冒険者ギルドにて
ブラック企業の元社員が冒険者になりました。
ファンタジー冒険者ものです。
ワインの空き瓶とヤカン装備の映像が浮かんで、それだけで書き始めました。それ以外は何も考えていません。ですのでノンビリ更新です。
誤字脱字はノリで読んでください。
ノークレームでお願いします。Pixivでも連載中です。
じい様に送ってもらっての冒険者ギルド。連れ?相棒になった騎竜は大人しく冒険者ギルド脇にある騎獣待合場所で待ってくれている。離れる前に頭を撫でてやるとぐるぐると喉を鳴らした。ちょっと声が怖いが機嫌は良いらしい。
じい様が屈服させたのに俺に懐いたのは飴と鞭みたいなもんか。じい様が鞭。
じい様は先に自宅に戻っていった。今日は前の職場の関係で忙しいらしいのに俺の為になんか悪かったかなーと思う。
気持ちを切り替えてギルドのドアを開ける。
いつも通り熱気が凄い。
一人で入るのは初めてなので少しドキドキするような・・でもないか。
「おう坊ちゃんが一人なのは珍しいな。S級のじい様はどうした?」
顔馴染みの冒険者バルドが声をかけてきた。見た目はめっちゃ柄が悪いし声も怖いが優しい人だ。
「今日から独り立ちだ。たまにはじい様とも一緒に来ると思うのでよろしく頼む。」
「そうか~じい様過保護だったからな!やっと自由か!!よし今度機会があったらいいとこに連れてってやるよ!!!」
ばんばんとぶっとい腕が俺の背中を叩く。この世界に来る前なら背中が折れるとか思いそうな馬鹿力だ。
「お前のいいとこって娼館だろが!?あんなとこに坊ちゃん連れてったらじい様に殺されっぞ!?」
ギルドの一階右半分には酒場があって仕事を休みにした冒険者が朝から飲んでいる事もある。そこから別の冒険者が声をかけてくる。最初に登録に来た頃にじい様を知らずに俺らに絡んできてじい様にボコボコにされたヤツだ。
「娼館ぐらいならじい様も怒らないと思う・・多分?」
「坊ちゃん!お前も小首傾げてんじゃねーぞ!!くそ可愛いだろうがこらっ!!」
「ははは!!時間がある時声かけろよ。こっちも声かけるからな。」
豪快に笑ってバルドが依頼表をひらひらさせながら離れて行く。
俺も何か依頼を探さなくては。
掲示板の依頼書をざっと見て受付に向かう。
「ヒロキ様おはようございます。」
「何かランクにあう一人でも出来そうな依頼はあるだろうか?日帰り希望だ。」
受付にはこの二年で顔馴染みになった真面目な女性。髪をひっつめにした眼鏡の有能ベテランな感じで無駄話をしないので彼女が居れば彼女の窓口に行くようにしている。
ヒロキが彼女の窓口を選択すると周囲の受付嬢が小さく舌打ちをしているのはいつもの事だ。有望な若くて顔の良い冒険者には唾を付けておいていずれ専属になれれば将来は安定したようなものなのだ。
眼鏡の受付嬢は該当しそうな資料をいくつか確認しヒロキの前に提示する。
「日帰りですとこの辺ですね。ヒロキ様は騎竜もお持ちですので少し遠くも可能かと・・。」
依頼内容は騎竜前提のものだと
山近くでのBランクソロモンスター退治。
領主への届け物宝剣を運ぶらしい。←これはちょっと時間がかかるかもしれない。
ここ付近だと
Bランクはぐれオーク討伐。オークならCランクなのだが、はぐれの場合やたらと強くなっていてキングオークレベルになっている可能性がありBランク。オーク肉は美味いから出来ればこれは確保したい。
Cランクコッコ討伐。コッコはDランクだが群れになっているらしい。コッコも美味しいからなぁ。これもいいな・・。討伐部位さえあれば肉は自分の物にできるのも美味しい。
Bランク宝玉兔討伐。大量発生らしい。宝玉兔は額に大きな宝玉がついた兔であまり美味しくない。金にはなるが美味しいものがいい。
あとは盗賊退治などが並ぶが、今日は一人だから肉ゲットの任務がいいな。
「オークとコッコの依頼を両方というのはありか?」
「助かります。」
他の資料を下げ、二つの資料を広げる受付嬢。
「宝玉兔の発生でかなりの冒険者の方がそちらに行かれてしまいまして他の任務が手薄なのです。酒場に居る方もこの数日宝玉兔を狩って懐が温かい方々ですし・・。今出発される方もバルド様以外は宝玉兔ですね。バルド様やヒロキ様には本当に助けられてます。」
「いや・・俺も旨い肉が喰いたいからって理由での選択だからあまり褒められたもんじゃない。」
くすりと珍しく受付嬢が笑い優しい笑みに視線が釘付けになる。とすぐに彼女は「失礼しました」と表情を改める。
仕事だもんな。俺も「いやいや気にしないでくれ」と返す。
オークとコッコは納期限は無いようだ。今日中に片づけられるだろう。コッコの数にも寄るが・・。
任務を受注してギルドを出る。
騎竜のそばにバルドが居た。
「よ!何を受注した?」
「オークとコッコ」
「そうか、コッコは俺も受注した。肉屋の知人がコッコの入荷が少ないって嘆いていてな。良かったらお前が討伐したのも少し譲ってくれないか?」
「まだ討伐してないのにか?」
「お前なら問題ないだろ?」
まぁ問題はないと思う。じい様と一緒に行った時もコッコ10羽くらいなら一人で行ける。
頷くとバルドは自身の騎獣グリフォンに飛び乗る。
「行こうぜ坊ちゃ・・いや、ヒロキ!」
「おう!」
一緒に行くのか?とか野暮な事をちょっと考えたが、何だか冒険者ぽくて良い。俺も騎竜にのり一緒に目的地に向かい飛び立った。
私の中で強面冒険者と言ったらバルドって名前なイメージがあるww