19話・目*フォニは鬼だろ!!*目
「さ〜て、フォニ山君どうしゅりゅ?(舌かんだ)」
ここは公園のはるか上空。一人の金髪のクセ毛の女の子、猿木が面白そうに下を見つめていた。
普通なら、青空の中に女の子がいるということは不自然で目立つことなのだが、誰一人彼女を見る素振りを見せない。
どうやら猿木を普通の人には見えないらしい。
「猿木さん!!」
ふいに猿木の上空から声が聞こえる。ふいに上を見上げて見ると青の中に白が一点あった。
どうやら鳥のようである。
「あ!白ふきゅろう!!」
猿木はその白一点にめがけて大きな声をだす。一方の白フクロウは一直線に猿木めがけて降りてきた。
まるでジャット機のようである。
――ゴツーーーン
猿木の額に白フクロウの口ばしが勢いよく刺さる。
「ぎゃほーーー!」
猿木は瞬時に額を手でかくすようにうずくまる。が以外に猿木よりも白フクロウのほうが痛そうであった。
「だ…駄目じゃないですか!!仕事しっかりやらないと!!」
白フクロウは毛を立てながら猿木に怒鳴る。
「はいはい、これも仕事だにょ。だっちぇ…フォニの了解がなければ地獄にはつれていけぇないでっしょ?(舌かんだ)」
「そうですが…猿木さんのお父さん怒ってますよ!例えるならタコのように!キムチのように、赤いふんどしのように!」
「あ〜、お父さんのことタコとキムチと赤いふんどしって言った〜お父さんに言いつけてやりゅ〜」
猿木は手を口にもっていき笑うそぶりを見せる。
「猿木さんは小学生ですか!!一言良い事をいっておきましょう!あなたのお父さんはいつも赤いふんどしはいているんですよ!」
「は!!うそら〜!お父さんはトランクス派だっていってたしゅ!(舌かんだ)」
「猿木さんはだまされています。本当うざいほどあなたのお父さんは真っ赤なふんどしはいていますよ」
「ぎゃほーーー(騙されたーー)」
猿木は上を向いて狂ったかのように叫ぶ。
「いいですか。このように私の言うことはただしいんです。早く鬼山さんを地獄に!取り返しのつかないことになります」
白フクロウはせかすように猿木の頭上を中心にくるくるとまわる。
「う〜ん。もうすこし、もうすこち…」
猿木はまったく白フクロウの話を右から左へと流す。
「ったく本当閻魔大王様の13人の子どもの一人なんでしょうか?」
白フクロウはため息とともに言葉をだす。猿木の体がビクンと反応をする。
まるで何かを思い出したかのように。
「もうすこし閻魔大王様の子どもとして自覚をもったほうがいいと思います。だからあなたは13人の中でも―…」
「うるさい!!!!!!!」
突然言いかけた白フクロウに鬼のような形相で猿木が怒鳴る。もちろん白フクロウはあっけにとられる。
猿木は息をきらしながら泣き声で言葉をだす。
「酷いよ…。白フクロウもそういう風に私を見ていたんだ。でも、でも!!白フクロウは私をそんな風に見ていないと思ってた!!」
猿木の目からは涙がこぼれ落ちる。
「いや、そんな…」
白フクロウはどうしていいのかが分からずにただうろちょろと行き場のない空をさまよっていた。
「いいよ、私は誰にも属さない私のやり方でやらしてもらうんだから!!」
猿木はそう吐き捨てると一瞬のうちに溶け込むようにその場から姿を消した。
「猿木さん!!」
白フクロウが止めようと大きな声をだすが…すでに遅かった。
猿木の姿も何も見えない真っ青な空があるだけだった。
「…猿木さん―…」
ただ白フクロウの呟くような小さな声が青空に残っただけだった。
目目目目目目目目目目目目
「ほう…Pepoleをとるまで知恵をつけたかのぅ?」
そういいながらキジ丸は俺に確実に近づいてくる。手には3本の木でできたクギを持ちながら。
