27話・目*フォニさぁみんなオラに力を*目
「桃…こいつは鬼じゃ!!」
キジ丸は鬼のような形相ですでにひん死になりかけの猿木を睨みながら言い放った。
しかもキジ丸は虫の息の状態である猿木に戦闘体勢までとってやがる。
「……知ってるよ。ってかどうせ、そんなんだろうと思っていた」
私はあきれたようにため息と共に言葉をだす。
でも、さすが陰陽師と言うべきだろうか?一発で人間か鬼か見極めることができるなんて。
正直私は猿木を始めてみたときは鬼だなんてすこしも思わなかったけどな。ましてや…鬼山みた時はコスプレだと思ったくらいだもんなぁ(笑)
「なら!なおさらじゃよ!こやつは鬼じゃ!!Meが治す義理もないしむしろ…ここで消滅を!!死を!!」
キジ丸はそう言うと細い猿木の首に両手を置いた。
「おい…てめぇ!!今はそんなこと言っている暇じゃーねーだろ!」
私はキジ丸の力いっぱい襟をつかんでやった。正直猿木は私も気に食わなかった。
いや、別に鬼山にキスされたとか…そういう嫉妬ではなくて…ごもごも…。
でも、これは確実に言える。もう既に虫の息のヤツを手だそうとするやつはもっと気にくわねぇ!!
仮にだ…鬼だとかそういうのを理由にして「消滅」とか「死」とかほざいてるヤツは絶対私が許さねぇ。
「今は、鬼山を助けることだけに集中しろ…猿木を消滅とか、死とか今はどうでもいいだろ?お前の陰陽師という仕事はそれほど大事なもんなのかよ」
私はキジ丸を睨みつける。私はキジ丸が目を離すことさえも許さない。
すこし後ろで犬屋先生が状況も未だに判断できていない上に突然ケンカらしきものをし始めて驚いているようだった。
それもそのはずで、犬屋先生はいきなり戦場に放り出された子羊のようなもんだからな。ちゃんとあとから説明をしておこう。
「キジ丸!テメーはこんな少女一人も救えないのかよ!鬼ってなんだよ…鬼の基準って何だ?私には…非情なお前がよほど鬼に見えるがな」
私はそう吐き捨てるように言うとキジ丸の襟から手を離した。
「Meが鬼にみえるとな…ククきつい事言うのぅ…」
キジ丸は猿木の首から手を離し、シルクハットを深くかぶりなおした。
「今回だけは、猿木の力も必要とするかもしれないし…傷を治して損はないだろう?キジ丸?」
私はキジ丸に語りかける。キジ丸はまだ何かに迷っているみたいだが…決心を決めたのか再生術を猿木にかけ始めた。
――みるみるうちに猿木の傷が治っていく
傷を治していると、猿木の背中に猿っぽい紋章がうかびあがってきた。なんだ?これ?
まぁ、正直どうでもいいが…。
ったく、傷が治ったら私に感謝してもらいたいものだ。
「治しておくが…じゃがOnly1時間しかもたないぞ?」
念をおすようにキジ丸は私に心配そうに話しかけた。
「上等じゃん!!」
私はキジ丸の頭を力いっぱいなでた。頭っていうか…シルクハットなわけですが。
なんかキジ丸の顔が赤くなったような…気がしたけど気のせいか…。
猿木も意識が元に戻ったのか、ゆっくりと赤い目をあける。
「ぇ?…あれ?傷が?」
猿木は再度確認するかのように傷口を触って見る。あのねっとりとした生暖かい感じは既になかった。
それは猿木を驚かせた。
――傷が治ってる?
猿木はいまだに信じられない顔をしている。まぁ、猿木自信もまさか助けられるとは思っていなかったんだろうな。
「鬼、感謝するんじゃぞ?桃に…」
キジ丸は軽く咳をして猿木に言った。私に感謝って…再生術をかけたのはキジ丸なんだけどな。
なんか恥ずかしい。
「どういう…?」
猿木は状況を理解していなかった。たしか、鬼と陰陽師って対立している存在だったけ?
