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黒い炎をもつ理由  作者: ロストネーム
迷いの森で
12/16

約束


リシリー「今の…どうやって…」

フィリルに困惑の中からリシリーは問う。

しかし、フィリルにはこれしか言えない。

フィリル「治したいって思って…」

フィリルに魔力を分け与えてくれた水属性であろうギリルに、頼る事なくルカインの傷を治したいと、思ったとしか言いようは無い。   ただ…

フィリル「…"黒炎"を出した時みたいに、強く思ったよ。」

黒い光は"黒炎"を使用する際の感覚に似ていることを、フィリルは確かに感じていた。


ルカインはギリルに魔族の言語で話始める。

ルカイン「ギリル、魔王の魔力うんぬんだけじゃ、済まねぇみてぇだな。」

ギリル「ああ。俺たち魔族でも、闇のみが通常保有する属性。それに加えて、一部の者に他の属性が付くが…」

ルカイン「ギリル、ライブラリでチビのこと診れるか?」

ギリル「……。わかった。やってみよう。」

チラリとギリルはフィリルを見やる。

リシリーと見つめ合い、先程の光について話し合っているフィリルに、ライブラリを発動させた。




ギリル「あの子は人間。魔力量の保持が異常に高いな。属性は火と闇…光は無い。酷く疲労している。」

この結果を聞き、ルカインは顔をしかめる。


ルカインは少し考え、フィリルに向き直り、足を開いたかたちでしゃがみ、フィリルに声をかける。

ルカイン「おい、チビ。もう一度さっきの治癒、出せるか?」

フィリルはルカインの言葉に応えようと、試みるも黒い光は出なかった。

フィリルは落ち込んでしまう。ルカインも、少し肩を落とす。

ルカインは確かめたかったのだ。先ほどの黒い光からは魔力を感じた。だが、治癒の魔法かと問われれば、そうだとはっきり答えられないのだ。

このモヤっとする感覚の答え合わせが出来ないのなら、やる事は1つしか無い。


ルカイン「戻るぞ。報告はアスラスだ。アイツしかわかんねぇーだろ、こんなん。」

スッと足を伸ばし、立ち上がる。ギリルもそれにつづき、立ち上がった。

フィリルは自然と2人を追うかたちで顔を上げる。

その瞳は、薄っすらと涙を浮かべている様に2人は感じた。


ギリル「フィリル…だったよな?俺たちが戻るのは、報告と対処の為だ。フィリルの悪い様にはし無い。」

ギリルは不安そうなフィリルになんとか優しく話す。

ルカイン「どうだかな。コイツは人間のチビにしては聡い。魔力もオカシイ。俺たちにとって危険過ぎるだろ。」

ギリルの思いのほか、ルカインはフィリルに冷たい様だ。


当然だろう。魔王の魔力を持ち、魔王しか使えない魔法を使い、光でも水でも無い属性なのにも関わらず、治癒を使用でき、魔力量は多い。それに、フィリルには前世の記憶と自我があり、年齢にしては落ち着き過ぎる。幼子ながらの、色んなことを吸収し、覚えが早い事にも危機感を感じずにいられないのは当たり前なのだ。


フィリルは顔を伏せる。不安で一杯では有るが、どう対処するか、世話になった2人を消すかと思案していた。自身が安全に生きる為に…


そんなフィリルの頭を鷲掴みにして、ルカインは上を向かせる。ルカインはその手を顎に移し、フィリルの目の高さまで顔をさげ、近づけた。


ルカイン「てめぇがなんであろうが、俺はてめぇと殺り合いてぇ!俺たちがまた来るまで、てめぇは魔法使い馴らしとけ!」

フィリルは言はれていることが理解出来ない。 それでもルカインは続ける。

ルカイン「そん時、俺にてめぇが勝ったら、俺はてめぇを認めてやる。"黒炎"を使おうが、治癒魔法もどきを使おうが、てめぇはてめぇだってな!」

フィリルはしばし硬直する。が、ルカインの言わんとしている事が判り、フィリルの顔色が変わる。


フィリル「はい!一杯練習します!絶対、勝ちますから!!」


ルカインに向かって元気に、満面の笑みで返した。


ルカインはフィリルの笑顔に一瞬、キュンとしてしまう。それに気づいたのか、ギリルが茶化した。

ギリル「不器用だな。ルカイン。」

ルカインはカッと顔が赤くなり、乱暴にフィリルの顎に当てた手を離す。

ルカイン「うっせえ!人間のチビの癖に、生意気じゃねぇのが気にくわねーだけだ!」




ルカインとギリルは、自身の前の空間に指で亀裂をいれ、そこがパックリと開き、赤黒い空間が現れる。

ルカイン「じゃぁな、チビんで小虫。」

ギリル「今度来る時はまたこの場所に来る。」

ルカイン「そんときゃ、俺とコイツとアスラスの3人な。」

そう言うと、2人は亀裂の先の空間に消え、その後すぐに亀裂は消えた。



フィリルはリシリーに向き直る。

フィリル「リシリー、僕の顔とか魔王の目の色とか気になるけど…」

リシリーはジッとフィリルを見つめ、言葉を待つ。



フィリル「まず、この森の事を教えて!」



大事な事。自身の生活の場を知るのはフィリルのなかで最優先事項だった。

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