楽しい楽しいお肉狩りの時間です2
ブラック企業の元社員が冒険者になりました。
ファンタジー冒険者ものです。
ワインの空き瓶とヤカン装備の映像が浮かんで、それだけで書き始めました。それ以外は何も考えていません。ですのでノンビリ更新です。
誤字脱字はノリで読んでください。
ノークレームでお願いします。
pixivにても連載中。
コッコ討伐の翌日、ほんの少しの疲れを滲ませた弘毅が冒険者ギルドに姿を現した。
流石にヒロキでもあの数のコッコ討伐したら疲れるよな~と冒険者達は見守っていた。
「おはようございますヒロキ様。昨日はありがとうございました。お疲れのご様子ですが、ゆっくり休まれましたか?」
「ああしっかり休んだ。あの後にじい様と唐揚げの取り合いしたほうが疲れたな。」
「まあ。」
ふふふと和やかに笑う二人。
じい様のせいか・・じい様唐揚げどんだけ好きなんだよ・・近場にいた冒険者達の心の声が一つになった。
「昨日行けなかったオークに今日は行ってくる。」
「よろしくお願いいたします。どうぞお気をつけて。」
頷き弘毅は冒険者ギルドをあとにする。
先に受注した依頼は納期が無く急ぎでなければ、いつ行くなどの報告は必要ないのだが、昨日受注してそのままだしなあ・・と念のために報告に寄った。そんなところもギルド側からしたら好感度が高い。
アウローラそこ代われ!!といいたい適齢期・婚活に必死な受付嬢達。そんな彼女らに入れあげて、気を引きたい冒険者達。今日も冒険者ギルドは平和だ。
騎竜と目的地の森に到達した弘毅。
「なんだか不穏な感じだな。」
騎竜はそんな空気を気にも止めずくるると喉を鳴らし自分から降りた弘毅に頭を擦り寄せる。
弘毅の視線の先には扉を破壊された馬車。
騎竜の頭を軽く撫でてやり、その場での待機と万が一は身を守るか逃げるように言い聞かせる。
馬車に近づくと血の臭いがする。
御者は先に逃げたのか御者台付近には血痕はなく、馬車の中には血塗れの男性。
首筋に手を当て脈を確認、弱くはあるが動いている。
「おい」
声をかけるとピクリと反応があり、薄く目蓋があく。だが声を出す体力も目蓋を開け続ける事も出来ないのか、反応はそれだけだ。
アイテムボックスから目当ての薬、じい様から貰った中級回復薬を男の口に含ませる。
じわりと男の傷が癒えはじめた。
「!?」
はっ!!としたように男が体を起こす。
「何があった?」
水を差しだし問いかける。
「助けてくれ!!相棒がオークに連れ去られた!!」
男の話に寄ると彼らは商人で少数の護衛を雇い別の町から移動していた。この森の手前で巨大なオークの襲撃にあい、護衛がオークを引き付けて戦う間に商人達が馬車を走らせ逃げた。しかしこの付近に来た段階で再びオークに襲われ、自身は重症を負い幼なじみの相棒がオークに連れ去られたという。
「俺の騎竜の側にいろ。低級や中級程度の魔物や生き物は寄って来ないはずだ。
ぐるる、万が一はこの人を連れてじい様のところへ逃げろ。」
騎竜はわかったというように小さく鳴く。
弘毅は森に足を踏み入れた。
普段なら鳥などの生き物の気配がある森が静まりかえっている。オークの歩いた跡はすぐにわかった。獣道を通らず、草木をなぎ倒して真っ直ぐに森の奥の泉付近に向かっているようだ。
周囲の気配を探りながら最速で弘毅は移動し、泉が見える場所に到着し、人の気配に弘毅は身をかくして様子を伺う。
「いやよ!!」
人の声。
鳥や猪などを貢ぎ物のように目の前に並べられた場所に人がいる。美しく着飾った・・だがあれは女性だろうか?な人がオークから顔を背け、オークは懇願するように這いつくばっている。(土下座か?)
