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7 出会い

「ううう……いきなり殴るだなんて……酷い……酷いです」

「そりゃお前があんな大声で叫ぶからだ」

 全く、俺はどっちかっていうとシトミの声にびっくりした。


「怖がらせてしまってすまないね。私はシキ。見ての通りスケルトンでやっている。ゾンビとパーティーを組んでいる珍しい人を見てつい声をかけてしまった」

「俺はネクロマンサーなんでね。俺の方から声をかけたかったぐらいだが、それで要件はなんだ?」

 いるもんなんだな、アンデッド。やっぱり俺の知っているアプデ前の停滞化した環境とは全然違うらしい。途中で脱落するプレイヤーが多いというだけで今の時期、アンデッドはそこそこいるのだろう。


「良かったら私と固定パーティーを組んでほしい。時間帯はそちらにあわせるから」

 こりゃ6人でアンデッドパーティーを組むことも夢じゃないな。

「歓迎だ。シキさん?」

「こんな見た目でわかりにくいかもしれないけど、女だ。それでパーティー名は……」

「未定だ。そうだな。3人も集まったことだし名前決めるか」

 俺にネーミングセンスはない。本名でやっているのも自分で作った名前を使うのが妙に恥ずかしくてだ。


「はいはい! 不死の刃(イモータル・ブレード)は?」

 復活が速い上に絶妙にダサいな。なんだよイモータルブレイドって。


死霊の門(レヴァナントゲート)……はどうかな」

 これってルビをつけないといけない縛りなのか? どうやら2人の目線を見るに俺の意見を求められてるみたいだ。


「ここはアンデッド繋がりで……死に抗う者(アゲインストザデス)とか」

「うわ、ださ〜」

「ふっ」

 シトミにはケラケラ笑われ、シキにも鼻で笑われる。確かにあれだったかもしれないが、そこまで言うか?


 アゲインストザデスって良いと思うんだけどな。変に気取ってない。

 結局多数決でパーティー名は死霊の門に決まった。俺のアゲインストザデスには一票も入らなかった。だから言いたくなかったんだ。いずれ俺の二つ名がこのパーティー名になったりするのだろうか。


「さて、今更だが自己紹介。俺は人狼のダイチで死霊魔術師だ。そしてこっちがゾンビのシトミ。職業は……肉壁だ」

 口にだして言うと酷いな。こいつ肉壁か。


「肉壁……」

 シキさんも少し戸惑っているようだ。普通そうだよな。好き好んで肉壁になりたいやつなんているわけない。まず字面からして嫌だ。俺なら全力で拒否する。


「私はシキ。スケルトンで職業は魔法戦士だ」


 シキさんはスケルトンだが、装備は腰にさしている棒だけだ。

 そしてステータスを見て驚いた。シトミは論外、俺も死霊魔法というロマン魔法を持っているのだが堅実そのものといったスキル構成。彼女ならどこでもやっていける……スケルトンの時点でそれは少ないが、プレイングスキルによっては歓迎されるだろう。


 名前:シキ

 種族:スケルトン Lv.8

 職業:魔法戦士 Lv.8

 体力 :80

 筋力 :0

 耐久力:40

 魔力 :80

 精神力:60

 敏捷 :80

 器用 :40


 スキル

 【棒術Lv.7】【平衡Lv.3】【打撃強化Lv.3】【雷魔法Lv.4】【影魔法Lv.2】【MP消費軽減Lv.3】【魔力操作Lv.1】

 アクションスキル

 [覚醒][突き][チャージ][サンダーボルト][シャドウアタック][シャドウストレージ]


 スケルトンの筋力が0なのは仕様。物理攻撃力は筋力値ではなく、武器の攻撃力に依存している。筋力値を上げずとも物理火力を確保できるため、高めの魔力を活かした魔法剣士や、耐久力を上げたタンクに適している種族だ。

 ケチをつけるならMP消費軽減だな。雷はともかく影魔法は全体的に少ないMPで発動できる呪文が多いことで有名だ。それならばもっと他の強化を回した方がいいな。全体的にバランスの取れている魔法戦士だが雷魔法か影魔法のどちらかを四属性魔法に変えた方がいい。

