嘴広鸛
玄関のドアを開けたら恐竜みたいな奴が門の前に立っていた
静かにドアを閉める
「どうしたの?、おじさん」
玄関で固まる登に詩月が不思議そうな顔で言ってくる
「何か小型の恐竜みたいな奴が外にいる」
「恐竜?」
ソロリとドアを開けて外を見る詩月
恐竜っぽい奴は微動だにせずこちらを睨みつけてくる
「何かグレたペリカンみたいな顔」
ペリカン、そうペリカンだ
顔の怖いペリカンみたいな奴
という事は奴は恐竜ではなく鳥という事
しかしあんな鳥見た事もない
「どっかで見た事あるなぁ」
「え?、そうなのか」
「彩唯月なら多分知ってるよ、呼んでくる」
そう言って詩月は玄関から離れた
すぐに彩唯月が来た
そしてドアを開ける
「あー、この子はハシビロコウですね」
「ハシビロコウ?」
「大人しい子です」
そう言うとハシビロコウに近づいてお辞儀する彩唯月
ハシビロコウも首を振りつつお辞儀し嘴を打ち合わせカカカカカカっと音を出した
「何だ?、今の音?」
「クラッタリングです」
「何だそれ」
「挨拶とか求愛とか威嚇とかに出す音ですね」
「なるほど」
お辞儀をする、まるで奈良の鹿のようだ
というか何故に普通ではお目にかからない鳥がここにいるのか?
「動物園からハシビロコウが逃げたって」
詩月がスマホを見ながら言う
この前はチーターが逃げ出したがどうなっているんだその動物園は
「逃げ出したって歩いて?」
「この子は飛べますよ」
「飛べるの!?」
ズングリした姿に翼は確かにあるが飛んでいる姿が想像できない
ペンギンのように飛べないイメージを持ったが違うようだ
それにしても正面から見ると怖い顔だが横から見るとそうでもなかった
動物園に連絡しハシビロコウは帰っていった




