本のクギを地面に刺して四角形(結界の包囲)をつくれ!!
これは大切だ!!なんせ包囲は一度失敗したらやばいらしいから!
「おい!!キジ丸!クギ1本パス!!こっち側によこせ!」
作戦としては私達、一人ひとりが鬼山を囲むように四角形を作りながら走りつつキジ丸の手からクギをもらう…という予定だ。
まぁ、ようするに私達がクギを一人一本もっていないといけないというわけだ。
「ぬぅ…OKじゃ…」
キジ丸がクギを投げようとした瞬間だった。
――カランコロン…ガツンッ!
ぇ?ガツンッ?
信じられない…。まさかキジ丸のゲタが石につまずいて転ぶとは思ってもいなかった。
しかも見事なほどに転んだ衝動でクギが宙を舞う。
「「「「ぎゃ――――――!?」」」」
一同声驚きのをそろえる。犬屋先生だって、猿木だって、私だって、転んだ本人であるキジ丸だって大声をだした。
なんで肝心なところで転ぶの!!キジ丸!!今度からそのゲタは履いてこないようにしろよ!!
ゲタは転びやすいんだって!!マジで!ほら!現にお前ものすごい勢いでころんでいるじゃん!
いきなりミッション3,2)宙に舞うクギを見事にキャッチせよ!!
やばい!!やばぁああああぃいいい!!もしこれでクギが地面に刺さってしまったら終わりだ!失敗になって取り消しのつかないことになる!?
一同(キジ丸以外)宙に舞うクギを追いかける。ってか…とどかねぇ!?
どう考えても私が走っても追いつく距離じゃねぇ!?
――終わった――
そう思った。17年という短い人生でしたが…悔いはありません…悔いがあるとしたら鬼山、お前を…助けれなかった。
私がいらない空想をしている時だった。誰かが宙に舞うクギをしっかり掴んだ。
人間技ではない、あの距離から―…。
ぇ?誰?
その人は長い漆黒の髪を風になびかせる。
「危なかったですね…」
そう言って犬屋先生は赤いメガネを上にあげた。
犬屋先生だ。クギを掴んだのは犬屋先生であった。
犬屋せんせいぃいいいいいい!かっこいい!先生!!ホモという以外本当かっこいい!!
そうだ!!犬屋先生は体育の先生だったよ!足が早いわけだ!(私のイメージとしてはR18の保健体育を教えているイメージしかなかったが)
犬屋先生が持っているクギを確認するかのように手をひろげる。
「な!?」
犬屋先生の手のひらには4本のクギがあった。あれ?たしか…クギは5本だったはず?
「1本足りません!」
犬屋先生が冷汗をたらしながら満面のえみで笑う。
ぎゃぼ〜〜〜!!じゃじゃ〜あと一本はどこにあるんだよ!!
ふいに私はキジ丸の頭上を見る。あれ?
一同キジ丸の頭を注目。
――そしてその光景を見て沈黙。
なぜなら…
「ぉぃ!!キジ丸!!ああああたまに…いや、シルクハットに…クギ刺さってんぞ!?」
そう、なんと真っ白なシルクハットに茶色のクギがしっかりと刺さっていた。
「ぬ!?なんじゃと?!」
キジ丸は確認するように頭にかぶっているシルクハットに手をのばす。
その光景に誰もが目を大きく開く。キジ丸は不幸中の幸いと言うべきか、長いシルクハットのおかげで頭に直接クギが刺さるのを逃れた。
「OhhhhhhhNoooooo!!お気に入りのMyシルクハットがぁあああ!! 」
それを嘆くな!!今の状況を嘆けよ!!キジ丸!
あああああああ゛!!でも、どうしよう!?これぇえええ!?
「いや。待つにょ…もしかしたらこれでも四角形できることにゃい?」
猿木が苦笑いをしながら提案をする。
「ぇ?まじでぇえええ!?」
たしかに!!たしかに…これでも四角形できることにゃい!?
とりあいず…嘆き悲しんでいるキジ丸を無視して今は鬼山を囲むように四角形をつくることを集中しよう!!
「よし!!やろう!」
再びミッション3)鬼山を囲むように4本のクギを地面に刺して四角形(結界の包囲)をつくれ!!
犬屋先生の手から丁寧に一本一本のクギが私と猿木に渡されようとした瞬間だった。
「があああああああ!!:アアアアアアア!!」
鬼山が私達に向かって赤い炎みたいなのを口から吐いた。
あぶねぇええええ!?なんとか犬屋先生からクギをもらったからよかったけど!!
間一髪、私と猿木と犬屋先生はぎりぎりでよけることができた。が、なんか鬼山…私にむかって突撃してきていない?
やばい!
「「「桃!!」」」
――鬼山の角が私の体を貫こうとした瞬間――
「桃」という私の名前を聞いて鬼山が貫くぎりぎりの所で止まる。
怖い、けど逃げてはいけない…。
「鬼山!!!」
私は鬼山の目を見つめたまま「鬼山」の名前を呼んだ。
「桃…なの…か?」
赤鬼から鬼山の声が聞こえた。
鬼山!!よかった!!私を覚えている!?やっぱり意識があったのか?