並べられた物には花なども並んでいる。
「ナ・・ゼダ・・オレハ・・ツヨ・イ。オマエ・・ソバ・・オトコヨリ・ツヨイ」
オーク喋るのか、って事はキングより進化した個体か。じい様から聞いた覚えが。
喋るのか・・肉に出来ない奴か・・。
弘毅は少しがっかりしている。
通常のオークは進化しても人語を解す事はなく食肉にも適した旨味のある肉だが、遺伝子の悪戯かキングオークより進化すると稀にではあるが人語を解す個体ハイオークが現れる。その個体はオークと群れる事はなく、食生活が変わるのか肉は不味くなる。
研究者の話ではハイオークになった時点でオークとは別の生き物と考えたほうが良いとの事だった。
食えないのか・・その一点で弘毅はがっかりしているが、ハイオークをソロ討伐出来ればA級に問題なく上がれる実積だ。
とりあえず倒しときゃいいよな。
商人の相棒らしき人にハイオークは求愛しているらしいが相棒らしき人は徹底的に拒んでいる。
ジリジリとハイオークに気取られないように弘毅はその背中に近づく。
「諦めろよ?」
拳に全力を込めた一撃がオークの背中に人で言う肝臓の位置に叩き込まれオークは激しすぎる痛みに崩れ落ちる。
弘毅は隙なく身構えたままオークの向こうにいる人に視線を一瞬向け逃げるように促す。
「オオォ!!」
痛みと怒りで叫びながらハイオークはこちらに体ごと視線を向ける。思考は相棒らしい人から離れたようだ。彼女?は自身が戦力にならないことを理解しているのだろう一瞬頭を下げて身を翻し逃げた。
「オマエ・・タオシテ・・クッテ・・ツヨクナル!!」
ハイオークの殺意と食欲がギラギラと弘毅にぶつかるが弘毅は何の恐怖も感じない。感じるのは食えないのか~じい様の知り合いの研究者に渡したら喜ぶかな?である。
だとしたら少ない傷で確保が望ましいと戦いかたを考える。
弘毅はダガーをアイテムボックスから取り出す。
この世界に送り込まれて気が付いたが、弘毅は殆どの武器が装備可能で更には最初に持参したヤカンとワインの空き瓶などの武器ではないものまで装備可能である。
腕を大きく振り回し弘毅に飛びかかるハイオーク。
弘毅はハイオークの右上腕骨隙間をダガーで突き刺す。ハイオークは神経が断ち切られたのか右腕を動かせなくなった。
そのまま弘毅はこめかみに膝蹴りをお見舞いする。
対人なら強打されると平衡感覚が失われ、意識不明になるが流石はハイオーク、丈夫らしくフラフラとするだけだ。平行感覚は失われて居るかもしれない。視線が定まらないが、弘毅を視界に納め呪文を唱える。初級アイスニードルが弘毅に襲いかかるが、難なく全てを叩き落とし、ハイオークの額に激しい蹴りを入れる。脳が揺れたかハイオークはうつ伏せに倒れ、その隙を逃さず頚椎を一瞬でアイテムボックスから取り出した刀で切り裂きハイオークは即死する。
そのままハイオークをアイテムボックスに収納し、周辺を見渡す。商人の相棒らしい人を座らせた場所には鳥や猪、花など以外にも商人の物だろうか布や宝石や武器もある。生物以外は全てアイテムボックスに回収。近くにハイオークの住み処なのだろうか古い小屋の残骸があり其処も確認するとハイオークに因って強奪されたと思わしき宝石や刀剣など多岐に渡るアイテム、そして息を潜めた子供二人と女性。
「マジか・・。」
連れ去られただけなのか身を潜めただけなのか、かなり服は汚れているが高級な仕立てで身分もかなり高そうだ。
「大丈夫か?」
「・・っ」
子供を背に庇い女性はこちらを伺う。
「・・俺はパルファンフレ王国元筆頭宮廷魔導師の孫で俺には何の身分もないが冒険者だ。冒険者ギルドに連れていくとかの助けにはなれると思う。信頼しろとは言わない。だが良かったら少しだけ警戒を解いて付いてきてくれないか?」
「まあ・・タカナシ様のお孫様ですの?」
女性は僅かにだが表情を緩めた。
「祖父を知っているのか?」
「ええ夜会で何度か。まああなたがご自慢のお孫さんでしたのね。失礼致しました、お助けいただいてありがとうございます。私はフラワーポット侯爵家のマリアベルと申します。私の息子ジルと・・私達がお仕えしておりますジークフリード第三王子でございます。ジーク様、命の恩人ヒロキ様にご挨拶を。」
