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20話・目*フォニの狭間と鬼の狭間*目

「う…うそだろ?桃!?」

俺の前にはぐったりとした桃がもたれかかっていた。

赤く生ぬるい鮮血が俺のからだの感覚を犯す。なんだよ…桃…。

お前は男の中の男、みんなの桃様だろ!?そんな…そんなことで…倒れんなよ!

そうだ!お前さっき俺のせいで腰が抜けたって言ってたな。あれ…あれってさぁ…うそだったろ?

だってさぁ…お前、腰抜けていたなら…俺をかばうことだってできていないはずだぜ?

そう言うウソって何かイラっとくるんだよな〜。なんつーかムラってくるからさぁ、止めてほしいんだよね。そういうウソ。

そして!俺は真実を見ぬいたぞ!桃!!お前は再びウソをついているんだろ!?

ったく、お前さ演技下手だからばればれなんだよね。まぁ、今回はちょっと上手だったけどな。

ったく顔みせろよ。どうせ、いつものようにお前は犬歯をニカッって見せて「ウソ★鬼山の顔まじ真剣だったよな!キモッ」っとか俺に言うんだろう?

んで俺は桃に言ってやるんだ「お前演技下手だから一発でわかったよ」って―…。

でも…なぁ、桃…。

なんで血がとまんないんだよ!!お前…!!だから逃げろっていっただろ!?

俺の前に広がっていく赤い―…

血血血血地血地血乳血地血乳血地血乳血ちちちちちちちちちちちちちちちちちちちちちち

やめろ!見るな、目をつむれ俺!

――「ひろし逃げて!!」

やめろ!!今はそれを考えるな!?

――「ごめん、ひろし一緒に」

やめてくれ!!消えろ!!俺は桃を助けないと…!

――「死んでくれ」


「アアアアアアアあああああああああああああああああああ゛!!!!」


目目目目目目目目目目目目


――7年前俺は小学5年生だった

――今みたいな小さな一軒のアパートに住むこともなく、立派…とは言えないけどちゃんとした家に住んでいたんだ


――ジリィィィィィィ

僕の頭上の目覚まし時計が勢いよく鳴る。

「ひろし!!ご飯だよ〜」

母さんが僕を呼んだ。そういえば今の時間は朝食にはいい時間だ。

「は〜い」

僕は寝ていたからだを起こして転がるように1階へと階段を降りる。こおばしいパンの香りが僕の食欲をそそぐ。

「おぱよ〜ン」

僕は父さんと母さんに元気よくあいさつする。

「おぱよ〜ン」

すると父さんが新聞紙越しに俺に笑いかけながらあいさつする。

これが僕と父さんとの間での毎日のお決まりのあいさつだ。これを言わないと僕は朝をむかえられない。

「もう!!そのあいさつ止めてよ。普通におはようでいいじゃない」

台所にいる母さんは苦笑いをしながら僕と父さんに言った。

「「だってねぇ〜」」

僕と父さんは顔を合わしながら相づちをうった。お互いの顔を見合す。

「もう…本当そっくりなんだから」

母さんは目を細めて笑った。自然に僕の顔も笑顔になる。机の上にはすでにパンがおかれていて僕は当たり前のようにハチミツとヨーグルトを思いっきりつけた。

おいしそう…不覚にもよだれが出そうになる。

「本当ひろしは甘いもの好きね」

台所にいる母さんが横目にちょっとあきれたように言う。

「へへ♪美味しいもん」

「まったく…それで太らないからひろしは女の子の敵よ」

母さんはうらやましそうに僕を見た。でも僕は女の子の敵とかよく意味がわからなかったのでスルーした。

僕は女の子敵かぁ…なんでだ?僕は数秒考え込んでしまった。

「ぉ!!そう言えばひろしは今日はサッカーの試合だったな!がんばれよ!!」

父さんがいきなり新聞紙から顔をのぞかせる。そしてコーヒーを一口ふくんだ。

僕の父さんもかなりの甘党でコーヒーの甘ったるい香りがにおう。

試合覚えててくれたんだ…僕はむしょうにうれしくなる。

「まぁね…父さんも今日試合なんでしょ?」

僕は父さん微笑む。父さんは若干照れくさそうに頭をかく。

「父さんも大事な仕事の試合だよ!戦じゃ!!」

父さんは白ネクタイを締めながら凛として言い張った。かっこいい!!

将来は父さんみたいになりたい。僕の夢はそうだった。

「戦じゃ―――!!」

僕は父さんに続いて言った。


――ソウ:僕ノ:夢:ダッタンダ:


「ただいま〜聞いてよ!!僕試合に勝ったよ」

僕は勢いよく玄関を開けて履いていたクツを放り投げた。

が…いつものおかえりの声が聞こえない。すこし不思議にも思ったけど勝利の余韻に浸っている僕は早くこのこと父さんや母さんに話したくて…たまらなかった。

――ダダダダダ

僕は廊下を勢いよく走る。不覚にも僕は滑りそうになる。

勝った!!やった!!僕がゴールを決めたんだって言ったら父さん、母さんなんていうだろう?

