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なろうラジオ大賞5

運命のクエスト

 俺は狩人を生業として8年の歳月を過ごしてきた。


 そして、昨年。遂に念願の狩人事務所に所属する。狩人とは魔王が創り出した魔獣を狩る仕事だ。

 下積み時代は、ランクの低い魔獣を倒して、素材を売って生計を立てる。だが、その8割位は収入が安定せずに家業を手伝いながら、二足の草鞋を強いられるのた。


 そんな狩人達が目指すのは狩人事務所に所属する事。事務所は最低限の賃金を保証してくれるし、武器防具の特約店などの恩恵がある。

 それ故に、スカウトされる事でしか所属出来ない。俺達は4人パーティーという一番メジャーなパーティー編成だけに、ライバルも多い。


 だが、去年中堅所の事務所に見初められた。そこから着実に狩る魔獣のランクを上げて行く。順風満帆だったが。


「実家に帰って家業を継ごうと思っている」

「もう事務所の人の遠回しな嫌味に晒されるのは御免だ」

 パーティーの2人が脱退の話をする。騙し騙しやって来たが、もう限界という事だろう。


 事務所に入って1年程経った時に、勇者によって魔王が討伐された。これ自体は喜ばしい事なのだが、俺達には死活問題だ。魔獣達の繁殖力がガクンと落ちた。それはランクの低い魔獣程顕著で、弱い魔獣から順に絶滅する。

 漸く中堅所の魔獣を倒せるようにはなっていたが、絶対数が少なくなっているのでどうしても討伐数も少なくなってしまう。それは即ち事務所に対する貢献度の低下に他ならない。


「クエストを受けようと思っている」

 俺は考えていた事を話す。

「はあ。クエスターなんか御免だ」

「狩人としての誇りは無いのか? 見損なった」

 その後も説得を試みるが、彼らの気持ちを覆す事は出来ずにパーティーは解散となった。


「なんだって急にクエストなんだ」

 1人残った仲間が聞いて来る。クエストは手伝いや精々薬草の採取程度の物しかない。去年までは。

「最近のクエスターは魔獣が減った事で、森の深部や山岳地での採取などで右肩上がりだ」

 俺達ならば魔獣が出ても倒せる。それは他のクエスターと比べてアドバンテージが大きい。


「お前が、そんな事を思い付くとは思えない。何があった」

 幼馴染でもある彼には、隠し事は出来ないらしい。

「実は、成り行きで一度クエストをこなした」

 クエスターギルドから出て来た、暗い顔をした少年。彼の受理されなかった依頼は、病気の母を救うために必要な魔獣の生息地に生える薬草の採取だった。


 その日、狩人とクエスターの両立が出来ると確信したのだ。

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