王子は9歳くらいジルは7歳くらいだろうか、確かそのくらいだとじい様に聞いた気がする。あまり興味がないから覚えていない。
「ありがとう。助かった。」
青い顔のまま王子は少し笑った。
アイテムボックスから飴を取り出して子供二人に差し出す。
「食べるといい。少しは落ち着く。」
二人はマリアベルに伺う視線を向け、マリアベルは頷き子供二人は飴を口にしてほにゃりと笑った。じい様の名前は信頼に値するんだな。もしかしたらしばらく飲み物や食事なども取れていないかもと考えた弘毅はとりあえず水のボトルを取り出しカップを三つだして王子、ジル、マリアベルの順番に差し出す。
子供達は嬉しそうに口を付け、マリアベルは申し訳なさそうにだが口を付けると一気に飲み干す。
何か食べ物を・・消化に少しは良さそうな物と思ったが遠出する予定がなかったので昼飯予定のスープ、サンドウィッチしかない。あとは来る途中で見つけたリンゴ。とりあえず食べられそうならとカップにスープを入れてやり自身の昼食とリンゴを差し出すと子供達は嬉しそうに食べ始めた。すでに弘毅に対する警戒は子供達には一切ない。
相当に腹が減っていたのか子供達は笑顔でしかし貪るようにパンを口にしてはっと我に返り恥ずかしそうにする。マナーを思い出したらしい。
「ここは俺達だけで外だ。マナーなど気にするな。」
子供達は安心したように弘毅に笑顔を向ける。
食べやすい様にリンゴを剥き、ちょっと考えてウサギリンゴにすると子供達の目がぱぁっと輝く。
「しかし・・何があったのだ?」
一瞬で子供達の特にジーク王子の顔が曇る。
「王家のトラブルか?なら深くは聞かない方がいいか?」
「申し訳ありません。ただ宜しければ、お爺様に面会させていただく事はかないませんでしょうか?」
「解った。少し歩けるか?」
「問題ございません。ジーク様ジルもう少しの我慢ですよ。」
「はい」「はーい」
騎竜の元まで戻ると商人と相棒が何とか馬車を立て直していた。逃げ出したらしい馬も戻って来ている。
礼をいう商人達に問題はないか告げ、商品をオークに奪われたのか確認する。
該当する商品っぽいものをアイテムボックスから取り出す。
「自分や相棒の命まで助けていただいて、その上商品まで返せとは商人として申せません。
最低限の金品は馬車に隠しておりました。その商品を失ったとて店が立ちいかなくなるという事もありません。どうかそのまま貴方様の物にしていただいて・・」
「貰ってもこっちにもメリットはない、何処に売ればいいかもわからないから買いたたかれるだけだろう。なら商人のあんたに預けるって事で、見返りは何か必要なものが出た時に優遇してくれたら助かるな。」
「よろしいので?」
「ああ、俺はB級冒険者の弘毅だ。」
「パルファンフレ王国元筆頭宮廷魔導師のお孫さんでもいらっしゃいますわ。」
「マリアベル様・・」
「ヒロキ様のご好意で私達はこれよりタカナシ様に面会させていただく事になります。あなた達にも迷惑をかけましたが、もう少しお付き合いをお願いいたします。ヒロキ様この者達も私達の同行者なのです。よりしいでしょうか?」
弘毅は頷く。
が、内心ではちょっと面倒な事になりそうだ・・などと考えてしまっている。
騎竜に自身と乗りたがる子供達を乗せ、馬車にはマリアベルと商人達で弘毅は自宅への道をひた走る。
オークなど生き物の生体設定は彩木楼閣の勝手な設定の為にあれ?なんか違うくない?とか感じても流して読んで下さいね。
この世界の研究者間で諸説ある進化の過程
オーク(雑兵たくさんいる)→ジェネラルオーク(将に該当しオーク100に対して一匹出現する)→キングオーク(100越えると出現しやすい)
オーク→更に稀に出現する魔導師オーク(1000に一匹)この個体からハイオークが出現しているのでは?と考えられている。
弘毅の認識
オーク(美味しい)→キングオーク(めっちゃ美味しい)→→ハイオーク(雑味があり筋張り不味い/食べたことはない)
弘毅「オーク肉食べたかった・・(´・ω・`)」