サリヘス様の思い
すみません。2年も前に中断してしまっていて。本当の戦争も始まってしまったりで止めていたのですが。
書きかけの物が残っていたので、今更ですが少し続けます。
ようやく終わったらしい。俺も、座り込んで、休んでいると。
ミアンが「私は……覚悟できているのですが、。病院へ運ばれたサリヘス様の事が気になります。サリヘス様は助かったのでしょうか?」まあ、俺も気になるかな。なので「一緒に行ってみるか?」と俺。 嬉しそうにミアンが「はい!」
まあ、捕虜になる覚悟はあるみたいだし、ミアンの捕虜としての収容は後で良いだろう。
病院へ向かおうとした所で叫び声が聞こえて振り向いた「魔王に合わせなさい!」
いつの間にか聖女様が陣地に連れてこられて、ドレイクの部下ともめている。彼女は、すなおに捕虜になる気は無いらしく、なにやら暴れている。
俺を呼んでるみたいだし近づいてみると「来たわね! あなたが私を殺して!」とか無理を言う。
彼女も捕虜になるぐらいなら死ぬという神官たちと同じ……というわけか。でも、なんで俺が殺さないといけないのだ?
そういえば「聖女さんは、あの怪我をしていた人を知っているのか?」と俺。ミアンが俺の横から「サリヘス様も聖女候補でしたから、。」 聖女も「サリヘスは家柄だけで聖女候補になった不信心者よ。私と一緒にしないで欲しいわ。」 でも一時は仲間だった? ならば「彼女の様子を見に病院に行くのだけど、一緒に行かないか? 」と俺。知り合いと話しをすれば落ち着くかもしれない。
聖女は驚いて「何を言ってるの?」俺が「気になるのじゃないか?」と言うと聖女は少し考えてから「そうね。彼女も信徒なら、この魔王の暴虐ぶりを認識すべきだわ。一緒に行って、皆が殺された事を伝えるべきかもしれない。その後、私を殺してくれるなら行くわよ。」とかバカを言ってるくるが「考えとくから、一緒に来てくれ。」と俺。
ドレイクが後ろから「危険ではありませんか?」
俺は「そうだな。兵士を何人か付けてくれるか。」 武器は取り上げているし、あまり危険性は無い気もするが一応、戦場だし。ドレイクの部下3人と、俺とミアンと聖女で病院へ向かう。
病院は歩いて15分ほどだった。
3階建ての小さい病院。回りは廃墟といった感じだが、この建物は意外と無事。病院だから砲撃を避けたのだろうか。ここを管理しているというドレイク提督配下と思われる竜頭の隊長が出迎えてくれた。 中に入ると何人かの傷病兵がベットに寝かされていて、驚いた事に、あの汚れた白衣の医者も治療を手伝っている。白衣は綺麗なものに着替えていたが。
だが、投降した捕虜の中にもけが人がいたから、彼にはそちらに行くべきだろう。そちらの方が必要としているはずだ。隊長に、彼にはそちらに行ってもらうように伝えてみた。
例の怪我をした黒髪の女性は、兵士とは別の3階の部屋にいた。護衛について来てくれた兵士には部屋の外で待っていてもらって、俺たちで中に入る。
部屋にはレムリハがいて、俺が入っていくと「大丈夫よ。弾を取り出して傷をふさいであるわ。危なかったけどね。」 まだ、麻酔かなにかで寝ているようだ。
一緒に来たミアンが「良かった! ほんとうに! ありがとうございます。サリヘス様には、なんとしても助かって欲しかった!私たちにとってはサリヘス様こそ聖女なんです。 」
俺が「良く分からんが、ミアンと彼女はどういう関係なんだ?」 ミアンは「私たちは神殿の孤児院にいたのです。あまり良い扱いは受けていなかったのですが、サリヘス様は、そんな私たちを、いつもかばってくれていました。聖女候補の時からずっと。」 つまり彼女は孤児院を管理する神殿側の人間だった?
