カイエン魔法学校 生徒会
読んで下さりありがとうございます。生徒会メンバー登場です!
「失礼します。」
「やぁ、カイリ君。試験前の大事な時期に呼び出して済まない。バイトの件でね、お誘いがあったんだよ。」
「そうですか!嬉しいです!」
「うん、なんて言うか、嫌なら断ってくれて構わない。」
「?どういう意味ですか?」
「貴族科での生徒会役員の補佐をして欲しいそうだ。今人手が足りないようでね。カイリは奨学生だろ?それならば向こうは問題ないと言ってきた。」
「貴族科の、生徒会補佐…」
それってどうなの?全く想像がつかないんだけど。
その後金額面や時間帯など話を聞いて一度寮に帰って考えることにした。
返事は試験の後だ。
うーん…きっと受けるべき…よね?
大丈夫かな…
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「カイリと申します。初めての事で色々ご迷惑をおかけするかと思いますが、よろしくお願いします。」
「よろしく。私は会長のレオナルド・カイエンだ。」
「私は、副会長のシエン・グレースです。」
「書記のミロル・ヴェントだよ。よろしくね。」
「会計のアーク・ソル、こっちは弟のルネ。よろしく。」
「カイエン様の護衛をしている。プラム・フラムと申す。よろしく頼む。」
…ふむ…名前、多いな…早く覚えなきゃ
早速失礼しますと了承もらって持参したメモ用紙に書いていく。
生徒会長 レオナルド・カイエン 第2王子 ホワイトゴールド、確か魔法は回復と火
副会長 シエン・グレース 水色、確か宰相様のご子息
書記 ミロル・ヴェント 緑色
会計は双子 アーク・ソル(兄)、ルネ・ソル(弟) 黄色 見た目同じ
護衛 プラム・フラム 赤色
生徒会長様と副会長様の情報は先立ってバルフォン先生から聞いていた。他も貴族科なのだからお貴族様なのだろう。しかも名門の。
自己紹介が終わると早速副会長のシエンが補佐としての仕事を振ってくれた。
薄いフレームのメガネをクイとしながら順序だてて話す様は既にリーダーとして下のものを束ねるそれである。
頼もしいなぁ。
「では早速こちらの資料、まとめますね。」
私もしっかり働かなきゃ!お金お金!
暫く黙々と仕事をしていると甘い声とともに生徒会室のドアがバーンと空いた。
「レオナルドさまぁ、ごきげんよう〜!」
「…」レオナルド様は無言の挨拶、と心のメモ帳へ記帳する。
「やぁローズマリー、今日も可愛いね。」
愛想良く挨拶するのは書記のミロル。
「ミロルさまぁごきげんよう。」
ものすんごい甘い匂いがするんだけど…
「ローズマリー殿!いつも伝えておろう、先ずはドアをノックしてカイエン様からの許可を頂いてから入出したまえ!」
ドア横に立っていたプラムの顔が凄い事になっている。
あれは東の国の般若みたいな顔ね。恐ろしいわ。
「ごめんなさぁい。早くレオナルド様にお会いしたくってぇ」とピンクのツインテールの髪を指先でいじりながらも見つめる先はレオナルド様である。
「ちっ。本日はどのようなご要件でしょう。」
今舌打ちが聞こえたようだけど涼し気な顔をしてシエンが尋ねる。
「あっ、あのぅ今度の学園祭の事でちょっと相談が…」
「どのようなですか?先ずはクラスの代表者に相談したんですか?」
「っ、そ、それが、その、誰も私の話聞いてくれないんですぅ…」
寒い。これは本気で寒い。副会長様お怒りで気温下がってるじゃん。
あ、みんなあっちで集まって毛布被ってる〜!
双子のルネが手招きしてくれたのでわたしもこっそりそちらへ移動する。
「…ルネ様、これはいつもの事なのでしょうか。」
「そうなんだよぅ、ほぼ毎日くだらない相談しに来るから仕事も中断されるし最近ずっと寒いんだよ、この部屋。」
「シエンも真面目だから一応は話聞いちゃうからさ。でもいつか雪降ってきそうだよね。」
「ふふふ、ほんとだね、アーク兄さん。」
「まぁまぁシエン、僕が話聞いといてあげるよ。さ、ローズマリーさん、お茶が入りましたよ。どうぞ。」
「ミロルさまぁ…ありがとうございますぅ。マリー嬉しい。」
「え、今自分で自分の名前言った?」
「ぷぷぷ、声出てるよぅカイリ。」
「っ、すみません。お可愛らしいな、と。でもこの匂いは…強すぎません?香水ですよね?」
「俺もあの匂い苦手ー。きっとレオナルド様も苦手だよ。口開かないもん。」
確かに。
だがこうしていては賃金分の働きにならない。私は意を決して毛布の温かさから脱出した。
「あら?あなたどちら様?ここは生徒会室よ?」
「私はカイリと申します。本日より生徒会補佐として働くことになりました。ど、」
「まぁ!平民なの?なんで平民がここに居るのよ、なんだか薄汚い匂いがすると思ったわぁ」と鼻をつまんで怒鳴り出した。
どうぞよろしくお願いしなくて良かった…
私は当たり触りなく、申し訳ありませんと断り仕事を再開した。
この様な罵声は慣れている。ぶっちゃけキーキー聞こえるBGMより甘ったるすぎる匂いに頭がクラクラしてきた。
その時ふわっと空気が動いた。生徒会室の窓という窓が少しだけ開いて新鮮な空気が入ってくる。
見るとレオナルド様とマリーと歓談中のミロル様がお互い目線を合わせて合図していた。
ミロル様が開けてくれたのかしら。
「よく分からないわ。」
あまり深入りはしない事ね。
それから程なくして今日の仕事を終えた私は皆さんに挨拶をして貴族棟より退散する。
「あの制服、平民科の?」
「なんであんなやつがここに居るんだ。」
「あれだろ?今朝話していた…生徒会補佐の…」
「学年首位の?」
「やだわ、何だか臭くありませんこと?」
遠くから蔑む声が聞こえてくる。
みんなの香水の方が臭いと思うんですけどーと心の中で言いつつなるべく早足で貴族棟を立ち去った。
「はぁ、なんだか前途多難ね。慣れてくれると良いけど。」
なんせお金の為だ。
「うし!頑張ろ!」