たぶん猿木自信もまさか陰陽師に助けられることになるとは思っていなかっただろうな。
ましてや…私なんかに助けてもらえるなんて思ってもいなかっただろうな。
「無事に助かってよかったな!(って言っても1時間だけだけど)」
私は笑顔を作り出して猿木に笑いかけた。とは言っても自分でも顔が引きつっているのが分かった…。
「な!もしかして…助けてもらったの?わふぁひ(舌かんだ)」
「「うん」」
私とキジ丸の声がそろう。一方猿木は口を金魚のようにパクパクして動揺しているのが一目で分かった。
「ふぇ…ぇ?助かった?いや…助けてなんて言ってない!!!」
猿木が大声で怒鳴る。って、鬼山に気づかれるだろうが!静かにしなさい。
とっさに私と陰陽師は猿木の口を塞ぐ。幸い鬼山に私達は気づかれなかったようだ。
猿木も頑固だなぁ〜素直にありがとうも言えないのか。…だいたい予測はついていたけど。
「好きで助けたわけじゃーねーよ!!ただ…」
好きで助けたわけじゃーない。ただ…
「お前も鬼山を助けるんだろ?」
私は犬歯をニカっと見せながら猿木に笑いかけた。猿木の目にみるみる涙が溜まってくる…ん?
え?猿木泣きそう?でも、すっごい一生懸命こらえてるな…。なんだ…やっぱ強がっているけど子どもじゃん。
怖かったんだろうな。あんな姿の鬼山と戦って。
――ひとりで戦って。
確かに今回鬼山が鬼になったのは猿木のせいかもしれないけど…。でも今の猿木を見たら何故か許せてしまう。
猿木の肩がプルプルと震えている。
「一緒に鬼山を助けよう。な?」
私は自然に足が猿木の近くに歩み寄っていつの間にか猿木を抱いていた。
なんつーか、猿木お前可愛いわ。必死になっているところとか。
「―ッ…仕方がないから…手伝ってやりゅ。ババァ!巨人兵!」
ん〜…やっぱ可愛くない!うぜえ!!
「あの…?桃君?」
ふいに後ろから声がかかる。ふいに後ろを見てみると不安げな表情の犬屋先生が立っていた。
そうだった。犬屋先生にこの状況について説明をしなくてはいけないんだったわ。
「犬屋先生実はこれは―…」
「いや、言わなくてもだいたい分かっているよ。私達は今最悪な状態なんだろう?」
犬屋先生はもう今自分達がおかれている状況を理解しているようだった。
すごいな、犬屋先生。普通の人ならパニックになるところを冷静に判断できるなんて。
関係ないかもしれないが…犬屋先生は大学は東大出身なんだよな。そんなにすごいできた先生が何故こんな平凡な高校学校に来ているか不思議だが。
ましてやそんな偉大な人がホモの道に走ったのか不思議だが。
「ここれでは私でも十分理解できました。さて…」
犬屋先生の目が悲しげになる。ん?なんか嫌な予感?
「あの鬼は可愛い鬼山って本当なんでしょうか?」
嫌な予感的中――!?犬屋先生目がマジだ。なんせ鬼山は犬屋先生にとっての超がつくほどお気に入りの男の子だもんな…。
鬼山自身は犬屋先生の気持ちにまったく気がついていない様子だったけど(本当鈍感だな)
というかそれについてはなんて説明をすればいいか―。私はもちろん考えていなかった。
「Yes,(イエス)本当じゃぞ?」
唐突にキジ丸が隣から顔をだす。いやいや、この人犬屋先生の気持ちわかってないでしょ!!
いくら東大出身の冷静なお方でも好きな子が鬼になったとか聞いたらショックでタップダンスし始めちゃうかもしれないでしょうが!
「うん、本当だにょ〜あれはフォニ山ちゃんだもん。今は赤フォニだけど(舌かんだ)」
キジ丸のさらに隣から猿木が顔をだす。ってか猿木…お前なじみすぎだろ!さっきでは敵だったのに「一緒に鬼山を助けよう」って言った瞬間これだ!すげーや!
なんと言うか既に仲間面だよ!さもあたりまえのように。
というかいやいや、猿木こそ犬屋先生の気持ちわかってないでしょ!!
いくら東大出身のホモ野郎でも好きな男の子が鬼になったとか聞いたら全裸で鬼山に飛び込んでいくかもしれないでしょうが!
二人とももうすこし考えて行動しなさい!
「あの…先生…これはすこし説明が…」
私は口ごもりながら犬屋先生に話しかける。
「いいえ、大丈夫です。桃君こんな私を気遣ってくれてありがとうございます」
先生…気のせいかすこし寂しそうに感じた。よくよく考えて見ると犬屋先生は一度鬼になった鬼山とこの商店街で出会っていたんだったよな…。
ショックだよな。きっと…鬼になった鬼山を思いっきり「お前は鬼山ではない!」って言ってるんだから。
犬屋先生は自分の愛する人にそんな酷いことを言ってしまったんだから…(鬼山自体は犬屋先生がホモということにショックをうけていたが)
「犬屋先生…」
「大丈夫です。きっと、これは…神が私にお与えになった恋の試練なんでしょう」
ん?
