アストラ学園入学式
入学式です。
やっと次から学園生活に突入です。
感想待ってます。
それではどうぞ。
アストラ学園校門前にて、緊張と期待を滲ませた顔で立っている男がいた。
そう、俺。
あ、もちろんカーラ達もいますよ?
いつも通り男共のいやらしい視線を独占してるわけですが…。
こいつら、カーラ達にやらしい視線向けやがって…、マジでぶっ殺してやろうか…。
「ヨヅキ、我等のために怒ってくれるのは嬉しいが、もう少し殺気を隠せ」
「そうじゃ。皆怯えておるだろう。そんなんじゃ友達もできぬぞ?」
「は?カーラ達にそんな視線を送るからいけねぇんだよ。そんな奴らは近寄って来てほしくもないね」
「ヨヅキ様ったら…」
カーラ達は嬉しそうだ。
こんな視線にさらされて何で嬉しそうなのかは分からんが、そんなんでは俺の怒る気が削がれるじゃねぇか…。
「同年代の雄がたくさんいる所に来て、縄張り意識が出てきたみたいですね」
「だな。まだ我等の事をそういうものとして見てるわけじゃなさそうだが、いい傾向だ」
「積極的にいけば、そのうち見てくれるようになるさ。その時が待ち遠しいのう…」
「「「ふふふ…」」」
あいつら何の話してんだ?
不気味に笑いやがって…、仲がよろしいことで。
つか、そろそろ行っとくか?
「えーっと…、体育館は…。お、あっちかな?」
生徒が皆同じ方向に歩いていってるからあっちだろうな。
にしても…、やっぱり服装は自由だな。
貴族なのか煌びやかな服とマントをした者や、なんか民族的な衣装を身に纏った者、なんかよくわからん奇抜な色合いの服を着た者、いろいろいる。
と、こんな感じで人間観察をしながら歩いていくと、体育館に着いた。
周りの様子から察するに、あそこの受付に行ってから中に入るらしいっすね。
列の最後尾に並び、すぐに自分の順番が回ってきた。
「次の奴来ーい」
受付こんなんでいいのか?
いくら新入生だからってこの対応はダメだろ…。
と、受付を見てみれば…。
うぉい、めっさ美人やん。
軽くウェーブがかかった煌めくロングの赤い髪に、眠そうな茶色い瞳。
あー、この人、絶対めんどくさがりだな。
目がもう「受付だりー」と語っている。
そんな覇気のない顔なのだが、美人だ。
新ジャンルだな、この人。
俺は好m(ry
あとスタイルは、はち切れんばかりですね。
身長は俺と同じぐらいです。
高いな…。
でもどっかで会った気が…
「はい、名前を言ってくれ」
「ヨヅキです」
「………家名は?」
「ないです。名簿もそうなってると思いますよ?」
………なってるよな?
タイルのやつ、これでヨヅキ・キサラギになってたらキレるからなコラ…。
「ヨヅキ、ヨヅキ、と……………お、あったあった。よし行って……ん?……………………………………ヨヅキ?」
ん?なんか引っ掛かりました?
俺、あなたとは会ったことないと思うんすけど…。
「…ヨヅキって、リィンの言ってた…」
そこまで言って硬直。
たっぷり10秒たってから、眠そうにしてた目を輝かせて、
「握手してください!!」
と、言い放った。
えぇー…突然かよぉ…。
つか、あれ?
正体ばれた?
「俺、あなたの大ファンなんです!!あなたがリィンの言ってた<魔剣のふぐぅ!!」
危ねー!!
この人今言おうとしてたよね!?
口塞ぐの間に合って良かった!!
今めちゃくちゃ注目されてるもん!!
こんなところで言われちゃこれからの学園生活が終わる。
マジで終わる。
つか、リィンって言ってて、正体もばれてる…。
この人もしかして…。
「ナギ先生ですか?」
「ぷはぁ!!何で俺の名前知ってるんすか!?<魔剣のふぐぅ!!」
この人危険だ!!
二つ名連呼してくる!!
「ちょっと二つ名で呼ぶのは勘弁してくれません?ヨヅキって呼んでください。あと普段通りの口調で。今は生徒と教師ですから。分かりました?」
コクコク頷くナギ先生。
なるほど…、リィン先生の話は信用できんぞ…。
うっかり言うどころじゃねぇ…。
「ふぅ。じゃ、じゃあヨヅキ。お前は本物、なのか?」
「はい」
「そ、そうか。ちょっとこっち来てくれ」
そう言ってすたすた歩いていくナギ先生。
受付放っといていいのか?
