お泊まり会
更新が遅くなってしまいました。すみません。お読み下さりありがとうございます。
パンッとを叩く音で空気がまた動き出す。
「さて皆様、一度殿下の待機室へと移動いたしましょう。平民科の方々はそうですね、バルフォン先生に後で伝えておきましょう。さぁ、行きましょうか。」
シエンがサッと先に立ち誘導するとプラムそしてレオナルド殿下、と続きみんながぞろぞろと貴族科の馬車を使う為の道へと進む。
「ほぇー、こうなってんのな。」
バシッ「静かに歩きなさい。」
物珍しそうなナギサだがゾーイはさすが商家の娘、慣れている。
「…大丈夫なのかしら…」
「ゾーイちゃん、大丈夫だよ、殿下の影なんて地獄まで追いかけて行っちゃうからね」とミロルが後ろから囁く。
「そうだね、まぁ一瞬じゃないかなぁ…」
「ルネ様…それなら安心しても大丈夫なのでしょうね、でも心配ですわ。何かしそうで。」
「確かに、カイリなら何かしでかしそうだな。」
「アーク兄さんまで!まぁ、ちょっとしそうだよねぇ。トンボ大丈夫かな。なんか苦労しそうだよね。」
「まぁ、カイリの無茶は今に始まった事じゃないしなぁ。ちょっと猪突猛進だよな。」
「ナギサ、あなたもですわよ。」
-------カイリside
「っくしゅーん!う、き、気持ち悪い…なんか吐きそう…」
頭がグラグラして倒れてるようだけど船酔いみたいにまだ地面が動いている。
埃っぽい板の床に寝かされて流石に寒さとほこりっぽさで目が覚めた。
目覚め最悪だよ。
何が起こったのか思い出すまで数秒かかったのだが、倒れる前の出来事を思い出して流石に血の気が引いた。
「やばい。絶対心配してる。最悪、私が足引っ張って…ん?もしかして今私囮になってるんじゃ!?」
ガチャ
薄暗い空間に光が差し込む。
無数のまう埃の向こうに2人の影が見えた。
「だれ?」
声はかすれて頭もグラグラ、絶好調とはいかないけど出来るだけ何か情報を聞き出さないと…
「ふん、こんなやつどこが良いのかしら。さっさと辞めてしまえば良かったのよ。」
この声は…
「ローズ様?」
嘘でしょ、こんな事してローズ様何してんの。
「誰が口を聞いて良いと言ったのだ。だから平民など低能な奴は貴族科に足を踏み入れてはならぬのだ。身の程知らずが。」
もう一人の大きい影がそう言った。
誰だか分からない。以前襲われそうになった人なのかもよく分からない。
「ほんとに大丈夫なんでしょうね。」
「あぁ、もう既に裏に来ている。アイツらに渡して処分してもらう。」
「ふんっ、いい気味だわ。冷たい海の底で後悔すれば良いわ!」
あははははっと甘ったるい声と匂いに埃臭さが重なって本当に倒れそう。
「貴方達、こんな事して大丈夫だと思ってるの?」
「はっ、お前みたいな平民など1人減ったとこで痛くも痒くも無いんだよ。まぁ殿下は困るだろうな。生徒会役員補佐が消えたんだからな。」
これで第1王子殿下が次期国王に選ばれる地盤は固まったと男の方が話しているけどそんなぽろぽろ重大な秘密を私に言っていいのだろうか。心配になってきた。
「大丈夫ですわ。国王様に叱責され落ち込まれた殿下は私が慰めて差し上げるのよ〜。ま、本当は第一王子殿下と仲良くしたかったけれど、レオナルド様のお顔には変えられないわよねぇ。うふふ。」
この人も大丈夫なのかしら。いや、ダメよねきっと。
もうここまで話したなら大丈夫よね。私もう気持ち悪すぎて頭も痛くなってきたよ。
ドカーンッ
目を閉じてしまおうかという時屋根が吹き飛んだ。
そう、屋根である。
今の轟音と爆風で一気に目が覚めた私はグリンと目を大きく開いて空を見上げたらそこに大きな月とその月をバックに人が飛んでいた。
その人は私を指さすとクルッと右の手の平を上に向け詠唱を唱えた。
「っ!」
気持ち悪くて声が出せない私はまだ地面が揺れてる感覚が残る中、今度は宙に浮いた。
そのまま上へ上へと持ち上げられもう1人の男性に抱き抱えられた。
「もう大丈夫だよ。」
その可愛い声は聞いた事あるなぁ。誰だっけ…
そこで私は気を失った。
-------
「え、もう掴まったのですの!?」ゾーイは驚いて立ち上がる。
ここはレオナルド殿下の部屋のひとつである。
先程王城に到着した皆は部屋に案内され居心地の良すぎるソファに座りお茶が置かれたテーブルを前に誰も話すことなく知らせを待っていた。
長いような、いや、やっぱり短い時間だった。
まだ紅茶の湯気がもうもうと立っている。
「あぁ、主犯格の手下の男性と連れの女性、2人とも捕獲した。カイリも無事だそうだ。」
「怪我はありませんか?」
「ルーク、今の所心配は無いと聞いているが気を失っているそうだ。今医務室で医師に確認を取ってもらっている。」
「そ、う、ですか。良かった。」
「ほんと良かったー。やばい、緊張してきた。」
見てゾーイ、今更手が震えてきたと言って笑うナギサの顔は上手く笑えてなくて、それを見たゾーイは泣いてしまった。
「あっ、ゾーイごめん。」
「別に何もありませんわ。」
「ほらほら、ゾーイちゃん、これ使って」とさりげなく自分のハンカチを差し出すミロルをじろりとシエンが見ている。
「ほんと、ミロルってブレないね「な」」と双子がハモる。
「向こうも焦っていたのでしょう。無事捕獲出来て良かったです。しかと追求しなくてはいけませんね殿下。」
キラリと光る眼鏡から見える眼光は鋭く、怒りのオーラは収まりきっていない。
「シエン、そろそろ冷気を抑えろ。紅茶が冷えるぞ。」
「申し訳ありません」と少し萎れるシエンもなかなか可愛かったりする。誰も口に出さないが。
少し肌寒かった室内もまたルークの魔法で温かさを取り戻した。
「ルーク君すまないね。」
「いえ、こんなの何も」と言うと顔を下に向けた。
「今夜はカイリもこちらで保護する。君たちも今夜はこっちで寝るといい。トンボ。」
「は。」
どこから来たのか、トンボがいつの間にかレオナルドの後ろに膝まづいていた。
「みんなを案内してやってくれ。」
「じゃ、みんな行こっか。着いてきてね。」
そうして王城でのお泊まり会は和やかに?過ぎていった。




