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34.教団騎士の脅威

「後から来て、偉そうにしてんじゃねえぞォォォォ!!」

「やれ! やっちまええええ――――っ!!」

「「「ウオオオオオオ――――ッ!!」」」


 冷たく高慢な態度の教団騎士がいきなり放った一撃に、ギルド勢の男たちは激高。

 怒りを露わにしながら、特攻を仕掛ける。

 教団騎士は四人のみ。

 それはギルド勢の五分の一以下の戦力だ。しかし。

 相手の数に恐れることもなく、先頭の騎士が手にした武器を冷静に振り払う。

 すると剣から魔力の刃が伸び、払いの軌道に合わせて扇子のような形の軌跡が生まれる。


「「「うわああああああ――――っ!?」」」


 数人のギルド勢が、まとめて斬り飛ばされた。

 さらに魔力剣を振るった騎士の横にいた大剣使いが、その剣を突き出した。

 切っ先から放たれたのは、先ほどと同じ炎球。


「「「ぐああああああ――――っ!!」」」


 生まれた爆発を喰らった者たちは、早くも足元がおぼつかない状態だ。


「っざけんじゃねえぞォォォォ――――ッ!!」


 少女に魔物を押し付けて逃げた男は、ここでようやく立ち上がって剣を取り、隙を見ての特攻。

 教団騎士の一人と、一対一の戦いに持ち込んだ。


「オラァァァァ!」


 叩きつけるような形で振るう剣の乱打で、優位を取る男。

 しかし教団騎士は、まったく慌てることなく敵に剣を振らせ、大ぶりをかわしたところで反撃に入る。

 灯る輝きの直後に振り払われた剣は、豪快な風切り音と共に残像を残すほどの速度だ。


「なっ!?」


 シンプルだが、その威力は驚異的。

 これを受け止めた男の剣は大きく弾き飛ばされ、その衝撃に片ヒザを突いた。

 そこに飛んでくるのは、容赦のない蹴り。


「ぐがあっ!」


 胸元を蹴られた男は地面を派手に転がり、再び倒れ伏す。


「……なんだあれは!? 武器自体に戦技が付属してるのか?」

「あんなの見たことないぞ! いったいどこから!?」


 聞こえてきた、驚きの声。

 気が付けば、さらにいくつかのギルドや探索者パーティがこのホールにやって来ていた。


「なんて強さだ。これだけ人数差があるのに、手も足も出ないじゃないか!」

「なんでこんなに強く……ていうか、こんなところまで来るような奴らじゃなかったろ!」

「まさか今回は、教団騎士が宝を手に入れるのか……!?」


 続く一方的な戦いに、ざわつき出すホール。

 場は完全に、教団騎士たちに支配されてしまった。

 突然跳ね上がった、戦いのレベル。

 騎士たちの強さを前に、少女もショートソードを降ろしたまま茫然としている。


「宗一郎さん……!」


 すると俺のもとに、サクラが駆けつけてきた。


「今がチャンスです。ナイトメアガーデンとして宝の争奪戦に参加しましょう!」

「……どういうこと?」

「すでに宝は目前、そして与えるべき『正しき者』も見つかっています。あとはダークロード様が、宝を回収するだけです!」

「このままの格好じゃダメなの?」

「宝を手に入れるには、教団騎士との戦いが必須になるでしょう。私たちがこのまま彼らに打ち勝つことになれば、その力と戦い方に目が向けられることになります」

「なるほど、『あいつらがナイトメアガーデンじゃないか』って言われるってことか」

「はい」


 教団騎士と、ギルド勢の戦いを見つめている少女。

 その表情には、さらなる強敵の登場によって悲壮感すら浮かび出している。


「分かった」


 俺はサクラと共にホールを一歩出た先の岩陰でリュックを降ろし、着替えを始める。

 一方サクラはブレスレットの魔法石を輝かせることで、即座に変身を完了。

 さらに刀も大型化して、太刀になった。


「何それ、凄い便利じゃん……」

「これらは以前、ダークロード様に頂いたものなんです」

「マジかよ。あげた本人だけ自力で早替えとか……」


 言いながら真っ黒なフード付きコートに身を包み、口元をマスクのようなもので隠す。

 いやこの中二病衣装、本当に恥ずかしいな!

 こんなのを着てあんな緊張感のある場に出て行くとか、どうかしてるだろ……!

 ……でも。

 ダークロードとして『正しき者に与えよ』を成すことで、失くした記憶を取り戻すための何かが見えてくるかもしれない。

 それなら、やるしかないんだ。


「それはそれとしてさ」

「はい」

「あの大げさなしゃべり方は、続けないとダメかな? やっぱり」

「以前ダークロード様は、挑発的なのにも意味があるといっていました」

「マジかよ……それなら、一応やっておくかぁ」


 本当に意味があるんだよね?

 これで『大物っぽく見えるから』とかだったら、俺泣いちゃいそうなんだけど。


「行きましょう」


 そう言って、従者のように俺の背後につくサクラ。

 黒づくめコンビが、戦場に向けて歩き出す。

 ……でも、どうやってあの場に入り込むんだ?

 どう参戦するのが、ナイトメアガーデンっぽいんだ?


「何も分からないんだけど……」


 明らかに場違いな中二病衣装を着こんだ俺は、そうつぶやきながら進んで戦場へ。


「【エーテルストライク】」


 踏み込んだ瞬間、身体が勝手に魔力光弾を放り込んでいた。


「「「ッ!?」」」


 魔力が炸裂して、盛大な爆発を起こす。

 吹き荒れる風が、戦場に大きく砂煙を上げた。


「なんだ!?」

「今度は一体何がっ!?」


 予期せぬ事態に、ギルド勢と教団騎士たちまでもが一斉に振り返る。

 俺は自分の起こした風に揺れるコートを翻しながら、ホールを悠然と進む。そして。


「――――ごきげんよう、諸君」


 静まり返るホールに足音を響かせながら、挨拶を一つ。


「ダ、ダークロードだ……」

「ダークロードが来たぞおおおおおお――――ッ!!」


 するとすぐさま、探索者たちが騒ぎ出した。

 向けられる視線の中、俺は余裕を見せつけるかのような態度で続ける。


「新区画の迅速な攻略、見事であった。褒めてやろう……だが」


 そして長いコートの裾を翻し、大げさに両手を開く。


「五階層の宝も、手にするのはこのダークロードだ。諸君らはいつも通り指をくわえて見ているがいい。フフ、フハハ、フハハハハハハハ――ッ!!」


 見れば少女は、ぽかんと口を開けたまま俺を見つめていた。

 ヤダもう! そんな目で見ないで恥ずかしい……っ!

 思わず顔が赤くなる俺。

 一方、そんなダークロードの宣言を見せられた探索者たちは――。


「……殺れ」

「ダークロードを、潰せええええええ――――っ!!」


 めちゃくちゃキレてるんだけどォォォォ――――っ!!

お読みいただき、ありがとうございました!

少しでも「いいね」と思っていただけましたら――。


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― 新着の感想 ―
ダークロード様爆誕w ここからの神殿騎士の動きが気になるところ…。 ぜひ「教祖様!! 生きておられましたか!!!」とか言って泣き崩れてほしいw しかし中二武器まで製造してるだと…。 宝の結晶をその場…
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