腹太郎

作者：ざるそば

超短いです。お付き合いください。

　むかしむかし、あるところに腹太郎という若者がおりました。腹太郎は自分の名前が嫌いでした。なぜかというと、名前の由来が「腹から産まれたから」というとてもしょうもないものであったからです。

　腹太郎はこの変な名前のせいで色々な人にからかわれたり、悪口を言われたりしてきました。

「なんでそんな理由で名前を決めたんだよ。そんなんならみんな腹から産まれてくるんだからみんな腹太郎じゃねーか。」

　はい。全くもってその通りでございます。しかし、桃から生まれた桃太郎という者もおりまして、文句は受け付けておりません。

　幼い頃から腹太郎は両親にこう言われて育ちました。

「腹太郎や、名前に恥じない立派な大人になるんだよ。」

「うん！…って何がうん！やねん。名前に恥じないってどういうことやねん、腹太郎やぞ。」

　腹太郎はバカにしてきた奴らを見返そうととても頑張りました。そして勉強していくうちに脇から生まれたのに脇太郎ではなかった人物もいると知り、ひねくれてしまいました。中途半端に出世してひねくれてしまった腹太郎は肥満体になり、名前に恥じない立派なお腹を持つことができましたとさ。

めでたしめでたし。

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