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23話・目*フォニのルルル〜*目

――ガッ!!

鈍い音を立ててキジ丸のお気に入りである白いシルクハットが高く宙に浮いた。

そしてシルクハットが地面に落ちたころにはキジ丸は額に赤い大量の血を流していた。

赤い血に目の周りにひいてある黒いアイラインが混じって血は一段と赤黒くなっていた。

「―ッぬぅ…」

キジ丸は前かがみになって傷口をさわる。

赤鬼はキジ丸の頭を潰すように手を振り落としたが、長く大きいシルクハットのおかげで感覚を鈍らせれたらしく、狙いがはずれ頭部への直接破壊は逃れられた。

――もっともキジ丸は死はまぬがれたにしても致命傷を負ったことには変わりがなかった。

だが赤鬼はそんなキジ丸を気にすることもなく、

殺気で充血した真っ赤な目ではるか遠くを見ているようだった。

いや、詳しく言うと赤鬼は―…人でにぎわう商店街「ウッド通り」の方を見ていた。

殺気に満ちた目とは反対にまるで人恋しいかのような顔をして…。

「いる:イタ:」

赤鬼は口元を顎までつりあげて嬉しそうに笑った。まるで小さな子どもが、なんの邪心もなく無邪気に笑っているかのように。

キジ丸はその赤鬼の純粋な笑顔に恐怖にも似た感じを覚えた。

「ま…待つんじゃ!!Meミーはまだ―…」

赤鬼にとってもうキジ丸は眼中にはなかった。壊れかけたものなんて…いずれ時間がたてば動かなくなる。

赤鬼は首は商店街の方を向いたまま両足を折り曲げた、と思った次の瞬間であった。

――ガシュ

地面がめり込む音が聞こえたと思ったら砂煙がただまっているだけで、すでに公園の中には赤鬼の姿はみえなくなっていた。

「やばい!!」

キジ丸が一番恐れていたことが起きてしまった。いや、一番最悪なパターンとなってしまったのであろう。キジ丸にも、猿木にも、人間達にも。

赤鬼が行く場所はもちろん人でにぎわう商店街だろう。

キジ丸は早く赤鬼よりも先に商店街につく必要があった。が、しかし…。

「う゛…鬼山―ッ」

横に倒れている桃が蚊のような声で泣き声にも似た声をあげた。

桃が着ていたキャミソールは血で真っ赤に染まっていた。

(うぬ…よかったLifeライフはあるようじゃな…)

たしかにキジ丸は早く赤鬼よりも先に商店街につく必要があった。が、しかし…彼女(桃)をほかっておくわけにもいかなかった。

ましてや…自分のクギでさした人間を野垂れ死にさせるようなキジ丸は卑劣な人間ではなかった。

「それにしてもこの血の量でしゃべることができるなんてたいしたGirlガールじゃ…」

そう呟きながらキジ丸は片手で額の傷口を塞いでよろめきながら桃に近寄った。

そして桃の近くに来てしゃがみこみ傷をしている方の肩に手をおいた。

「てぇ―ッ」

いきなりキジ丸が桃の傷口にふれたため、あまりの痛みに桃は顔を歪めた。

「テ…テメーなに…すん…だ…ょ」

「痛いかもしれんが…Grilガール我慢をしてくれまいか?」

そう言うと相手の答えを待つことなくキジ丸はいきおいよく深く刺さっていたクギをぬいた。

――ザャシュ

もちろん桃の血は弱い噴水のように吹き出た。

「ってぇえ!!」

真っ赤な大量の血が流れた。クギが深く刺さっていたから当たり前である。

しかし、桃の肩から抜いたクギは不思議なことに血が一滴もついてない木のクギのままであった。

声もだせないほどの痛さに桃は耐えてただ黙ってキジ丸を睨んだ。

しかしキジ丸はまったく気にしていないようであった。

「母なる木よ…Meミーに力を」

そう一言呟くと桃に再びクギを桃の傷口めがけて振り下ろした。

「!?!?テメー!何しやがる!?」

桃が驚くのも当然である。大量の血が吹き出る傷口に再びクギを振り下ろすのだから。

その行為は桃にとって異様なものに見えた。いや、予想外だったというべきであろう。

でも、振り落とされたクギは確かに再び桃の傷口に深く刺さったが…刺さった時の痛みは微塵も感じられなかった。

(痛くない?ってか…むしろ―…)

