1/36
生まれ
生まれも育ちも平凡以下だった。
寝る時は雑魚寝だったし、"ホメる"を"バトウする"と置き換えれば、それは日常茶飯事で。褒められるよりも罵倒されることの方が多かった。
小遣いなんてなくて、むしろ"預かる"名目でお年玉を巻き上げられた。
顔を見るたび"お前を産まなきゃよかった"と、吐き捨てながら男に媚びる醜態を、最前列の特等席で傍観していた。
ただ私たちが活かされていたのは、男とこの女を繋ぎ止める"キズナ"役だったから。
私を見つめながら、
"何を考えているかわからない"と。
教師や同級生が口を揃える。
今思えば、生きていることに精一杯で何も考えられなかったんだと、何処へも言えない屈辱感に苛まれる。