ルークと生徒会役員のエンカウンター
お読み下さりありがとうございます。
「へ?」
「やぁ!カイリ君!心配しましたよ?大丈夫ですか?この度はこうしてお見舞いに来るのに時間がかかってしまい申し訳ありませんでした」とノンブレスで言うのは副会長のシエン様。
「ん?」
「カイリちゃん、カイリちゃん。大丈夫?」と私の目の前で綺麗な手をぶんぶん振っているのは間違いようのない…
「ミロル様?」
「僕達もいるよ、本当にアイツらただじゃおかないから、それに関しては安心してね?」と穏やかな顔して穏やかでは無い事を可愛い声で吐くルネ様、その横には兄のアークがニコニコしてこちらを見ている。でも目が笑ってない。
「ここ、平民棟ですよね?」
そう、ここは平民棟。カイリが学ぶ1年1組の教室だ。放課後とは言えまだ周りにチラホラ残ってる子達もいてみんなこっちを息を呑んで見ている。その最たる原因はこの方だろう。
「カイリ、この度は本当に済まなかった。」
「レオナルド様!あの、大丈夫です!あれはだってレオナルド様とは…え?犯人をご存知なのですか?」
「いや、それは違うぞカイリ殿。だが、貴族科は様々な思惑が渦巻いておってな。もうそれはどす黒くてだな…」
「プラムさん、ここではこれ以上はダメですよ」とすかさずシエンが口を挟む。
「実はこちらの空き教室を借りたんだ。急で済まないが話を聞いてくれるかな。」
「もちろんです。レオナルド様。」
その時「第2王子殿下」と言う声が聞こえ、振り向くとそこにはルーク君が頭を垂れてレオナルド様に向き合っていた。
「君は確か…」
「はい。お初にお目にかかります。ルークに御座います。」
「あぁ、話は聞いているよ。君も来てくれたまえ。」
そうして生徒会役員と私、ルークという濃いメンバーで空き教室へ移動する。
「さて、この度は本当に申し訳無かった。あんなに早く行動に移すとは…考えが足りなかった。みんな、座ってくれ。」
みんなが思い思いの席に座る。
シエンが続ける。
「この度の事件は当日夜にレオナルド様まで報告が上がりました。その翌日生徒会役員全員と話し合いが行われました。」
「今後のこととかね。学園祭があるから」とミロルが言うとアークも「今その噂が流れるのは流石に宜しくないという事だ」と続ける。
「だが。カイリに無体な真似をした奴は必ず探し出し、学校の法則に従って然るべき処分をする。必ず、だ。」約束しよう、と机に手を組んでレオナルド様がこちらを見る。
眩しい。
私は頷くことしか出来ないのでこくんと頷いた。
「ルーク君、バルフォン先生から聞いたが君は顔を覚えてるんだよね?」シエンのメガネがきらりと光る。
「はい。しかと見ました。」
「ではプラム、持ってきてくれ。」
プラムは少し大きめの冊子をシエンに手渡す。
「こちらに疑わしい生徒の写真を用意しました。見てくれますか?」そういってルークに差し出す。
「カイリは見なくて良いからな」とこちらを一瞥するとそっと冊子を手にしてパラパラめくり出した。
「…コイツと…コイツですね。」
指さしながら間違いありませんとレオナルドを見る。
みんな何も言わないが空気が一瞬にして重たくなった。
「そうか。協力感謝する。」
「どうなさるおつもりでしょうか。」
「処分は停学になるだろう。」
ギュッとルーク君の眉間のシワが深くなる。
「不満かい?」とミロルが言う。
「いえ…」
「ルーク君、貴方は貴族について理解があるという認識なんですがあっていますか?」シエンがビックリするようなことを言う。
ルーク君貴族について理解がある?
どんな?
「はい。」
シエンはコクンと頷くと「なら分かると思いますが、一度醜聞が付いた貴族の末路がどのようなものになるか。ここはいわゆる貴族社会の小さな小さな縮図でございますね。ここでの傷は瞬く間に社交界に広がりましょう」と最後は冷笑して言い切った。
なるほど…もう将来お先真っ暗になっちゃうのか。
「でもさ、こいつらって雑魚だよねぇ?兄さん?」
「そうだな、どっちも男爵三男に子爵の四男か。パッとしない。」
「裏で操ってる奴がいるという事ですね?」ルーク君がシエンに目を向ける。
「そういう事になりますね。そこでカイリ君とルーク君。少しこちらの事情を説明しようと思います。宜しいでしょうか。」
そう言うと第1王子派閥と第2王子派閥について簡単に説明を受けた。
「なるほど。その…ルーク君が見た人達は第1王子派閥の方々でしょうか。」
レオナルド様が頷く。
「誰でしょうかね。」
唯一敵意むき出しで嫌味を面と向かって言って来たのはローズマリーさんだけど…あの人が操る側とか、あるんだろうか。
「もしかするとまた何か仕掛けてくるかもしれない。申し訳ないが私の影2人を付けさせてもらっている。もはやカイリだけの問題では無いからね。」
影?首を傾げるとルーク君が教えてくれた。
「影の見張り番の事だ。」
おぉ…流石王子様だ。
「ルーク君も少し気を付けて見ていてくださいますか。」
その後1時間ほど話し合い、どうしても捕まらなかった場合学園祭の日に囮になる話までになった。
-------帰り道
「怖くないのか。別に断っても良かったのに。」
「いやぁ、怖いけど捕まらない方が怖いかな、と。」
まぁ確かにな、とルーク君も納得してくれた。
「出来るだけそばに居るから。」
え!
「う、うん、ありがとう、ルーク君。」
歩く2人の距離はまだ拳3つ分くらいあるだろうか。 でも嬉しい、暖かい。
やっと生徒会役員のキャラの濃さが出てきましたでしょうか!?