桃は恐る恐る自分の肩を見た。

「…治ってる―?」

桃が見たもの、それは先程の大量の血がウソのように血が止まっている肩だった。

あれほど血がでていたのに…。あの一瞬は何があったのであろう?

「ふぅ…GrilガールMeミーを誰だと思っておるんじゃ?陰陽師じゃぞ?再生術くらいたやすいわ」

キジ丸は目を細めて桃を見下すようにふぅ…とため息をつきながら(かっこいい?)ポーズを決める。

そしてキジ丸は自分自身の額の傷口にもクギを打ち再生術やらをかける。一瞬にしてキジ丸の傷もビデオの早送りのように治っていった。

が、次の瞬間桃はキジ丸の顔を見て叫ぶことになる。

「うわあああ!お前ッバケモノか!!新手の鬼か!」

だが桃は「ありがとう」の言葉を言わずにキジ丸にむかってバケモノといった。

まぁ、バケモノと間違えるのは無理はないだろう。なんせ、キジ丸は額に大量の血を流していて、その血とともに目の下についていた真っ黒なアイラインが一緒に流れていてとても人間と思えない顔をしていた。

あえていうなら…鬼山が赤鬼だとしたら―…キジ丸は今西洋のゾンビみたいな顔をしているだろう。

「…いや、Meミーは、Youユーを助けた陰陽師―…」

キジ丸が桃の肩に手をそえようとした瞬間だった。

「ギャー!来るんじゃね―!?近寄るな!このバケモノ、セコハラ!ムッツリめ!!」

「セ…セコハラ……ム…ムッツリ!?陰陽師なんじゃが…」

キジ丸は思わずよろめきそうになった足をなんとか踏みとどめる。

キジ丸は人を助けてでお礼を言われずに、その上バケモノと言われ…あげくのはてにはセコハラ、ムッツリといわれたのは産まれて初めての体験だった。

そのためか桃の言葉はキジ丸の胸にクギよりも深く刺さった。ようするにキジ丸はショックをうけたのだった。

「せ…セセセコムッツリ―…陰陽師なんじゃが…」

キジ丸は頭を抱えて膝を地面ついた。

「陰陽師!?キジ丸ってやつか!!お…鬼山は?あれから鬼山はどうした!?」

桃は顔を真っ青にしながらキジ丸に尋ねる。

(あいつ…!!死んでねーだろうな!)

