アルカナの舞-03◆「龍の宗主」
■恵久美流公国/恵久美流/龍の館/宗主の間
『ゴォォン!!』
壮麗な銅鑼の音共に、重々しい扉が左右に開く。爽やかな涼風と、水のせせらぎが耳に心地よい。中央の噴水の後ろには大きな絨毯がひかれており、何人かの人物が座っている。
「おぉ、姫よ。」
立派な顎髭を蓄えた人物が立ち上がって、一行を迎えた。風貌は厳しいものの、その両眼には優しさが溢れている。
「よくぞ帰って参った。後ろにおられるのは、姫の御友人か? 我と后に紹介してはくれまいか?」
扉が開いたためにふわふわと風になびく金髪を、さっと後ろに振り払うようにしてから、璃奈は背筋をのばして皆と共に父母の前へと進む。上品に一礼してから話し始める。
「お父様、お母様、ごきげんよう! ただいま帰りました。先生がご一緒にいらしてくだすったのです!」
と、龍の盾に向かってにっこりと笑いかける。
「そして、こちらはレムリア姫様。真理査様。そして、ラダノワ卿。それから、ヴェルボボンク子爵さまからお父様へ、特によろしくとのことでしたわ。
・・・あと(と、少し口ごもるようにして)紫の騎士ヒラリーさまとお友達になったの。お父様とお母様にぜひご紹介したかったのだけれど・・・とてもいろいろなことがありました・・・」