 死霊魔法を取っている俺がそれを言えることではないのだが。


 そしてステータスは敏捷に振っているのか。脆さを補うか遅さを補うかで言ったら俺は脆さを補った方が安定すると思っているタイプのプレイヤーだが、人次第だろう。プレイングスキルが何より重要だ。



「珍しいな……死霊魔術師か。ダイチくんは何故こんなものを取ろうとしたんだい?」

 俺のステータスを見ていたシキさんが質問をしてくるが、こんなものとは失礼な話だ。


「死霊魔法は弱い弱いって言われているけど、俺がその評価を覆してやろうと思っていてな」

「あれみたいだね。アラクネさんシリーズ。弱小種族アラクネの評価を覆すっていう実況動画」

 シキさんも見ていたのか。中々やるな。いや、ここで必要以上に語ってしまうと引かれてしまう。ここは短く簡潔に話そう。


「確かにあれに少し憧れてっていうのはあるな。アラクネさんとゴーレム男のかけあいが良いよな。第122回の王都決戦の動画見たか? あの有志ギルドにも入らず単独王都に潜入して背中合わせになってひたすら戦うやつ。結局死に戻りはしたけど、熱い。熱いパトスを感じた俺は。あそこでいつもならアラクネさんだけがゴーレム男に放り投げられて戦線離脱するんだけど、それをしなかったっていうのが本気を表してて、その前回で言った視聴者への宣誓をそれから見直すと本当に感動してしまう。ああ、ここまで強くなったんだって。心の強さ。絆の強さとか。あの後の謝罪動画は正直蛇足だと思うけど、それを差し置いてもあの2人は最高だよな。ただの面白い実況者だったのが、王都決戦編で一つの物語に昇華した感じがする。あれこそがVRMMORPGでの完成形と言っても過言ではない実況者だと思うな、俺は、うん……うん」

 3人の間に冷たい風が吹く。誰も口を開かない時間だけがただただ過ぎていく。


 横目で骸骨を見ても骸骨なので表情はわからない。ただシトミの引きつった笑顔だけがそこにあるだけだ。


「あ、あははは。ダイチってそんなに熱く語るようなタイプだったんだねー」

「は?」

 ああ、いかんいかん。こうなったのも俺の責任だし、俺が話を誘導するべきだろう。



「すまん。シキさんのスキルは全体的にバランスがよいな。まさに理想的な魔法戦士のスキルといった感じだ。棒術はどこかで習っていたのか?」

「うん、親に道場に通わされていてね。使い慣れた武器の方が良いんじゃないかと思って」

 なるほどな。俺も何かやってれば自信を持って武術系スキルを取れていたのかもしれないが今それを言っても仕方ないか。


 そして8レベルなら頼りになる。


「これなら行けるんじゃないか? ボス」

 シトミは首をかしげているが、シキさんは力強く頷いた。


「私はまだ挑戦していないから、何も言えないけど自信はあるよ」

 それは頼もしい。


 じゃあ、さっそくリベンジに行こうか。



ありがとうございました。

台風は怖かったです。明日と明後日で折れた木の始末をします。

シキさんのスキル構成は悩まされました。影魔法と雷魔法両方の採用というのがとても重く、覚醒も入れたいとなると様々なパッシブスキルを諦めるしかなく、このようなことになりました。強さを追求した完璧なキャラを作るなら影魔法の代わりに火魔法をいれます。しかし影魔法をいれた訳は、かっこよかったからです

。素殴りの弱さはスキルで補います。職業を諦めて余ったスキルポイントを呪術と各種パッシブに回し、封印術をメインに戦うデバッファー型魔法戦士とかも面白いのですが、呪術が取得できるイベントと封印術を取得できるイベントの情報がまだ出ていないのでやはり確実にするならばキャラメイク時点でするべきでしたね。もっと効率の良いキャラメイクはありましたが、考えすぎて面倒になったので現状はこれです。

もしかしたら投稿した後にこっそり変更するかもしれません。魔法戦士という職業を取る利点があるかどうかを改めて考え直してみたいと思います。

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