お花を詰みに…
お読み下さりありがとうございます!
「なんだか今日はカフェの利用者が多いね。」
皆で放課後カフェへと向かうと入口に生徒の列が出来ている。
「あれだろ、試験終わりの打ち上げ的な…」
「なるほど。」
「席は空いてるのかしら。早く来たのにもうこんなに居るのね。想定外だわ。」
とりあえず列の最後に並んでみる。
すると「カイリ殿」と、横から声がした。
「うあっ、はいっ。あ、プラム様。」
「あちらのテラスに席を用意致した。こちらへお越し頂けるだろうか。」
平民科のカフェは建物の南側に面しており、外の光を取り入れた大きな窓が幾つも壁に連なって備え付けられている。その一部分から外へ出られるようになっておりそこにはテラス席が数席ある。晴れの日は大きなパラソルが席ごとに開いて白いテーブルと椅子に座ると風も心地よくこの時期は人気の席なのだ。
私もテラス席は座ったことないな。
そうしてテラスの方へ目をやるとガラス越しの少し離れた場所からテラスの方を見る学生が沢山いた。
そしてテラスには光り輝くメンバー達が全員集合していた。
「外は護衛が難しいと進言したのだがレオナルド様は1度テラスでお茶を楽しみたいと仰ってだな…」
なるほど、それでテラス席が貸切になってるのね。
「あれほど来るなと申したのに他のみんなも行きたい行きたいと駄々をこねるのでな…」
なるほど。
私以外のチームメンバーもポカン顔である。
「あ、ルークじゃね?」
お、ほんとだ!
「ほんとだ。」
悠然と端の席に座っているのはルーク君じゃないか!
「あれ1組の…ルークか?」
「なんで平凡なあいつがあそこに居るんだ。」
「くすくす、1人だけ浮いてない?」
「あそこだけ地味なんだけどー笑」
聞こえてるよ、君たち!
私は声のした方をキッと睨む。
「地味じゃないし…」ボソッと呟く。
「だな、あいつ良い奴だし」とポンポン頭を叩いて気にすんなって言うナギサもなかなかのイケメンだよ。
そしてぞろぞろと列の横をプラム、ゾーイ、トンボの順に歩いている後ろを着いて行った。
「やぁ君たち。テストはどうだったかな。」
シエン様、ナギサには聞かないであげてください…
「ふ、普段通りの力が出せたと思いますわ。」
よし、ゾーイナイスフォロー!
「実は今日は少し込み入った話をしようと思ってな。まずは座ってくれ。」
レオナルド様の号令により3人同じタイミングでさっと席に着く。
すると何処から現れたのか、執事さん?のような方がトレイにティーセットを載せてやって来ては音も立てずに私たちの前へと置いていく。
テーブルには既に彩り豊かなプチケーキやクッキー、フルーツが芸術品のように並んでいる。
「おぉ…」
「おいしそ…」
男性陣の口から漏れ出るとおりとても美味しそうで先程入れてくれた紅茶が食欲をそそる。
そしてレオナルド様が一口飲むとみんなおもむろに一口、二口飲み始めた。
喉を湿してから一先ずお互いの自己紹介を始めた。書記のミロルはゾーイにウィンクするし双子のアークとルネにナギサも興味津々のようだ。
「さて、もうすぐ貴族科で学園祭があるのはご存知ですか?」とシエンが私以外の三人に聞いている。
「話だけは…」と三人とも頷いている。
「ふむ。貴族科と平民科はほぼお互い干渉しないまま卒業まで行くのだから仕方がないか。この度平民科のカイリが生徒会役員補佐として働いているのは?」とレオナルド様が続いて質問する。
その後みんなの話をぽけーっと聞きつつルーク見てる。
今日もルーク君かっこいいなぁ。少し眉間に皺よってるけど。どうしてだろ。
あぁ、なんだか明るい外でルーク君の姿見るの久しぶりかも。夜が多いから。
茶色の髪がサラサラと風にそよいでいる。
良いな…何処が地味で平凡なんだろ。凄く綺麗な髪の毛にきめ細やかな肌は少し日に焼けている。薄めの目も太陽を浴びると神秘的に見えるし鼻だって高くもなく低くもなく。うん、かっこいい。
私なんてずーっと村でブスだのガリガリだの言われ続けたし慣れたけど良い気はしない。こっちに出てきてからは平民と罵られる方が増えたけど…
ルーク君も良く言われたりするのかな。それは絶対嫌だ。
「---リ!」
「---イリ!」
「カイリ!」
あれ?ルーク君がこっち見たー!か、かっこいい〜!!やだやだ、目逸らしちゃ駄目だよね?
「おーい、カイリ!」
「痛っ!」
ナギサの顔が目の前ドアップに映ると頭をちょんとトンボにチョップされた。
「へ!?」
みんなの視線が私に集まってる!?なんで!?
「わ、私ちょっとお花をつみに行ってきます!」そう言うと赤くなった頬を両手で隠してテラスから退散した。
「は?お花?詰み?なんで?」
ドビュシッ!
「痛っ!トンボ何すんだー!」
ゴニョニョとトンボにトイレに行くことだ!ナギサのバカ!と教えて貰っている。
「カイリ…そんな事があったなんて…」
「なんも言わねーんだもん。あいつ、そんなに気にしてたのかなぁ…」
「…」トンボも頷く。
実は今カイリの襲撃事件についてやんわり話していたのだ。当の本人は全く聞いていなかったのだが…
それで調査の結果怪しい人物が数人上がったらしくてその報告と注意を促すために来たみたい、と後で聞いた。近しい友人にも周知した方が安全と判断したそうだ。
それでゾーイがカイリに「大丈夫ですの?」と声を掛けたのに返事が無いので皆はもしかしてその時のことを思い出してボーッとしてるのかと思ったそうだ。
「ほんっとうに心配しましたのよ!」とツンデレゾーイが後に教えてくれた。




