じい様と一緒
ブラック企業の元社員が冒険者になりました。
ファンタジー冒険者ものです。
ワインの空き瓶とヤカン装備の映像が浮かんで、それだけで書き始めました。それ以外は何も考えていません。ですのでノンビリ更新です。
誤字脱字はノリで読んでください。ノークレームでお願いします。
諸々は決まった。
お茶飲んで待ってて~と言われてその通りに過ごしている。
梅昆布茶うめー。
本当になんでもあるなぁここ。
ふはぁ・・と吐息を吐き出してここ最近で一番のまったりを楽しんでいた。
ちょっとざわめきがあって壁から若い男(美形)が叫びながら入ってきた。
「孫ー!!俺の可愛い孫ぉ!!!!」
孫って叫んでるって事はこれがじい様な賢者か?若い男にしか見えないぞ!?俺と変わんないだろ?
「よく来てくれたな孫よ!!じじいに顔を見せてくれ!!」
俺の肩口に顔をぐりぐりと埋めるようにしている。
「見えないよな?それじゃ」
思わず突っ込んだ。身長174の俺より背が少し高そうなじい様だ。
さらりとした黒髪で涼しげな目元の容姿端麗な超絶美形男。口調はじい様感の違和感がすごい。
俺の手元にあった湯飲み茶碗はじい様が抱きつく前にクロノが回収した有能だ。
『賢者が引退してから拾って育てた設定になってます。18歳になるまで賢者の隠居先で一緒に暮らしていて隠居先から出たことがない。18歳になり賢者の許可を貰い外に出る予定。だからいまは16歳なんだし~二年間は賢者のとこでゆっくりしてね。18歳になったら楽しく世界も見て回ってね。』
「はっ!?俺って18歳だったんじゃないのか?」
「じじいと楽しく暮らそうなぁ?」
美形じじいは離さないとばかりに抱きついたままだ。
『じゃ、楽しい異世界生活を!!賢者、ヒロキをお願いしますね。』
「任された!!」
クロノを問いただそうと思って視線を向けるが目映い光が俺達を包み込み気がついたら窓から湖が見える屋敷の中にいた。
「「「主様、ヒロキ様お帰りなさいませ」」」
「ヒロキ様の冒険者登録と神殿はいかがでしたかな?」
執事?メイド?そんな存在が声をかけてきた。
「うむ冒険者登録は問題ない。神殿でヒロキが神託を授かってしまってな疲れたようだ。俺の部屋で休ませる。
一応ヒロキの部屋も整えてくれ。」
畏まりました。とメイドが去っていく。
歩くじい様と俺の後ろを執事が歩き不在中のあれこれを伝え離れていく。
じい様の部屋に入りじい様が何かをした。
「結界と音漏れを防ぐ魔法だ。
屋敷の連中は主神様が記憶改竄してお前が昔からここに住んで居たことになっている。16歳までは限りなく元の世界での出来事と似せてあるらしいぞ。
あとは気になっているようだが、俺はこんな外見だが300歳を越えている。長寿なエルフの血が入っているからな。
お前を引き取る主神様の頼みを引き受けたのは俺がお前の先祖にあたるからだ。俺も魔柱になるために異世界転移とやらをした。お前の曾祖父の弟にあたるはずだ。」
驚きの真実。確かにばーちゃんから聞いた事がある。曾祖父の弟が神隠しにあったと、あと我が家の家系は神隠しに逢いやすいから気をつけろと家訓にあった。
「なるほど、納得した。」
「そうかそれは良かった。ならじじいの側でずっと暮らそうなぁ~。」
それから二年はあっという間だった。
魔術の研鑽でじい様に鍛えて貰ったり、世界の常識や世界情勢など多岐にわたり学んだ。
「じじい!!約束が違うじゃねーか!!」
じい様を探して屋敷内を走り回る。
立ち止まり息を整える俺に執事がタオルを差し出す。朝からずっとじい様を探してる。
「あんなに大人しかったヒロキ様が冒険者登録してからは快活になられて・・感無量でございますな。」
執事のアルフレッドが白いハンカチを取り出して涙を拭いている。この執事も謎が多い。徒手格闘がめちゃくちゃ強くて俺の師匠役を務めてくれている。あと「執事の嗜みです」とかいいながらカトラリーやシルバーで戦える。それ言ったらメイド達もそうだ。戦ってる時のメイドは冥土って感じだ。やべぇ逆らう気を失う。
昨日18になり、じい様と家族同様な使用人達が昨夜はお祝いをしてくれた。
そして本来なら今朝、じい様が騎竜で冒険者ギルドのある街まで送ってくれるはずだった。
冒険者ギルドにはじい様のとこに住み初めてすぐにじい様と一緒に登録にいき、じい様が凄腕冒険者なのを知った。それから何度かじい様や使用人と一緒依頼を受けてC級ライセンスまで到達した。
(初級→E級→D級→C級→B級→A級→S級とランクが上がっていく。)
一応A級に近い戦闘力はあるとギルマスは言ってくれたが、冒険者としての実積が無いために一飛びで上がれないから一個ずつこなして、あとはS級じい様やA級執事B級使用人に来てもらいランクの高い仕事をこなして経験と実積を稼いだ。
「ヒロキ様と離れるのが相当にお嫌なご様子でございますな。旦那様があのように感情を露にされるのは珍しい。ヒロキ様がいらっしゃってからの18年、特に冒険者としてヒロキ様と活動されたこの2年の旦那様は本当に楽しそうでございました。」
「・・それはわかってるよ。俺だってじい様といろいろやるのは楽しいもんな。」
「それでもヒロキ様は外の世界をお知りになりたいのですな?」
「時の神クロノが行ってこい言ったんだぜ?」
クロノはこの世界では時間を司る女神で信仰の対象の一柱だった。俺はその神託を16の時に受けた事になっている。クロノを信じる教会から聖人として来てくれと何度も勧誘があったが、じい様が断りまくってくれたし、クロノが神託でおれを自由にさせるようにと教会関係者に言って(神託?)くれたから自由にやれている。
「御神託ですものね。旦那様、そろそろ見苦しいですよ?ヒロキ様の信頼を失いたいなら、それでも宜しゅうございますが、それはお嫌なのでしょう?」
執事の声に渋々と言う感じのじい様が空から姿を現した。
「移転魔法まで使って逃げてたのかよ・・。」
「ヒロキと離れるのが寂しくて嫌なのだ。悲し過ぎて耐えられそうにない。」
「本格的に冒険者活動するだけで、仕事で遠出しなきゃ帰ってくるつもりなんだが・・別にここに寄り付かないつもりはないぞ?」
俯くじい様ががばりと顔を上げた。
「旦那様、まさかヒロキ様の話を聞いていらっしゃらなかったんですか?ヒロキ様が冒険者になって一人で活動されることがお嫌で逃げてるのかと思いきや・・。」
「ヒロキが出ていくのかと思っていたぞ。出ていかないなら良いのだ。それなら冒険者ギルドに送ろうではないか。」
じい様がご機嫌で騎竜を呼び出し、冒険者ギルドに向かった。途中ではぐれ竜を発見→ご機嫌じい様が竜を制圧→契約できて俺の騎竜になる→B級ランクアップという事態が起きた。
竜と契約出来るならA級にあげたいらしいが、初級から昇格速度が速すぎる為にA級にはじい様が関わらない任務をこなす事で昇給判定されるらしい。
まあB級で充分すぎる位だし、移動手段も出来て昇格も出来たなら俺には文句はない。
孫ラブじいさまはちょくちょく出て来そうです。
予定よりじい様が暴走しました。