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シルバーオーヴと異世界最果ての楽園  作者: 露天浮録
【第3章】
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第47話 大地の王


「はぁ、はぁ、てめぇ……」


「ひどい様だな。俺も、似たようなものだが、」


顔を上げた先にいたのは、自分が殺そうと心に決めた相手。


「はぁ、なんで、てめぇが、、、リクドウマモルッ、」


「俺たちは、流れ着いたんだろうな」


「ああっ!?」


「周りを見ろよ」


「、!…ここは」


壮大な運河が枝分かれした一本と思われる川と、生い茂るジャングルのような森が広がっていた。


「分からない。ただリトートピアからはかなり離れたところまで流されたのは間違いない」


「くそっ、団長、俺を、見捨てやがったのかよ、」


「…」


「ああ、くそっ、てめぇだよ、てめぇ。俺はてめぇをぶち殺してやりたくてあの神殿で待ってたんだ。てめぇのせいで、」


「ふざけるな、」


「ああっ、!?」


「俺は、お前らの団長に友人を殺された。お前は無関係の他人じゃない」


「知るかよ、てめぇの仲間が死んだのは、そいつが弱ぇからだ!俺のせいにするんじゃねえぇ」


「どの口が、!!」


「そんで、そいつが死んだのはてめぇが弱ぇからだ」


「……っ、」


「てめぇを庇って死んだんだァ!!」


「分かってんだよっ、!!!」


マモルは叫んだ。


「俺が、弱かったから、あいつは死んだ。殺された」


絞り出すように続けた。


「俺が、殺したようなもんだ」


マモルはその時の光景を思い出し震える。

とても正常ではいられなかった。

そして、


「リザ…」


マモルが神殿に乗り込んだそもそもの理由。

マモルはリザの身に起きた、神殿のヌシに起因した異常をどうにかしようとしていたのだ。

その解決はおろか、自分の友人さえ失った。

同じ元の世界の人間で、かつて背中を追っていたはずの男が敵となって立ちはだかった。


「…お前は、あの男を、恨んでいるか」


「ああ、?」


ヘルガは思い出す。昔の自分を、心の奥底に秘めたものを。


「……わからねえ。俺には、居場所がなかった。…それだけだ。団長が何を考えて俺を拾ったかなんて知らねえんだよ。ただ、俺を裏切るようなら、俺を捨てるようなら……、団長は俺の敵だ」


