カイエン王立魔法学校
読んで下さりありがとうございます。
カイエン王立魔法学校はこの国で初めて出来た魔法学校であり歴史的にとても古く、多くの著名な魔法使いを輩出したとあってなかなかの名門校だ。
「まぁ、古すぎるっちゃ、古すぎるよね…しかし寒い…」
古くからある伝統的な校舎には保護魔法がかかっており、そんじょそこらの災害や攻撃からも守ってくれる。まさに灰色の石の要塞だ。
だが…
平民が通う教室はこの伝統的な校舎とは違い、日の余り当たらない場所にひっそりと建っている。こちらは比較的新しいが保護魔法など手間と魔力のかかる施しは一切なく、普通に寒い時は寒く、暑い時は暑いのだ。
通う人数を比べてもこちらは100分の1程度、校舎の大きさもお城と馬小屋並に違う。
「あ、また寝てる。」
縦長に広くとった窓際に座る私と正反対の廊下側、前から2列目に彼が居る。
いつも机に突っ伏して寝ている姿をじーっと見ている。
「また見てるの?」
「あ、インディ、おはよ。またって何よ〜」
「だって、彼、見てたでしょ?」
しししと笑ってルークを指さす。
「だっ、待って!そんな指で人を指さない!」
「なによ、カイリ、あんまり大きな声出すと気付かれちゃうわよ。」
「っ誰のせいだ!ほら、早く席に戻って!」
リーンゴーンと音がすると担任のバルフォン先生がのそのそと裾の長いローブを引きずって入ってくる。
「さて、皆さん。昨日話した通り今日からグループワークに入ります。グループはこのプリントに書いてあります。」
そういうと一斉にみんなの机の上にプリントが風に乗ってやってくる。
ガヤガヤとみんな誰と誰がグループだなんだと騒いでいる。
…ルークと一緒が良かった…
まぁそんな上手いことないわよね
「逆にラッキーだわ!」と変なポジティブさを見せて熱心にプリントを読む。
「ふむふむ、薬草探しかぁ。」
色々考えてたらいつの間にかホームルームの時間は終わっていた。
「カイリ、同じグループじゃなかったねーざんねーん。」
「ほんとよね、私、友達居ないのに…」
「ま、大丈夫っしょ、カイリ なら。」
「うし。頑張る。」
なんじゃそりゃ、牛さんかー!と言いながら1時間目の授業を受けるために校舎を出て森を抜ける。森も学校内である。
「あ、居た。」
「あ、ルークもう座ってる。」
着いた場所は野外の第一広場。だだっ広い石畳の床が広がり、天井は無い。だが、冷たい風は魔法によって遮られておりそこまで寒くない。
そこにグループ同士で集まると、これから2日かけて行う薬草探しについての説明を受ける。
森の中にそれぞれのグループが入り、数種類の薬草を探して来るのだそうだ。
「せんせーい!森の中の魔獣はどうするんですかー?」
「小さくても危険な毒を持っていたりする。出来るだけ避けてグループで連携しながら探すんだ。」
先ずは作戦会議だとグループで話し合うことになった。
「初めまして、カイリです。めっちゃ田舎から来ました。よろしくお願いします。」
「初めてまして、俺はナギサ。遠く東の国から来ましたー!よろしく!」
「私はゾーイです。王都のしがない商社の娘よ。よろしく。」
「トンボ」と言うとピースサインをしてみせた。
「なんか濃いメンバーだなー。」
お前が言うなってみんな思ってるんだろうなー。
「カラフルよね」とゾーイが言う。
「確かに。見事に被らなかったね。先生がそうしてるのかもね。」
何がと言うと髪の色だ。髪の色で得意魔法が分かるのだ。
私は水色で水属性の魔法を得意とする。でも水色はとても薄い。ギリ水色って感じ。白にも近い。
ナギサは黒で闇属性。
ゾーイは赤色で火属性。
トンボは緑で風属性、となる。
ちなみにルークは茶色がかった赤。これがまたルークにとても似合っている。
インディは青色だ。
魔法を得意とする人はもれなく美男美女である。どうしてなのか、その昔エルフの血が混じっていると言う説もあるが真相は分からない。
だが、もちろん例外はいる。私だって全然平凡顔だし、ルークもインディからしたら平凡らしい。
解せない。全然納得できないんだけどね!
でも私以外の3人は皆さん揃って美男美女である。眼福というか、もう入学してから数ヶ月経つと見慣れた風景と化していた。
ひとつ共通するのは髪の長さかな。みんな長い。髪は魔力を有しており極力切らない方が良しとされているためだ。それでも肩より少し下で揃えたルークや、逆にナギサなんかは腰近くまであるんじゃないかな。真っ直ぐなストレートヘアをポニーテールにして高くに結んでいる。前髪もぱっつんである。
私は地味顔と弁えてるからあまりオシャレはせず、三つ編みを両側で編んでいる。解いたら腰ほどはある。女子は長めが多い。ちなみにナギサみたいに前髪は無い。田舎に床屋など無かった。
ゾーイもお嬢様系のふわふわヘアで斜めに垂れた前髪を可愛らしいピンで止めている。トンボも綺麗な髪を無造作にひとつに纏めて縛っていた。
考え事をしていると話が纏まったようだ。これからルートの確認となる。
制服の腰にはそれぞれベルトに小さな皮のポシェットがぶら下げられており、そこに杖を入れている。
「ちゃんと杖持ったな?」
「はーい!」とポシェットを確認しながら地図片手に森の中へと入る。
「ねぇねぇ、私ちょっと緊張してきた。」
「俺も。」
「ナギサは緊張してるように見えないよ。」
「しっ!ちょっと静かに。」
ゾーイが言った後ガサガサと何かが走り去る音が聞こえた。
「どう?トンボ。この道大丈夫そ?」
先頭はトンボ。風魔法で周囲の敵を認知しながらの探索である。その後ろを私、ゾーイ、ナギサと続く。
トンボは右手の親指と人差し指で丸を作りこくんと頷くとすいすい歩いていく。
こうして魔獣に出会うことなく探索は無事終わり、明日の実践に備えることとなった。