俺が「なるほど。そんな人が我々の攻撃で撃たれたのか。すまなかったね。」と言うと、ミアンが「違います」 「へ?」 「サリヘス様を撃ったのは神殿の人間です。」 「誤って……という事?」と俺。 「いいえ。足手まといだからと、神殿長は私たちを処分しようとしたのです。そして、その私たちをかばって、サリヘス様は撃たれました。」 少年院紛いの孤児院とはいえ酷い話だな。
俺がうなずいて「なるほど。それは確かに本当の聖女様だな。助かって良かったよ。」 そう言いながらベッドに目を向けると。いつの間にかベッドの女性が目をさましていた。長い黒髪が、きれいにそろえられて、戦場での印象とはかなり違う。
これは参ったな。かなりの美少女だわ。大きな黒い瞳と小さいけど整った顔立ちがいやでも目に入る。ミアンよりは大人で18才ぐらいの感じだが、十分に少女っぽさもある。この世界で出会った女性の中で一番の美しさかもしれない。
中身が本当に聖女で、見た目が美少女とか盛り過ぎでルール違反じゃないか?
ミアンも彼女が目を覚ましたのに気づいて「サリヘス様! 大丈夫でしょうか?」
美少女は「え、ええ。大丈夫です。それと……、どなたか知りませんが私は聖女ではありませんよ? 候補だった事はありますが、今では異端者とさえ言われています。」
聞いていた? 「俺は別に、その宗教の信徒では無いからね。俺の信じる所において君は……、サリヘス様は、十分に聖女だよ。」
ところが、ついて来た聖女……自称聖女が「なるほど。魔王に聖女と言われるほどサリヘスは堕落しているわけですね。」
う~ん。こいつには本気で殺意がわきそうだよ。
美少女は驚いて「魔王? あなたが?」 ミアンがあわてて「まあ、あれですよ。自分で言ってるだけですし、。この人は神殿が言ってる魔王とは別人じゃないかと。だから、その……」 かばっているのかな? でも、さっきは、俺の事を魔王と断言してたよな。
でも、自称聖女が「いいえ! 騙されてはいけません。この男は、魔王に他ありません。神殿の敬虔な神官の皆さんは、この男の指示で皆殺しにされました! 恐ろしい限りです。 サリヘスが生き残っているのは、異端で、そして堕落していたからです!」
俺は意地悪だから「おまえも生き残ってるじゃないか。堕落したのか?」 聖女もどきはそう言われて「くっ、、。だから殺してと言ってるでしょ!」
驚いた事に美少女は俺たちのやり取りに少し笑って……。そして「……。笑うと傷が痛みますね。 」
ミアンが「この魔王さんは悪い人じゃないみたいです。」 うん。ありがとう。この美少女に嫌われたく無いわな。「彼のおかげでサリヘス様は助かったのですよ。」
サリヘスは「そう……なのですね。神殿長様に殺されかけて魔王……様に救われたわけですか。でしたら、私は確かに堕落した信徒なのでしょう。」そして、俺から目をそらすように下を向いて「……、それでも、私も魔王を否定する神殿の人間なのは事実なのですが。」
俺が「気にしなくて良いぞ」 サリヘスはマジメな顔で「気にするとか、そういうお話しでは無く、神殿はあなたを抹殺する事を教義にしているのですよ?」
自称聖女が思い出したように「そうよ! 私は、。私たちは魔王を殺すべきなのよ。 もしかしたら、今がチャンスじゃないかしら! サリヘス!手伝って! 今、ここで、この魔王を殺すのよ! 二人でやれば出来るわ! 」
そう言いながら俺に飛び掛かってきた。今更過ぎると思うが。おかげで、俺はサリヘスが寝ているベッドに押し倒された。そして、俺を抑えながら自称聖女が「ほら!サリヘスが、この魔王の首を絞めて殺すのよ!」 え? 殺されるの? そう思いながら、倒れこんだ俺を覗き込んでいるサリヘスを見たが。近くで見るとなおさら「サリヘス様はとってもきれいですよね。」と俺。
そう言われてサリヘスは「そ、そうかしら。あまり、そんな風に言われた事は無いのだけど。私はむしろ黒髪が魔人みたいって……」と少し赤くなってるような。そういや、この世界で出会った黒髪は俺と、このサリヘスぐらい。聖女もどきが「何を言ってるの! ほら! その魔王の首を! 」 サリヘスは少し考えてから、おそろおそる俺の首に細い手をかけた……。白く細い綺麗な手。だが手の甲にある傷が、ここが戦場である事を思い出させる。その手が俺の首を包み込む。
俺、殺される? もしかして抵抗した方が良い……? サリヘスは思い詰めたような表情だが、その手には、あまり力が加わっていない。
だが、さすがに、この状況にレムリハが近づいてきて「何をやってるのかしら!」
俺が「俺は魔王だから、きれいな聖女様に殺されるらしい」と状況を説明してみる。「何、バカ言ってるの!」と返しながら、レムリハは、俺を抑えている自称聖女……聖女もどき(?)の首筋に手をあてる。レムリハが手を当てただけで聖女もどきはがっくりと崩れ落ちた。「大丈夫、眠らせただけ。」とレムリハ。初級の教本にあったかもしれない魔術だ。練習すれば俺にも出来るだろうか。
あれ? でもあれは魔人族の教本? レムリハが使うのは狐の妖術じゃ?