「お前の素性は、知らない」


「ちっ、元々話すつもりはねえよ。それに、団長が俺の敵になるとしてだ、てめぇと馴れ合う気はねよ」


「あたりまえだ」


2人はジャングルの中を進み始めた。

木々が生い茂っていたが、川に続くように作られた道のように一部には植物が生えていない。


「誰か、このあたりに住んでいるのか」


「はぁ、?こんなとこにかよ?そんなんまるで民族じゃねえか」


「ありえない話じゃないだろ」


「だがまぁ、ジャングルに人の歩いた痕跡があるな」


「この先に行けば集落があるかもしれない、ってことか」


「行って歓迎されっかはわかんねーがな」


「ここがどこなのかもわからない。行くしかないだろ」


「ちッ、」


しばらく進むと、開けた空間に出た。そこには木々が一切生えていない。

ジャングルがその領域だけを避けているかのようだった。

そして、


「妙だ。静かすぎる。ここだけ生き物の気配がまるでねぇ」


「確かに、何か異様だ」


その空間の異常に気が付いた2人はすぐにジャングルに戻ろうと引き換えす。


「とにかく、ここにはいねえ方がいい、戻るぜぇ」


しかし、


「逃がさん」


「「ッ!?」」


引き返そうとした道を阻むように、炎が空間を大きく囲んだ。


「なに!?」


「ジャングルに火が!?」


「貴様らは、逃がさん」


「なんだ、こいつはぁ!」


炎に囲まれた空間の中心に男が立っていた。

上裸の大きな体格の男だ。そしてその体格と同程度の長さの大剣を構えている。


「これは、一体、、」


マモルは訳が分からない。ヘルガも同じように動揺している。


「てめぇ、何者だぁッ」


「貴様らこそ、一体何者だ。なぜこの地にやってきたのだ?どうやってたどり着いたのだ?」


男はマモルたちを激しく警戒している。男の感情に合わせ、炎がさらに激しさを増した。


「この炎もこいつの能力か、やべぇぞクソが、」


マモルにも理解できた。

マモルたちの前に立ちふさがる男はただ者ではない。

凄まじい豪気、そして炎の熱気。

この男が逃がさないと言ったからには、自分たちは絶対に逃げられない。


「くッ、」


ヘルガが剣を抜き大男に向かっていった。


「やめろっ、ばかッ、!」


マモルは叫んだが遅かった。


「フゥ…、我が剣と炎の前に地に落ち、灰となって消えるがいい」


大男が大剣を引く、


「……閻魔の篝円刃マクシヴァリン


そして振るった。

大剣から真っ赤な刻印が放たれ、真っすぐに向かってくるヘルガに飛んでいく。


ヘルガは剣で刻印を振り飛ばそうとするが、


「なッ!?」


刻印は切れない。刃は空を切っただけだった。


「がぁああああああああああああッッ、!!!!!!」


刻印はヘルガの体に当たり、焼き付いてヘルガの体が一気に炎に包まれる。

このままでは焼け死ぬ。


マモルは咄嗟に右手をかざした。

マモルの右手から四方体の透明な何かが発生した。

無我夢中でそれをヘルガにあてる。

本能でその何かを操る。

それは形を変え、ヘルガ以外の、ヘルガを覆う炎だけを囲む。


そして、


「消えろ」


瞬時にヘルガを覆う炎は消滅した。


「くああ、あ、ああ」


ヘルガは出血して倒れた。


「……ほう、」


大男はマモルを興味深そうに見つめる。


「貴様、今こいつに何をしたのだ?」


マモルは警戒する。


「もう一度、やって見せろ」


大男は刻印をマモルに放った。


「、!!!」


マモルは四方体を生成し自身に刻印が到達する前に囲んで消滅させた。

自分でも何をしているのかが分からなかった。

なぜこの力の使い方を知っているのかも。


「…これは、なんと珍しい」


感嘆する大男。


「はあ、てめえ、分かった、ぜ」


ヘルガが苦痛に悶えたままそう言った。


「大地の王。レオンハウルだな、」


「いかにも」


レオンハウルは続けた。


「我はレオンハウル。大地の王などという呼び名は久しく耳にしていなかったが、今はこの地の民を守っている」


「ってことは、やっぱり人が住んでるのか」


マモルは言った。


「なんだ、貴様ら民を襲いに来たのではないのか」


「ち、げえよ、クソがぁ、、」


倒れたままのヘルガが言った。


「俺たちは、リトートピアからここまで流れ着いたんだ」


「何?リトートピアだと?そんなに遠方から、、。ここはリトートピアからは西南にずっと離れたところに位置している場所だ。すぐにすぐ帰れる距離ではないぞ」


「ああ、クソ、そんなに離れてんのかよ。てか、痛ぇ、クソが、」


「すまなかったな。貴様らを敵だと思っていたよ」


「すまなかったじゃあねえぞクソが、焼け死ぬとこだったわ、クソがぁ」


「君もすまなかったな、村に連れて行く、治療させよう」


「ああ、はぁ」


レオンハウルはヘルガを担いだ。マモルはそれに続いて歩く。

しばらく進むと、そこにはあまり大きくない集落があった。

 

「レオンハウル様--!」


「おかえりなさい!」


「その人たちだれぇー?」


多くの子供たちがレオンハウルのもとに駆け寄る。


「おう、ただいまみんな。この人たちはお客さんだ。怪我をしてるから治療するんだよ、大人たちを呼んできてもらえるか」


「「「はーーーーい!」」」


「怪我させたの半分はてめえだろうがクソぉ」


ヘルガがぼやいた。


そして、村人に言われるがままにマモルたちは村へと入っていったのだった。



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