今夜のメニューはなんだろう
お読み下さりありがとうございます!ルークsideもあります。宜しくお願いします。
事件翌日から数日後
「ルーク君!また会ったね。今帰り?」
「あぁ、お前も今帰りか。」
自然と2人並んで寮までの道を歩く。
「ルーク君冬休みはどうするの?実家に帰る?」
「いや、俺は帰らない。」
「そっかぁ!私も帰らないんだ。良かったー。みんな帰っちゃうからちょっと寂しかったりしたんだ。」
「そうか。」
「また冬休みも図書室通う?私も通おうかな。」
「そうだな。」
「もし良かったら新年お祝い一緒にしない?」
実は初めてひとりで新年を迎えることになってちょっと寂しかったのだ。
「あー、いや、その日は予定があるんだ。すまない。」
「そうだったんだね。ごめん。楽しんで来てね。」
気を急いてしまった。ご家族と団欒するのかな?ルーク君実家どこだろう?
「…全くもって行きたくない。」
「そうなの?」
ルークは眉間に皺を寄せ、大きく頷いてはぁと深くため息をついた。
「全然行きたくない。むしろここに居たい。」
「そっか…じゃあその後2人でお祝いしよう。1日遅れても問題ないし。私クッキー焼いて待ってるよ。」
「クッキー?カイリはクッキー焼くのか?」
「!?!?か、?え、ちょっと。」
今私の名前を呼んでくれたと物凄く感動してるとルーク君がどうした?という顔でこちらを見てくる。
「うん、焼くよ。うちは貧乏だったからお菓子なんて買えなかったから。だからなんちゃってクッキーたまに作って弟と妹に上げたりしたなぁ。」
今はちゃんとしたのをインディに教えてもらったから大丈夫なはずだよ!と付け足す。
「弟と妹がいるのか。」
「うん、そう。双子のね。かなり歳が離れてるんだけど…」
もしかしたら血が繋がってないかもだけど…
「ルーク君は?兄弟いるの?」
「まぁ、居るな。」
それ以降の説明がなかったから聞いちゃいけないよね?
「クッキー楽しみにしててね」と自らハードルを上げて女子寮の前でお別れした。
「やばい、クッキー練習しないと!インディに頼もう。材料費…て言うか名前呼びぃ〜!」
ブツブツ独り言を呟きながら階段を上る。周りの視線も気にしないまま部屋のドアを開ける。
ギュルギュル…
「お腹空いた…」
ふと思い出すのはルーク君。
きっとあまり仲良くない家族と会うのかな、それは嫌だろうなぁ。
私も家族とは会いたいけど、会いたくないような、そんな気持ちだもの。その前にあの村に帰りたくないし。
「うし!」そっとしておこう。
あれ?何か過ぎったぞ。
「ん?あ!」
そうだ。確か助けて貰った日も私の名前呼んでなかったっけ?そうだったっけ?
そう言えばハグされて手を繋いで…
ぎゃー!と心の中で叫ぶとぶんぶんと頭を振る。
ダメだ、考え始めると今度ルーク君に会った時冷静でいられない。
もう少し冷めてから…冷めることがあるのか?分からないけどとにかく!
「ごっはーん!」
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《ルークside》
寮から戻り自室のドアを開けると机の上に見えるのは家からの手紙。
豪華な便箋だが中身は質素。1枚目は手触りの良い豪華なカード、それと2行ほどの伝言がミミズのような字で走り書かれてあるペラペラの紙。
「なんで俺も参加なんだよ…」
そこには学園祭後夜祭の招待状と共に一度家に来るようにとの伝言が書いてある。
「行きたくない…」
はぁとため息を吐くとベッドへと寝転がる。
見えるのは白い天井。
『クッキー焼いて待ってるよ。』
カイリの言葉が蘇る。
誰かが俺を待っててくれる。そう思うとなんとも胸が苦しくなった。
「カイリ…」
一人部屋で呟くととてつもなく恥ずかしいその名前。
でも…
「俺も楽しみだ。」
いつもなら家のことを考えると何もしたく無くなるのに、楽しみな事があると全然違う。
薄い水色の髪をいつも三つ編みにした少し背の低い綺麗な顔の…カイリを思うと強ばった身体から力がゆっくりと抜ける。
「ご飯食べに行くか」と先程の手紙を無造作に机の引き出しに入れ立ち上がる。
その足取りは少し軽かった。
今夜のメニューはなんだろ。




