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初対面ですが、きっと何処かで出会っていたのでしょうね

作者: 羽倉了
掲載日:2026/04/09

オリビアは夢を見る。だが目覚めると忘れてしまう。

デビュタントに近づくにつれて回数が増えていく。

「どうして私には婚約者がいないの?」

夕食時にオリビアは切り出した。

父親は優雅にナイフとフォークを使う。

「まだ早いからだよ。オリーには素晴らしい人と婚約してほしいかね」

「きっとデビュタントで父親にエスコートされて踊るのは私だけよ」

「それが何がいけないんだい? オリーと踊るのはパパだけだよ」

母親はオリビアを生んで儚く散ってしまった。

溺愛していた父親は、生まれてきたオリビアを疎むことなく、溺愛した。時々行き過ぎなほどに。

「変な奴と婚約するより、養子を取ればいいだけだし、オリーはずっとパパと一緒にいるんだよ」

オリビアは溜息をついた。疎まれなかったのはいいが、溺愛しすぎである。オリビアが我が儘に育たなかったのは奇跡である。使用人たちもホッとしている。

「運命の人と出会いたいな」

最近のオリビアの口癖だった。


白いドレスに見に包んだオリビアは、始めての舞踏会に足を踏み入れた。

父親にエスコートされるのはどうやらオリビアだけではないようで、オリビアはホッとする。

「これから挨拶しに行くから、オリーは隣で笑っておくんだよ」

「私がいてもいいの? 仕事の話もあるんじゃないの?」

「仕事よりオリーさ」

ブレない父親である。

父親は次々に挨拶していき、オリビアは言われた通りに微笑んだ。

顔が引きずりかかった所で、父親が声を上げた。

「閣下! 閣下じゃありませんか! 珍しい閣下がいらっしゃるなんて!」

ある人物に父親は声をかけた。閣下と呼ばれた男性の服装は騎士団のもので、胸元には引きちぎれそうなほどの勲章があった。

「オリー。彼はアルジャノン・エルファントン様だよ。騎士団の副総長様だよ」

オリビアは紹介されたアルジャノンを見る。

「閣下。今日デビュタントの娘のオリビアです」

アルジャノンもオリビアを見る。

二人の目線が重なったとき、二人は涙を流した。

父親は驚く。

オリビアは前に出た。

アルジャノンは腕を前に出す。

「ずっと君を待っていたような気がする」

実際にアルジャノンは三十を前にしても独身だった。

オリビアはそっとアルジャノンの腕に手を添えた。

もう忘れてしまう夢は、見ない気がした。

「初対面ですが、きっと何処かで出会っていたのでしょうね」

父親が周囲が驚いていることに目を向けないで、二人は涙を流しながら寄り添うのだった。

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