そうして着いた場所は人のいない広場。
もちろんカーラ達もついて来てるよ。
ここは今日が入学式じゃなければ、さぞ賑やかそうな場所だ。
緑もあって、噴水もある。
癒される空間だねー。
弁当はここで食おうかな。
「えっと、お会いできて光栄だ。俺はナギ・ガーディアンといいます。この学園で教師をやっている」
「俺はヨヅキです。一応、世界最強やってます」
「そ、そうか…」
「………」
「………」
「………」
あれ?呼んだのそっちだよね?
なんで俺が気まずい雰囲気にのまれなきゃならんのだ?
早く進めろよー!!
「ヨヅキ」
お、やっとですか。
「二年前、イリュアの森で一人の女を助けなかったか?」
イリュアの森っていうのは魔物が住み着く森として、一般人は決して近寄らない場所だ。
二年前、そこで………。
…ああ、思い出した。
「ああ、俺はあなたを助けた」
そう。
イリュアの森に、アースドラゴンの討伐依頼を遂行しようと行ったら、討伐対象に襲われている女性がいたから助けたのだ。
あの時助けた女性はナギ先生だったんだな。
「当時22歳だった俺は、授業で使うための材料をイリュアの森へ取りに行ってたんだが、運悪くアースドラゴンに襲われちまってな。そこを助けてくれたのがあなたというわけ。あの時は驚いていて礼を言えなかったから、今言わせてもらう。ありがとう」
腰を折るナギ先生。
ふむ、めんどくさがりだろうけどしっかりはしてるな。
秘密も守ってくれそうだ。
あと、どうでもいいことだけど、男みたいな口調だな。
っと、そうだそうだ返事しないと。
「いえ、無事ならいいんです。あなたを救うことが出来て、俺も嬉しかったですから」
ニッコリスマイル。
よし、この話は終わりだな。
………ナギ先生、顔赤くしてどうしたんだ?
リィン先生も赤くしてたし、風邪流行ってんのかな?
「そ、それで、あれから俺はあなたのファンになってさ。だ、だから!!抱きしめてくれ!!」
おい、握手からレベルアップしてんぞ。
「ヨヅキ、抱きしめろ」
およ?
カーラがそんなこと言うなんて珍しい。
んじゃあ、失礼して…。
「わ、我じゃない!!ナギをだ!!」
くふふ…。
そんなに顔真っ赤にして焦んなよー、かわいいやつだなー。
んじゃ次は、と、ナギを抱きしめてやる。
………なんか間違ってね?
まぁ俺としては役得ですから?いいんですけどね。
「あ、ありがとう!!もう俺体洗わないぜ!!」
「いや、洗えよ?」
体洗わないはどうかと思う。
女性はダメだよ。
あ、別に男はいいってわけじゃないから。
俺はちゃんと洗ってるから。
お風呂大好きだから!!
「増えたな」
「ですね」
「まぁ、私はリィンから話を聞いた時から怪しいと思っとったのじゃがな」
「ヨヅキハーレム計画、順調すぎて怖くなってきますね…」
最近あいつら、ひそひそ話増えたな。
俺、寂しい…。
「んじゃあ入学式に出ないと。行きません?ナギ先生」
「おう。あと俺のことはナギって呼び捨てでいいから。敬語もうぜーからなしで」
「じゃあ学園生活以外の時は」
「むぅ、固いなーヨヅキは」
いや、そんながっかりしなくても…。
一応学園内では、教師と生徒という立場というものもあるしどうしようもねぇじゃん。
「まぁ、いいや。行くかー」
…ナギ先生、めっちゃマイペースだぁ。
〜5分後〜
ようやく体育館に入れた…。
あれからナギ先生とは別れてここへ来た。
今頃受付を頑張っていることでしょうよ。
にしても広いな。
一辺100mはあるぞここ。
高さも20mぐらいかな。
ここならなんでも出来そうだ。
「ヨヅキ様、あちらの席が空いております」
「お、四人分空いてるな。行こうぜー」
体育館にある舞台の手前に、椅子が並べてある。
入学者よりも多く出してあるのか、入学式が始まる直前の今でも結構な数が空いている。
目立たないように並べてある中で後ろの方に座る俺達。
まぁ、カーラ達のおかげでバッチリ目立ってるけどね…。
「ふぅ。やっと入学式か」
「これが終わったら私達は晴れてここの生徒じゃ。4年間、楽しく過ごそうな」
「うむ。友もできるといいな」
「そうだな。じゃあ改めて、これからもよろしく、カーラ、エン、ミリナ」
「ええ。これからもヨヅキ様を支え続けます。いつまでもお傍に居続けます」
「我もだ」
「よろしくの?」
「おう」
四人で微笑み合う。
端から見れば何言ってんだ?って感じだけどさ、こういう気持ちの確かめや入れ替えは、意外と大事なんだぜ?