あれ?先生そっちがわ行っちゃう?そっち側はピンクのもやもやでメルヘンな所だよ?
「きっと童話みたいに私の鬼山に私がキスをすれば…元の鬼山に元に戻るのですね!」
先生はいきなり元気をとりもどした…。
って…既に犬屋先生の頭の中はピンクのもやもやのメルヘンに突入―!?先生、今の鬼山にキスをしたらやばいと思う!めっちゃやばい!
口を奪われるところか頭を奪われちゃうよ!!死んじゃうって絶対、死ぬって!!
「む〜〜〜!!私もフォニ山ちゃんとキスすりゅ〜」
犬屋先生の言葉を聞いてさかさずに猿木が乱入する。
ちょっと、この二人やばいって!たぶん突然の化学反応的ことをおこすって!
「何でしょうか?あなたは?」
犬屋先生もムキになって猿木を睨む。当然二人の間に挟まれているキジ丸は唖然とするばかりであった。
「ふふん!聞いて驚くなよ!にゃんと私はフォニ山ちゃんとキスした仲なのだ〜キャハ〜言っちゃった〜」
猿木は恥ずかしそうに真っ赤な顔を隠す。そんなにも恥ずかしいのなら始めから言うなよ!
犬屋先生は嫉妬でメラメラと燃えているのが私でもわかった。
「な!?私なんか…私の鬼山と生クリームプレイしたことあるんですから!」
ぇえええ!!生クリームプレイって!?ちょっと!ピンクのもやもやだ!!
というか犬屋先生と鬼山は一緒にパフェを食べに行くだけだろうが!!それを犬屋先生の中で生クリームプレイというのか!
ほら!キジ丸とか完璧誤解してるって!!だって顔すごい引いているもん!ホラーだよ!今のキジ丸の顔はホラーものだよ!!
「にゃに!!私なんか…私なんか…鬼山ちゃんと冷蔵庫プレイしたことあるんだきゃら〜キャハハ〜言っちゃった〜」
冷蔵庫プレィイイイイ!?そんなのないだろうが!死ぬわ!千年の恋も冷蔵庫によって冷めるわ!
というか猿木、お前は単に一人寂しく冷蔵庫にはまっていただけだろうが!!それを猿木の中では冷蔵庫プレイというのか!
ほら!キジ丸すっごい顔が強ばってるって!ホラーだよ!!まじこえ〜よ!貞子も絶叫の顔しているよ、キジ丸が!!
「何ですか!!だったら私は私の鬼山とメイドプレイする予定です!!猫耳ですよ!」
って…犬屋先生予定かよ!本当は鬼山と一緒にパフェ食べに行くことぐらいしかできねーんだろ!!
「だったら私はフォニ山ちゃんと冥土プレイすりゅ予定だきゃら〜!白の三角頭巾だぜ?!」
それ「メイド」違いだろうが!!しかも予定だ!!絶対鬼山そのプレイしたら死んじゃうよ!
ったく、猿木はなれない単語を使って変態の上級のモンスター犬屋先生と張り合うからそういうボロがでるんだよ!
「ククククハハHAHAHAHA!!」
ふいに二人の変態に板ばさみになっていたキジ丸が笑い出す。ついに二人の会話がついていけなくて頭がおかしくなったか!?キジ丸よ!
「ククク…まったく、鬼山というヤツは愛されているのぉ?」
涙目になりながらキジ丸が言った。まったく…その通りだな(笑)
べ…別に私はあいつを好きってわけではないけど…もごもご。
「さてさて、そんなくだらない話はもう終わりにしようかのぅ?YouとYou」
キジ丸にくだらない話といわれて二人は不機嫌そうだった。なんせ、二人とも真剣に戦っていたからな。
でも、二人ともキジ丸が言うことがただしいと感じたのかしぶしぶケンカをやめる。
「みんなに愛されている赤鬼をどのようにMe達はとめようかのぅ?」
キジ丸は今まで見せたことないような満面の笑顔でそういった。
目目目目目目目目目目目目
ここまでお読み頂きありがとうございます!!+゜
今◎ゎ…ちょっと長く書きました(・∀・)実は昨日元気玉をもらいましたw励みになります★+゜
意味わかんないですよね↓↓すいませン;
でも02このフォニを読んで下さる方がいて始めて頑張ろうと私は思うので…w
これからもどうぞ、よろしくおねがいします><
さぁ…みんなオラに力を!!*ヮラ*
(調子のってすいませンでした;;)