俺の事
おっす。
初めまして。
早速だが自己紹介させてもらうぜ。
俺の名前はヨヅキ・キサラギ。
身長は180㎝で、体重は67kgのちょろっと背の高い16歳の男だ。
黒い目で、無造作に切られた黒髪をしている。
今から始まる物語の、一応、主人公をやらせてもらっている者だ。
生まれはこの世界アースにある国、イフィリアだ。
そのイフィリアにあるキサラギ家という貴族の長男として生まれたわけだが、幼い頃、突然現れた黒ローブの男に襲われた一つ下の妹を庇って、魔力を奪われちまってな。
そんでお家からは追放。
おおっぴらには家名を名乗れなくなった。
キサラギ家は魔法主義でさ、父さんの親や分家の奴らが、魔力のない奴には家を継がせるわけにはいかん!!この家にいるのもおこがましい!!、とかなんとかで、追い出された。
………あの糞爺共、いつかぶっ殺す。
まぁ父さん(ヨゾラ)や母さん(アキ)、ツキナは俺のことを庇ってくれたわけだが、なかなか、ね…。
いくら現当主だといってもそうはいかないわけよ。
魔力がない奴を当主にすると他の貴族に示しがつかないし、もしかしたら今の地位も下げられてしまうかもしれない。
実を言うと、俺は迷惑かけないためにも糞爺共に言われる前から出ていこうと思っていた。
まぁ、そんな訳で家にはいられなくなったんだね。
出ていく時、父さんや母さん、ツキナは泣いていた。
俺も泣いてた気がする。
ツキナが俺に抱き着いて服を離さなかったのにはちょっと困った。
だから、俺はツキナとある約束を交わした。
「いつまでもうじうじしてんなツキナ。俺は必ず帰ってくる。もう大事な人に涙を流させないように強くなって。だから…、だからツキナは、それまで俺の帰る場所を守ってくれないか?」
「う゛、うん…!!お兄ちゃんの場所…、残しとく!!」
「よし、約束だ」
「…うん、約束」
そんな約束をして俺は転移させられた。
ランダムに転移させるわけだから、当然俺にも術者にも、ここがどこだかわからない。
森の中だった。
いや樹海と言った方がいいか?
とにかく右も左もわからないような場所で、俺は幼い身ながら丸一日歩き回った。
幸い魔物には出会わずホントに良かった。
父さんから戦いの教えは受けていたが、正直あの歳で魔物をどうにか出来るほど甘くないからな。
迷ったのならその場から動くなとはよく聞くが、俺の存在なんか知る奴はいないからじっとしててもしょうがない。
途中で見つけた果物?っぽいものをかじりながら歩いていると、突然声が聞こえたんだ。
『我はここだ』
『早く見つけろ』
『…鈍い奴だな』
………とかなんとか。
随分失礼な奴だな、と思いながら声に誘われていくと、開けた場所に出た。
神秘的な場所だった。
10年も前の事なのに、今だにはっきりと覚えている。
たくさんの光が地面から出てきては空に舞い上がっていく。
森にいたころは虫の声や、狼の鳴き声がしたものだが、ここは一切音が聞こえない。
神聖、この言葉がピッタリだった。
奥には祭壇があり、そこには鎖に巻かれた一本の剣。
俺は引き寄せられた。
抗いようがなかったほどだ。
周りの光のせいか、はたまたこの剣自身からか、淡く光り輝いており強大な力が感じられた。
祭壇の上へと続く階段を上り、剣に手を掛けようとしたところでまた声が聞こえた。
『汝は我を欲するのか?力を欲するのか?』
驚いたさ。
それはもう目が飛び出るくらい。
俺が呆けているとまた声がする。
『もう一度聞こう。汝は我を欲するのか?』
「…はっ!!…え?剣が喋った?どういうこと?………マジどーゆーこと?」
『…あくまで我を無視するのだな』
こんな感じが、俺のパートナーの一人、魔剣カラドボルグのカーラとの邂逅だった。
ちなみに女性です。
カーラとは契約をした。
こんな森に一人では生きていけない。
契約をすればとりあえずは生き残れる、と思ったからな。
魔剣というのはすごい。
カーラは刃がどこまでも伸び、雷を従える魔剣だった。
刃が伸びても重さは変わらないし、雷も強力。
雷の上級魔法なんか足元にも及ばなかった。
それに、俺から魔力は注がなくてもいいみたいだ。
空気中にある魔力を使っているとか。
そしてカーラからはいろんな事を聞いた。
魔剣と呼ばれる存在は意外と多いこと。
神剣や魔槍、妖刀といった類も多いんだそうな。
そしてカーラを今まで使ってきた人は二人いたらしい。
どちらもカーラという強大な力に溺れて、いろいろと悪事を働いたみたいだ。
