醜き足掻き
どれくらい経ったのだろう
分からない
考えたくない
自身が考えたこと 決断したこと 行動したこと
何もかも消して 今は、己を 俺を
ただ 消したいとしか 思わなくなった。
ここに この 黒 しか分からない空間に
時間というものがあるのなら
俺は 何日間もの間 無になろうとしたり
消えようとしたりを繰り返した。
でも、どちらも叶わなかった。なしえなかった。
俺という 認識を消せなかった
魂や存在を消す方法を考えつけなかった
ただこの 黒 に 独り 居るしか出来ない
これが 自殺した者の結果なのか?
愚かで身勝手な願いの結果なのか?
絶望と恐怖
この2つが 俺のなかでとぐろを巻き締め上げた。
生前 あれだけ願っていた 死
あれほど望んで 行動した 結末。
どんなになってでも手に入れたかった
男としての人生
自身に呪いをかけてまで やった事なのに……
そうだよ
不幸でもいいと望んだじゃないか
まだ 生まれ変わったという訳じゃない
また 俺は歩き始めた
『不細工でもいい、男として生まれ変わる。不幸でもいい、俺として人間の人生をやり直す。』
この言葉を叫びながら 歩き続けた
歩いた 歩いた 歩いた 歩いた 歩いた
いつの間にか足は走り出していた
走って 走って 走って 走って 走って
疲労感が押し寄せてくる
それでも 止まる事なく 休む事なく
走って 走って 走って 走って
口から溢れる息は 音にもなっていない。
渇いた言葉を繰り返しながら とにかく走り続けた。
黒 しか分からない ここを
黒 以外何もない ここを
ただ ひたすら それ以外出来ないと走り続けた。
必ず 俺として 男の身体で 生まれ変わる。
ふと カラダが止まった。
疲れたからか いや 動かない
走っている最中の格好で固まっている。
俺は 走ろうと、何とかして動かせないかと足掻く
が、どうしても動かない。
走りたい 黒 しかないここの果てまで行って
生まれ変わってやるんだ‼︎
そうしているうちに、何か聞こえた気がした
そこまで望むのなら、この世界で醜く生きてみるか
幻聴かもしれない
されど 俺が返す答えは決まっている
ああ 男として、俺としてやり直せるなら 生きたい