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黒い炎をもつ理由  作者: ロストネーム
迷いの森で
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魔力と生き方

目覚めてから2ヶ月程時間が過ぎた。

ぎこちないながらも、思うように身体を動かせる程度にはこの身体に馴染んできている。


ボロッボロの布を身につけているので、全裸生活は免れたが、この布の出所はリシリーしか知らず。毎日同じ布では衛生面が良くないので、何枚か調達してもらい、汚れた布は迷いの森に唯一あるという湖で、リシリーに洗濯してもらって、2、3日に1回着替えるというサイクルは出来た。


カレンダーや時計のない森で、日数経過を把握しておかないと、距離や成長の尺が測れないと考えて、拠点にしているヌシの近くにある四角形のような岩の一面に、地面近くの位置から、左端から右へ横列に刻み端までいくと上に新たに横列を作る。

このやり方で 日が沈み、日が昇る。1日の経過を記録出来るようになった。

時間経過は森の中というせいか、木々が邪魔をしてなかなか取れない。   ので、朝・昼・夜で判断している。




目覚めて、ある程度頭の整理が出来てから、色々と疑問が浮かんだが、まず 命の恩人である ヌシとリシリーのこと。

リシリーは四足歩行生物の可愛らしい見た目だ。

パッと見は猫っぽい。が、耳は垂れた鳥の翼の形。耳の付け根から細い帯のような触覚っぽいものがヒラヒラしている。後ろ足は馬っぽい。

尻尾は先っぽが葉っぱで、喉から尻までの内側は蛇のような鱗がある。前足と後ろ足の足首の所は炎のようなものが生えている。更に頭のオデコのところに光る角がある。

毛が薄い桃色で目が大きめなこともあり、可愛い。

ヌシはリシリーが巨大になったような見た目。


だが、ヌシの方が獣らしい。顔は凛々しい狼の様な形。触覚はないが、硬い葉っぱに似ているものが数枚、立髪の様にある。

肩には魚のヒレの様なものが生えていて、爪は鋭く、硬い。色合いはリシリーと同じ桃色だが、色がヌシの方が濃い気がする。

2人は "魔物" で、この森 迷いの森 で1番強いらしい。


"魔物" とは、魔力を持つ魔力を喰らう生き物。


 魔力 とは、この世界で生きるあらゆる生物が、大なり小なり所有しているもので、生命活動に欠かせない一部であり、 魔法 と呼ばれる術を使う際に必要なもの。


 魔法 は 魔力 という生命エネルギーを消費して使用する術らしい。

じゃー、魔法使いすぎれば死ぬのか と思ったが、魔力切れの前に身体がストップをかけ、気絶するよう脳に指令を出すんだとか。

つまり外傷の無い瀕死状態に陥り、スリープモードに入る。


魔力自体は植物が酸素・二酸化炭素の放出時に一緒に出しているので、空気を取り込んだ時、同時に体内に吸収しているため、魔力切れになったら寝てれば回復するんだとか。

ただし、魔力には所有量が有り、この量は個体差がある。魔力使用の限界も個体差。魔力を所有する量で強さなども測れ、魔物や植物の場合は身体の大きさにも関係しているとのこと。

ヌシはこの森で1番強いだけあって、でっかい学校位巨大。リシリーは成人猫位はあるが、魔力量は他の魔物より有るらしい。

魔力量は関係しているだけで、絶対ではないみたい。


また、自身の魔力量を超える魔法を無理に使用した時、身体のストッパーが効かず、死に至る。


個体が所有する量以上の魔力は身体は自然と取らないし、魔力は酸素と同じで身体を巡り、 廃魔素 として身体から出る。

廃魔素は、植物に取り込まれ、植物の中で結晶化していき、 魔石 という石になる。


自然と魔力は吸収出来るが、魔力量の違いで魔力切れを起こした時、回復するまでの時間は、個体それぞれ

魔力や魔物の事は理解できた。が、3年間 何故僕は飲まず食わずで生きることが出来たのか


どうも これにも魔力が関係しているらしく、何も食べなくても魔力のみの吸収だけで生命は保てると。

ただ、空気中からの吸引だけでなく、栄養としての魔力吸収が必要で、これは2つ方法があり。1つは自身が大地から栄養として吸収するやり方。2つめは、他者が己の魔力を使用して己の魔力を対象者に分け与えなければならないやり方。


眠っていた僕は、意図的に1つ目が出来ないので、2つ目のやり方になる。この、栄養としての魔力を与えてくれたのがヌシらしく、栄養としての魔力を与えるというのは一つの魔法らしい。

「人間の赤子にしては、かなりの魔力喰いだったから大変だったな。」

とヌシに言われて、すぐに地に額をめり込ませながらお礼をのべた。



思うように動け、ヌシに負担をかけないようにと、食べ物を探した時、この迷いの森には人間が安全に口に出来る物は地面に生えた草花しか無いと言われた。それでは腹は満たされないし、ヌシの魔力を貰う訳にもいかない。


うーん と唸りながら花をむしり食べ歩いていると、何か実のようなものが成っている木を見つけた。

その木に駆け寄ると、その木の下にいくつかその実が落ちていた。その実は 林檎の形 大きさで、色や表面は梨の様。甘い香りが微かにする。

食べられないのかと、いつも側にいるリシリーに聞いてみたら、 「皮に毒が有るから人は皮を剥かなきゃ食べられないよ。」 と言われた。

皮を剥けば食えるのかと 皮だけ歯で削って食おうか、と思ったが、毒が気になった。

   どの程度のどんな毒なのか。

ので 皮ごと一口齧ってみた。




特に何も起こらない。  リシリーが僕の行動に驚いて、 何やってんの⁈ ペッてしなさい‼︎ とか言ってる。

しかし、この森で生きる以上 こういった毒の有る食べ物には慣れないと、自力で生きていく事は出来ない

毒を取り除く事は大事な事だが、毒に慣れる事も大事な事である。

なので今は、一口で抑えている。

リシリーの心配をよそに、リンゴの様な梨の様な実の味を堪能していると、手が痺れ出した。そして、気を失っていた。







気がついた時は 起きてた時は昼間だったのが夜になっていて、リシリーの顔が視界一杯に有り、可愛いお目が吊り上って怒っていた。

リシリー「バカ!なんで皮ごとたべたのさ!毒が有るって言ったでしょ!死ぬところだったじゃん!」

かなり心配させてしまった。素直に ごめんなさい と、謝った。


しかし、何故忠告を無視して食べたのかの理由、今後 この様に毒に慣れる様にしていきたい事、限度を超えない様に協力して欲しい事を伝えた。

しかし、リシリーは頷いてはくれない。

リシリー「せっかく助かった命なのに、そんな危ないやり方で毒に慣れるなんて駄目に決まってるでしょ⁈」

ぐー正論。正論だが、僕はヌシに頼りっぱなしの生活はさけたい。プンスカとご立腹のリシリーをどう説得しようかと考えあぐねていると

ヌシ「リシリー  其方は、フィリルの保護者になると言った。ならば、その子がこの森で一人でも生きていける様に育てていかなければ。フィリルの考え、のってあげてはどうだ?もしもが無いよう、もしもが有っても、我らがその時助ければよかろ?」


ヌシがこう助言をしてくれたおかげで、リシリーはこの危ない提案に付き合ってくれる事になった。










されど、リシリーが保護者なのかー


かわいいなー


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