抑える人間がいなくなっても、俺がサリヘスのベッドに倒れこんでいると、「ほら! あんたは、さっさと起きなさい!」とレムリハに蹴られた。けっこう容赦ない勢いで思いっきり蹴られた。おかげで床に転がる。いや、かなり痛いのですけど……。まあ、元気でなによりです。
サリヘスがまた少し笑って「良く分からないのですが、その狐さんは魔王……様とはどういった、ご関係なのでしょう?」
確かに仮にも魔王様を容赦なく蹴るというのは、。
俺が「え~と、嫁……。」 俺の言葉に驚いたサリヘスが 「狐さんが奥様?」
そして不思議そうなサリヘス。だが「そ、それはもしかして……。」そして、何か納得したように「そういう事かもしれませんね。でも、それでしたら、その奥様の前で私の容姿をほめるのは、どうかと思います。」とサリヘス。 レムリハが「気を使わなくても大丈夫よ。こんなでも一応、魔人なんだし、あなた方とは違う世界の人間よ。」 そうなのか? 残念!
サリヘスが微妙な表情で「そ、そうですね。……。」
レムリハはちょっと怪しむように「変な事は考えない方がいいわよ。」 俺に向かって「あんたもよ!」と言って再度、蹴る。
う~ん。完全に嫁モードになってるぞ。
そしてサリヘスに向かって「なんなら、あなたに魔王の恐ろしさを教えてあげましょうか?」とレムリハ。 サリヘスが「えっ? あ、。いえ、魔王様の恐ろしさなら私たちは神殿で十分に……。」
「魔人の能力は知ってるの?」
「恐ろしい殺人鬼で、傲慢で強欲で、女性を……。」
レムリハは笑って「違うわ。殺人鬼でも、女性の敵でも無い。魔人は、でも、それよりも、ずっと恐ろしい者よ。神殿では本当の恐ろしさは教えていない。そう聞いてるわ。」
そう言いながらレムリハが俺の手を取って、気絶している聖女もどきの首に置く。
レムリハが「この人が、一番、イヤがる事って何かしら?」とサリヘスに尋ねる。
「さあ、何でしょう。……、今だと魔王様に屈服する事……でしょうか。彼女にとっては敬虔な聖女である事が全てで、それ以外にはありませんでしたから。」とサリヘス。少し憐れむようでもある。
良く分からないが、興味深いので俺はレムリハにされるがままにしていたが、。レムリハの手の魔術器官が光り、呼応して俺の魔術器官が動き出した。
レムリハが「屈服、ねぇ。意識を保ったまま、魔王様の靴でも嘗めさせてみる? なんでもやらせる事が出来るのよ。魔人の魔力なら。」
サリヘスも「止めてください!」
いや、確かに、それはちょっとかわいそう。慌てて俺はレムリハの手を振りほどいたが。
レムリハは俺に向かって「あんたも一度、経験すべきよ。自分の体が何なのか認識すべきだわ。ここにいる旧人たちと違うという事をね。」
俺が「いや、でも、そういうのは、ちょっと。」
レムリハは「この人なら、それも良いのじゃない?」 まあ、そうかもしれないが、。
俺の言葉にサリヘスが何を思ったか「良く分かりませんが、。それでしたら、私でお試しください。」
ミアンが後ろから「いいえ!そういうのは私の役目じゃないでしょうか? 私は、どのみち、魔王様の……。」
サリヘスがでも、起き上がって俺とレムリハの手を取って「お願いします。」
え、いや。何を、どうすれば良いの?