桃は念のため公園を一回り見てみるが鬼山らしき人物は見えない。公園にいるのは桃とキジ丸だけだった。桃は最悪なパターンが頭にうかぶ。

「……鬼山?whoフー?誰じゃ?」

キジ丸はセコハラといわれたことをよほど根に思っているのであろうか、機嫌が悪そうに低音で答える。

「私と一緒にいた男だよ!」

桃は息を切らしながら陰陽師、キジ丸に思いっきり叫んだ。そして桃は不安と怒りが混じった目でキジ丸を睨む。

「あぁ、赤鬼かのぅ?始末できんかった…」

キジ丸はいかにも悔しそう歯を食いしばりながらに桃に言った。

桃はキジ丸の言葉を聞いて張っていた肩を落す。

「そうか、よかった…というか赤鬼ってなんだ?」

桃は赤鬼という言葉に頭を悩まして首をかしげる。

「もしや…Youユーの彼氏か?あの赤鬼は?」

桃が言った「よかった」その言葉に疑問をもってキジ丸は桃に尋ねた。

「なッ!ちちちちちちげーよ!んなんじゃーねーよ!ペ…ペットだよ!小型犬のマスコットみたいなかんじ!」

桃は顔をタコように真っ赤し、その上口をパクパクしながら答えた。俗に言う下手なジェスチャーを交えながら。

「ならよかったの。あの姿を見れば例え愛し合う仲でも幻滅するじゃろう―…もっとも普通の人でも赤鬼の姿に恐れショックをうけると思うんじゃがな」

そう言ってキジ丸は地面に落ちている雑巾のようになってしまったシルクハットを手に取ると頭にかぶり直し桃を軽く睨んだ。

「それ…どう意味だよ…」

軽く桃を睨んでいるキジ丸に対して桃は真っ黒な目で睨み返す。が、思わず桃の顔が強ばり不安げな表情となってしまう。

「まぁ、よい。どちらにしろ…Youユーはこれ以上その長い首をつっこまないほうが良い。それに早く病院に行くといいじゃろう、いくら再生術とは言え傷口は1時間しかもたないからな」

そういってキジ丸は桃に背をむけて赤鬼がむかった商店街へと歩いていった。

風がキジ丸の黒いコートを持ち上げるようになびいた。

「テメー!!どこ行くんだよ…。まさか…鬼山を―」

「そのまさかかもしれんな…今度こそMeミー鬼を滅す!」

キジ丸は手の中にあるクギを力強く握り決意を表した。

「ふざけんじゃねーよ!!」

桃は目を大きく見開いてキジ丸に近寄っていき思いっきり黒いコートをつかんだ。

「ふざけてなどおらぬ…。Youユーには友達か何かの関わりをもっている鬼かもしれぬが…その鬼1人のために大勢を犠牲にすることはできないんじゃ、皮肉じゃがそれが正義じゃ。正直Meミーも勝てない相手かもしれん。いやきっと赤鬼にはMeミーは勝てない。しかしそうであれば相打ちでも―…」

そう小さくキジ丸は桃に聞こえるように呟いた。

「…なんだよそれ…」

キジ丸のコートを握っていた桃の手が震える。

「すまぬ…girlガールYouユーは早く病院へ行くんじゃ」

そういってキジ丸は再び歩き出した。自然に桃がキジ丸のコートを掴んでいた手がスルリとおちる。

――公園は静まりかえる。


――沈


――黙


キジ丸があと一歩で公園をでる瞬間であった。

「ふざけんじゃねぇええええ!!!!!!!!」

耳の鼓膜が破れるかと思うくらい大きな声がキジ丸の後ろから聞こえる。

思わずキジ丸は体をビクつかせ歩めていた足を止まらせる。

その大きな叫び声にも似た声は桃から発せられたものであった。

「お前の!お前は人1人犠牲になってもなんとも思わないのかよ!いや、例え鬼山が今人間じゃなくても―…。正義ってなんだよ!それって正義なのかよ!お前の正義か誰の正義なのか知らねーけど…私の正義じゃねぇえ!!」

桃は肩を大きく震わして軽く公園ひとつ包むような大きな声をあげてキジ丸に吐き捨てた。

桃は今までの分の気が抜けたのか言うだけ言うと黒い目から涙を流し始めた。

「お前は…お前は鬼山の目を見たか?いや、そんなことを言うようじゃーまともに鬼山の目を見れてねーだろうな。鬼山は…いや、鬼は本当何かに怯えたような目していた。本当小動物のような目をしていた…」


「確かに私の言ってることは理屈になってないと思う。でも、お前がもし鬼山を殺したら―…

鬼か、殺人鬼か、ジェイソンか何になるか知らねーけど


私は鬼になってお前を呪う!!」


目目目目目目目目目目目目

……(・∀・)

――…………(・∀・;)

桃…怖い…いや、今◎怖すぎたかもしれませン↓↓

という力ここまで読んで頂きありがとうございました+゜

でも―…桃好きですょッ゜*(pq+'v`●)*゜

次は…次は…鬼山がついに囚が多い商店街に!?

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