だが…次の瞬間だった。
「殺スンダヨ鬼山」
赤鬼の中から鬼山ではない別の声が聞こえた。幼い子どものような声。
「桃:殺スンダヨ:いやだ!桃!!:僕ノ鬼山ト俺ノ鬼山ノ間の世界ニハ彼女ハ必要ナイ:止めろ!うるさいうるさい!!」
どうなっているんだ?鬼山と別の誰かが赤鬼の中で会話を繰り広げていた。
お前は鬼山なのか?どうなっているんだ?
「逃げろ――!!桃!!:殺セ!!鬼山!」
鬼山がくるしみに絶えながらながら声をだした。
いつの間にか私は鬼山から逃げるように走っていた。逃げてはいけなかったのに…。
よくわからなかった、どっちが本当の鬼山なのか。怖かった―。
悔しさのあまりか涙がでてきそうだ。
「桃!!クギを地面に刺すんじゃ!」
ふいにキジ丸が走っている私に向かって叫んだ。
私が鬼山と話していた間に猿木、犬屋先生、キジ丸は鬼山をかこむように四角形を作っていた。
「おぅ!!」
私は力いっぱい地面にクギを刺した。逃げない、次は逃げない。
鬼山!!
地面に四角形がうかびあがる。
――ピカッ
一瞬光ったかと思ったら四角形の柱が鬼山を閉じ込めるようにできていた。
すげぇ…。
「鬼!!はよぉせい!Meの包囲が取れる前に言葉の呪文やらをだすんじゃ!!」
キジ丸はせかすように猿木に言った。そうだ…次はたしか…。
ミッション4)猿木の言葉の呪文で鬼山を弱らせよ!!
猿木ぃいいいい!!頑張れ猿木!!お前にかかっている!?
猿木は一歩前にでて息をすぅ〜と吸った。私達に緊張した空気が走る。
ってか…たしか言葉の呪文だったよね…なんか嫌な予感…。
「鬼:炎鬼:猿フォニ(舌かんだ)。あ、舌かんじゃったにょ…テヘ☆」
あああああ!!やっぱり舌かみやがったよ!!コイツ!テヘ☆じゃねーよ!!腹立つんだよ!
ぎゃ〜〜!!
そうだった…忘れていた。猿木はめちゃくちゃ舌かむんだった。やばい!
私も、犬屋先生も、キジ丸も思わず真っ白な灰になりかける。
なんていうか今まですべてが終わったね。コレ…。頭の中もう真っ白☆
「お、落ち着いてください!!」
犬屋先生が猿木の肩をつかんで落ち着かせようとする。
先生、たぶん猿木自身は落ち着いていると思うんだけど…もとから舌をかみやすいんだよ。この子は(涙)
私は、私は猿木の舌を呪いながら死にます。
「む〜〜。『鬼:炎鬼:猿鬼:雷水地闇光木:千年樹:地獄よひらけ!!』っていえればいいだけにゃのに〜〜!!どうしてもそれが言えないんだにゃ〜〜」
猿木は困ったように頭を抱える。ってか…ぇ?
「今呪文言えていなかった?」
私が猿木にそう尋ねた瞬間だった。
――ドカーーン!!
猿木の体…いや、内部から爆発のような大きな音がなる。
ぉお!!言葉の呪文なんやかんやで成功だよ!!これ!よっしゃ!(なんかいろいろむちゃくちゃだったけど)
――刹那
――猿木の背中から猿の紋章がうかびあがる。
猿の紋章はみるみるうちに大きくなっていき成長をとげた。
そして猿木の体と紋章がわかれる…というか紋章が3次元にうかびあがる。
すげぇ…。
あっという間に猿木の体からもう一つの猿に似た生物ができあがっていた。
「いけぇええええ!!焔猿鬼!」
猿木が大声を出すと、猿の紋章は鬼山にめがけて走っていった。
猿の紋章が鬼山の体に張り付く。まるで鬼山の皮膚に溶けていくかのように…。
鬼山は攻撃をしたくても攻撃ができなかった。何故なら猿の紋章は既に鬼山の皮膚と一体化しているから―…。
みるみる鬼山の体力がなくなっていくのがわかった。
「今だにょ!!桃!!ニンゲン!!」
猿木が私にむかってさけんだ。
何も桃って言ってから、ニンゲンって言わなくてもいいのに…。でも、まぁ…猿木らしいけどな。
私は猿木と目をあわすと軽くうなずき、鬼山の額めがけて全力で走った。
ミッション5)最後の一本のクギを鬼山の頭に直接手で刺して、鬼山を救出せよ!!
目目目目目目目目目目目目
ぁぃゃ―('v`;;)ドタバタですね;
いろ02とドタバタですね↓すいませン;私にもっと文章力があればいいのですが…文章力壊滅的にないので…すいませン゜(*P_`q。)*
という力ここまでお読みいただいてありがとぅございましたw
さて02、鬼山ゎ元の鬼山に戻ることははたしてできるのでしょう力!?