カーラの扱いもひどかったみたいだな。
あんな扱いは嫌だ、と涙を流していた、ように見えた。
そこで俺は何を考えたか、よし、他の魔剣たちを救いにいこう、悪人の手から取り上げる、もしくは悪人の手に渡る前に助けに行くんだ、と言った。
別に後悔はしてないけど、なんといきあたりばったりな行動だったんだろうか…。
『ヨヅキは我らを救うと?意思があるとはいえ、所詮道具にすぎない我らを?』
「ばーか。そんなこと言うなよ。お前、さっき泣いてたじゃねぇか。悲しかったんだろ?辛かったんだろ?その感情は嘘じゃねぇんだろ?…だったら、人間も道具も関係ないだろ。お前らにもその感情は、確かに『ある』んだ。『心』が『ある』んだ。なら俺はどうにかしてやりたい。悲しんでほしくない。…それじゃ理由になんねぇか?」
『………』
「それに俺はお前のことを道具だなんて思ってない。…パートナーだろ?」
『………ヨヅキ。頼みがある』
「うん?何だ?」
『我と永久契約をしてほしい』
「永久契約?」
『ああ。永久契約とはその名の通り永久に続く契約だ。通常の契約は魔力同士のものだが、永久契約は魂の契約。魂が結び付くのだ』
「魂、が?」
『そう。永久契約を結ぶと互いに成長し、力を高め合う。それともう一つ。永久契約は、永久に離れることがない』
「永久にってどんぐらいだ?死ぬまでか?…もしかして…」
『…死んで、転生しても共に生きるのだ。記憶も受け継がれ、力も受け継がれ、契約した者は、まさに永遠を共に生きる』
「永遠を、か。んー…、記憶や力が受け継がれるのはある意味辛いかもな…」
『それを承知で頼んでいる…。辛いのはわかるが、我は…』
「俺と一緒にいたいのか?」
『…う、うむ。ここまで我らを考えてくれる者は初めてなのだ…。出来るならば永遠を共に生きて行きたい』
「いいぜ」
『は?』
「だから、いいぜって。カーラとなら楽しそうだ」
『…ありがとう。それでは…』
こうして俺とカーラは永久契約を結んだわけだが。
ここで想定外なことが。
なんとカーラが人間になったのだ。
ショートの金髪、ぱっちりと開いた金色の瞳。
みずみずしい唇、シュッと通った鼻筋。
まだまだお子ちゃまだった俺でも分かるぐらいの美女だ。
170㎝ほどの長身で、スタイルも抜群でした。
カーラはとても喜んでた。
俺と一緒だ、と暫く笑顔だった。
………どういうことだ?
まぁ、森での出来事はそんな感じだな。
あのあともう三日かかって森を抜けた。
さすがに魔物に遭遇したけど、カーラの雷で殺した。
血の臭いで吐いた。
んで、また殺した。
肉の焦げた臭いでまた吐いた。
繰り返してくうちに吐かなくはなったけど、16歳の今でも殺すのは慣れない。
まぁ、慣れたくなんてないけどさ。
ちなみにカーラは人間と剣の姿、両方なれるようだ。
そして近くの街へ着いて、早速殺した魔物から剥ぎ取った焦げてない毛皮や、牙を換金して、そのまま冒険者ギルドへ。
そしてただのヨヅキとして登録、それからは魔剣の情報集めて、救出しながら無茶苦茶に頑張った。
ツキナとの約束、強くなるために。
ちなみに冒険者ギルドってのは分かるか?
まぁ仕事斡旋所みたいなもんで、登録後に貰えるギルドカードは身分証にもなるから貰っといた方がいい。
あと、ランクについても説明するとF、E、D、C、B、A、S、SS、SSS、Xランクと別れていて、Sランクになれるやつは優秀。
SSSランクともなると国に10人ぐらいしかいない。
Xランクは世界にただ一人。
まぁ、なんつーか…、俺なんだけどね?
Xランク、二つ名<魔剣の主>として、世界にその名が轟いている、らしい。
強さを求めるうちにこんな所まできちゃってさ…。
もちろん仕事中はなるべく魔剣の能力を使わなかった。
だから、魔剣抜きにした俺個人の能力をみても相当なもんだと思う。
まぁ、途中関係ないことも挟んだけどこれで俺の自己紹介は終わりだ。
…追い出されてから10年。
俺は頑張った。
これでもか!!ってぐらい。
約束、守れてるよな?
ツキナ…。
「ヨヅキ!!なんかギルドマスターが呼んでるみたいだぞ!!」
「あぁ!!すぐ行く!!」
「何の用かのう?」
「さぁ?ヨヅキ様、何かなさったので?」
「いや、何もしてねぇと思うけどな…」
「また厄介事を押し付けるんじゃろう。覚悟しといた方がいいかもしれんぞ?」
「はぁ…、それだけは勘弁してくんねぇかな。」
「おい!!早く来い!!」
「あぁ悪い。今行くよ、カーラ。エン、ミリナ、行くぞ」
「うむ」 「はい」