レムリハは「わかった。いいわよ。あなたで試してあげる。」そして俺に「あんたは、この子に何をさせたい? なんでも良いわよ。」
そう言ってレムリハは試すように俺を見る。この美少女に好きに何かさせるって……。
俺は「そうだな。もしサリヘス様が神殿の教義を捨てて魔王を敵としないでくれるなら、とても嬉しいのだけど。」
レムリハは妙な顔をしながら「無理ね。」
「なんでも良いって言ったじゃないか?」と俺。
「一定時間、体を操れるだけよ。」とレムリハ。魔王様、使えないなぁ。
サリヘスはでも神妙な顔で「それなら、私の体を操って、魔王様に……、。キスさせれば良いと思います。私の家では、それは絶対的な服従の儀式です。たとえ操られていたとしても、それで、もう、私は魔王様を裏切る事は出来ません。」
うわ~。いいのか? だが、レムリハが「ん? なんだか妙な事を言うのね。それが、もし、本当だとしたら、そんな重大な事を敵に言ったりするかしら? 」
サリヘスは少し目を伏せて「私を助けてくれたのが魔王様だとしたら、。それで。」
そして目を上げて「魔王様がイヤで無ければ……ですが。」
ここは答えが難しい。もちろん、ぜんぜんイヤじゃない。というか、こんなおいしい展開は、この世界に来て初めてだ! だが、実際に操るのはレムリハなのだろう。レムリハがいやがらない答えをしないと、おいしい展開へ進めない。ここは微妙なルート選択という事だ!
なので俺は「なるほど。それが運命という事だろうね。ならば、かわいそうだがサリヘス様も俺も、それを受け入れるしか無い」とか言ってみる。レムリハはやっぱり怪訝な顔していたが「まあ、いいわ。やってみるから、手を出して。」
レムリハが俺の手を取りサリヘスへ向ける。「魔王様の位階なら直接、触れなくても大丈夫なのよ。」 俺の手の甲の魔力器官が光り、そして、サリヘス様の目が微妙に曖昧になっていく。
そのまま、サリヘス様が自ら俺に顔を近づけ……。ほんと美少女だし、完全に役得だ!
だが、近づいたところでレムリハが「やっぱり、ダメ! これはイヤ!」 そういってレムリハが俺の手を離すとサリヘス様の目が定まった。たぶん術が解けた?
まあ、こんなのをレムリハが認めるわけないよな。
中止と思ったので俺も離れようとしたが。 サリヘスの手が俺を抱くように回されて、、、そして、そのまま唇を重ねた。どういう事?