「静かに!!只今より、第90回入学式を開始する!!」
おおー、やっと始まった。
でもどうせ、長い話聞くだけだろ?
めんどくさー。
お、フォレス爺さんが壇上に上ってきた。
まぁ、聞かなくてもいいか。
どうせ、努力〜、やら、友情〜、未来〜とかを語るだけだろ?
ならいいや、聞き流そ。
リィン先生やナギ先生はどこかな〜?
リィン先生は〜…、お、いたいた。
うわぁ、熱心にフォレス爺さんの話聞いてるよ…。
真面目だねぇ…。
その横にはナギ先生もいるけど、寝てる。
だと思ったよ。
絶対寝てるなって確信に近い予想立ててたもん。
カーラは…寝てる。
エン…も寝てる。
美人の寝顔はいいね。
最高だぜ。
見てて自然に笑顔になってきますよ。
………ふふ、カーラ達だからかもな。
ミリナは…あれ?なんで俺の顔見てんの?
「なんか付いてる?」
「いえ、何も付いておりませんよ♪」
「そうか…?」
ミリナはよく分からんな。
俺の顔見てニコニコ笑ってんだけど、何が楽しいんだろうな?
まぁ、俺も笑顔を返して、っと、はいニッコリ〜。
そうしたら隣にいるミリナは余計機嫌を良くしたらしく、俺の腕に抱き着いてきた。
「おい、離れろって。ここじゃまずいだろ」
「いいじゃないですか。見せ付けられますよ?」
おぉ…。
嫉妬の視線が俺の身体に突き刺さるぜぃ!!
「うん、物凄く居た堪れない」
「じゃあ、私も失礼するぞ」
そうしてたらエンもいつの間にか起きて、反対側の腕に。
カーラは今だに寝てますね。
良かったー。
起きてたら完全に不機嫌になってたね。
「まぁ、いっか」
「ここまでやって気付かないのはすごいですね…」
「これは直接言っても流されそうじゃな…」
何の話?
「次は在校生代表の挨拶。生徒会長お願いします」
お、生徒会長のご登場か。
おぉ、美人さんだぁー。
めっさ美人さんだぁー。
縛ったきれーな黒髪を、右の肩から前の方へ流している。
凛とした顔立ちで、可愛いよりは美しいといえますな。
手足なげー。
スレンダーな美人さんですな。
あ、生徒会長の名誉のために言っとくが、決して胸は小さくない!!
それにしても、顔真っ赤だけどどうしたんだろ?
「ははは、初めまして。私はこ、この学園の生徒会長をしております、セ、セリナ・イガルダと言いましゅ!!…あぅ…噛んだ…」
………何この人、めちゃくちゃ可愛い。
あぅ、ってマイクに入っちゃったし。
緊張と恥ずかしくて真っ赤だったのね。
あの凛とした感じからは全然想像できないわー。
「え、えっと私からはお祝いの言葉を送らせていただきます!!こ、この度はご入学、おおお、おめでとうございますでした!!」
おーい、語尾語尾。
なんかおかしいぞー。
「それではこれで!!じゃあまた今度!!」
そう言って舞台袖にはけようと、いや逃げようとする生徒会長。
だがそれを許さない声が。
「こら、セリナ!!逃げんな!!」
「お願いだ!!もう許してくれ!!」
「まだ全然喋ってないでしょ!!」
「私にはこれが限界だ!!恥ずかしすぎる!!」
「この言い争いの方が恥ずかしくない?」
「え?……きゅー(バタンッ)」
倒れたぁ!!
大丈夫か!?あの人!!
あ、違う人が担いでく。
生徒会長面白いな。
恥ずかしがり屋にもほどがあるだろ。
「えーっと…。これで入学式は終了です。入り口にクラス表が貼ってあるので、各自確認して教室に行ってください。それでは解散」
少しハプニングもあったが、入学式は無事終了。
これから俺の学園生活が始まるわけだ。