「いやぁ、向こうもけっこう強かったけどやっぱ僕たちのチームが一番だよ」

僕は大きな独り言を言いながら一生懸命に父さんと母さんを探した。

が、いっこうに姿が見えないし、姿を現そうともしない。

ふいに僕の正面にあるリビングに光がついていることが分かった。

――ダダダダダ

僕は一直線にリビングへ全力で走る。

「父さん、母さん聞いてよ!!―………!?」

なんだよ!!これ!

僕はリビングに足を踏み入れた瞬間凍り付いてしまう。

なんせ―…リビングには争そった後かのように生々しくも血があちこちにへばりついていた。

僕の家の白い壁に赤の血はとても映えて見えた。今までとは違う。

父さん…?母さんは?どこにいったんだよ!!!!!

僕が唖然と立っている次の瞬間だった。

「う゛」

気持ちが悪い。僕はものすごい吐き気に襲われる。

「ひろ…し…」

ふいに台所から蚊のような声が聞こえる。でも、僕は一瞬で誰の声か分かった。

「母さん!!」

僕は急いで台所に駆け寄る。台所にいたのはたしかに母さんだった。

が、いつもの母さんとは違う姿でいた。

母さんはうつむせに倒れながらその下には大きな大きな赤い赤い水溜りをつくっていた。

そう、赤い赤い赤い赤い血チチチ乳乳t−…。

「うぅ゛ゲェエエーーー」

僕はその光景を見てその場でしゃがんで思わず吐いてしまった。

その時僕は朝食べた甘いハチミツヨーグルトトーストも、勝利の余韻も、僕の現実も、全て吐き出してしまったんだ。

「ひろし…逃げて―…」

母さんはすでに焦点のない目で涙を流しながら最後に僕に言った。

母さん!!

「逃げる?誰に!?母さんしっかりして!しっかりその目で僕を見てよ!!!母さん!」

僕は泣きながら冷たくなった母さんに寝そべりながら泣き叫ぶ。

やめてよ!やめろよ!!一体誰が僕の母さんを!!僕の夢を―…!?

「そこにいるのはひろしか?」

ふいに僕の後ろから声が聞こえる。父さんだと僕は声で分かった。

後ろをふりむくとはやりそこには父さんが立っていた。

が、いつもと様子が違って父さんの服には血がたっぷりとついて父さんの自慢の白のネクタイが真っ赤に染まっていた。

「父さん!!誰がこんなことを!誰がァァアアア!!」

僕は父さんに抱きついて泣く。僕の顔にも血がへばりつくが僕は気にしなかった。

ただただ―…大きな声で泣き叫んだ。

が、そんな僕を父さんは生気のない声で絶望へと落とす。

「俺がやったんだよ」

「ぇ?」

何言ってんだよ!父さん。父さんと母さんはすごく仲がいいじゃないか…。

僕は自然に父さんから離れる。いやだ。こんなのは僕が望んだのではない。夢!夢だよ!

僕は必死に現実から離れようと小さな頭で考える。

「ひろし、父さんは試合に負けたんだ…いや、騙されていていたんだよ」

やめろ!父さんやめてくれ!!これ以上…これ以上聞きたくない!!

「だからな…みんなで一緒に死のう。ごめんな、ひろし」

やめろ!夢だろ、さめろさめろさめろ早く夢が覚めてくれ!僕の父さんはこんな人ではない!

「ごめん、ひろし一緒に死んでくれ」

父さんはそういって僕に銃をむけた。はは、父さん…何それ?

僕の涙が下へたえまなく落ちる。だったら今までの僕は何?あの幸せは何?


――ダーーーン


拳銃が僕に勢いよく発砲された。いたい、いたい、肩が痛いよ。

熱い、痛い…死にたくないよ…。

「ごめん、母さんひろし…今逝くよ」

父さんはそう言って拳銃を父さんの頭へと突き刺した。父さん!止めてよ!!僕はまだ生きてるよ。

声がでないけど…父さん!!!!!


――ダーーーン

――ビチャ


父さんだったものが僕の目の前へと頭がい骨が砕ける音と共に落ちてきた。

あとは俺の前に広がっていく赤い―…

血血血血地血地血乳血地血乳血地血乳血ちちちちちちちちちちちちちちちちちちちちちち


「あぁあああ゛ああああああああ!!」


――ソウ:僕ノ:夢ハ:音ヲ:立テテ:砕ケタンダ:


目目目目目目目目目目目目


暗い暗い暗い闇の中誰かが俺に語りかける。

冷たい冷たい冷たい黒の中誰かが俺に語りかける。


オカエリ:鬼山:


俺ノ:鬼山ト:僕ノ:鬼山トノ:間ノ:狭間ノ世界ニ


カエッテ:キタンダネ:


サァ:一緒ニ:一緒ニ:コノ世界ヲ:


滅ッセヨウ:


ここまで読んでいただきありがとうございます!!+゜

シリアス…やっと山場の鬼山の過去を終わることができました(・∀・)

私の中で最大級のシリアスです↓↓読んでいて面白くなかったかもしれませンが…(↓焦'`+゜)

シリアス…書いていて実はすこし面白かった力も…◆'`人)+♪。

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