レムリハは目を見開いて、そして不思議そうに「おかしいわね。止めたと思ったのだけど……」 サリヘスは「さすが魔王様です。私は逆らえませんでした! とても恐ろしいです!」
レムリハは怪訝な顔で「途中で止めたのに効果が残っていた? そんな事ってあるのかしら? あんたは、まだ自分では出来ないわよね? 」
後ろで見ていたミアンが「あー、なんて、事でしょう!? 私たちの聖女様が魔王とキスするなんて!」 微妙にわざとらしい。
サリヘスが「これも運命です。これで私は魔王様の物……になりました。この上は……。」そこまで言ってから、レムリハがかなり厳しい目で見ているのに気が付いて言葉を止めた。
レムリハが何か言いかけた時に後ろからミアンが、突然「ごめんなさい!急にトイレに行きたくなってしまって。竜人さんたちが怖いので、きつねさん、一緒について来てくれませんか?」
レムリハは顔をしかめて「私? トイレなら、そこを出てまっすぐいけば良いだけよ。竜人って言ったって、こんな建物の中じゃ火を吐いたりしないわ。」
ミアンはでも「だめ、。無理です。お願いします! 漏れちゃいます! あー、もう、無理!!! 女性用のトイレだから男の人じゃダメです!」
レムリハはイヤそうだったが「しょうがないわね。」
そう言って二人で部屋を出て行く。
どういう展開だろう。聖女もどきは目を覚まさないし、部屋で二人だけになってしまった。
サリヘス様が「ミアンは頭が良くて、、。たぶん、私に機会をくれたのでしょ。」
どういう機会? とりあえず、レムリハがいない所で確認しておかないと。
なので、俺が「さっきのキスは君の意志……で良いのかな?」
「……。はい。」
何やら考えがあるみたいだが。それはつまり
「服従の儀式・・というのも怪しいものだが……。」
そもそもキスだけで、そんな服従関係とかありえない。
「ごめんなさい。」
「でもなんで?」と俺。
サリヘスは真剣な表情で「あなたを浄化し救うためです! 私を美しいと言い、聖女と呼んで頂けるなら……。私は魔王を浄化できるかもしれません。そうすれば戦争は終わり平和が訪れる……。そう願っています。」
なんだか怪しい言い方だな「浄化って、、。俺は汚れている?」 まあ、そうかもしれないが。
「あなたは、あの魔物に操られているのでしょう? 先ほどの魔術もそうでしたよね? あの魔物があなたを操っていた!」
あの時はそうだったけど
サリヘス「ですから、あの魔物から解放される事で、あなたは浄化されます。」
「魔物?」 まさかと思ったが。「あのキツネの魔物です。あなたは魔人だとしても、あのキツネは……。」とサリヘス。
レムリハが魔物?
見た目が近いから俺を同類と認識できたとしても、尻尾や耳のあるレムリハは無理……と言う事かな。
俺が「別に操られているわけじゃないよ。それにレムリハはやさしくて良い人間だ。」
サリヘスが「今のあなたには、そう見えるのでしょう。ですが、明らかに人間では無く狐です!。そして、あなたを乱暴に扱っている悪い魔物です。」
確かに狐だし、俺は蹴られたけど、。でも、。
サリヘスは続けて「どうして、あなたは、あの狐さんと結婚したのでしょう?」
俺が「同じ種族……だから……らしいが。」 説明が難しい。
「何を言ってるのですか? 種族は違うのでは?」意外に分かってる? この世界の常識かな。
サリヘスは続けて「魔人族が少ないという話は聞いています。だから、と言って…… 」
どう答えれば良いのか分からなくて俺が黙っていると……。
サリヘスが急に起き上がって「ごめんなさい。寝ている間に髪がからまって。頭の後ろの髪留めが外れなくなってしまって。外すのを手伝ってもらえませんか?」
いきなり何を言ってるのか分からんが、近づいてサリヘスの頭の後ろに手を……。その瞬間にサリヘスが俺に抱き着いてきた。重症のけが人と思えない強い力で俺に抱き着く。
ほぼ同時にドアが開いて、ドアの外にはレムリハが!
つまり、ドアを開けたレムリハの目には、俺とサリヘスが抱き合ってる姿!?
サリヘスが俺に抱き着いたまま、小さい声で「これで、私は、あの狐から酷い仕打ちを受けるでしょう。殺されるのかもしれません。」 そうなのか? サリヘスは続けて「でも、それで、あなたは、あの魔物の正体に気づいて目を覚ましてくれる……はずです。」
その言葉が終わると同時に、サリヘスは痛みに顔を歪めてベッドに倒れこんだ。ひどい傷を負っているのに無理しすぎだ! なぜ、そこまでして?
レムリハは、そういう俺たちを見て顔しかめ、。そして、あいかわらず少し足をひきづりながら、サリヘスのベッドに近寄った。
レムリハの手の魔法器官が怪しく光り始める。
サリヘスは覚悟を決めたという表情で少し笑うように俺を見つめる。自分がレムリハに八つ裂きにされる所を見ていろ……とでも言いたげに。