キジ丸は俺(鬼)を見ておきながらおどろくほど穏やかな顔をしていた。
たとえキジ丸のメイクが酷くてもそれが分かった。
瞬時に俺の本能…いや鬼の本能というべきか、危険ダと言っている。
こいつはやばい…。無意識に俺の額から汗がでる。
「桃…逃げろ…たぶんこれ以上に巻き込まれる…」
俺は小さく桃に聞こえるように呟く。それを聞いた桃は隣で驚いたような顔をしていた。
「ふざけるなよ…新手の冗談か…私は大丈夫―…」
「いいから逃げろよ!!!!!」
俺は今まで出したことがないほどの大きな声をだす。
桃の体が震えたのがわかった。俺が怖くて逃げてもらってもいい。
とにかくお前は逃げろ。逃げてほしい。これ以上…。
「フォニよ…汝Meを恨まないでほしい。これ以上犠牲をだしたくないんじゃ」
キジ丸はいつの間にか俺の5メートル先まできていた。
そして白く、長いシルクハットを深くかぶり軽く俺に礼をする。
犠牲をだしたくない。コイツは俺と同じ考えのようだ。
ふいにキジ丸がもっていた3つの木でできたクギが宙に浮く。
キジ丸の頭上にいったかと思えば羅針盤のようにくるくるとものすごい勢いでまわり始める。
3つのクギは規則ただしく並んで同じスピードでまわっていた。
「なんだよ…これ」
あれほど俺が怒鳴っておきながら相変わらず桃はいっこうに動こうとしなかった。
「おい、桃逃げろって言っただろ!!」
俺は桃をするどく睨みつける。が逆に桃に睨み返される。
「お前のせいで腰が抜けたんだよ!」
ってそこいばるところじゃないし!!おい!こんな時に腰をぬかすなよ!
まぁ、俺が思いっきり怒鳴ったせいでもあるけど…って俺ってばバカ!!怒鳴らなければよかった!
ふいにキジ丸の頭上に回っていた3つのクギがピタリと止まる。
「すまぬ…」
キジ丸がそう言った瞬間だった。2つのクギが俺をめがけて一直線にとんできた。
――ざしゅ
俺の右手の手のひら、左の手のひらに深く刺さる。クギが刺さること自体は大して痛くはなかった。が、刺さった次瞬間であった。
「がッ!!ああああ!!!」
俺の体から電気が走るような痛みを感じる。怖い!!逃げたい!
が…俺の体に刺さっているクギがそうはしてくれなかった。自分でも分かった。
電撃がはしるとともに体の皮膚がめくれていくことを…。めくれた肌、そこからは真っ赤な皮膚が見えた。
――パチン
キジ丸が指を鳴らした瞬間だった。先程の2つのクギよりもひときわ大きなクギが俺にむけられる。
そして一直線にそのクギが俺の頭をつらぬこうとした瞬間だった。
―死―
「鬼山!!」
となりから桃が俺を抱きかかえる。
――ガリッグザッブシュ
ひときわ鈍い音が響く。そして赤い赤い赤い赤い鮮血が吹き出る。
だがその鮮血は決して俺のものではなく、グタリと俺にもたれかかっている桃のものであった。
―ウソダロ
生暖かい血が俺の顔にかかる。
―ウソダロ、何でまた…桃が…
―俺はまた人を…見殺シニ?見殺死ニ?
「なぜじゃ…なぜ…Girlが突然?」
キジ丸も理解できないようにあっけにとられていた。
――メキメキメキメキ
ふいに鬼山の体から響く鈍い音。
骨が大きく動く音。
肌からは赤い皮膚がのぞかせる。
そして数秒後には今までの鬼山の面影はみじんもカケラもなくなっていた。
例えるならば…バケモノ…まさしく鬼であった。
目目目目目目目目目目目目
ここまで読んでいただきありがとうございました+゜
次◎ゎ…ついに鬼山の過去が…!?7年前の事件にもどります(ノ∀`★%)
たぶン…めちゃくちゃシリアスになりそうな予感です;;
すいませン;たぶン…あと3話くらいゎシリアス続きになるかと↓↓